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Last Up Date:10.09.06

設計事務所・工務店・ハウスメーカー選びの注意点~建築家の見極め方

これから家造りをする人の為に、建築家からみた家造りのポイントをレクチャーさせていただきます。
主に設計事務所に依頼する場合のチェックポイントとなりますが、工務店やハウスメーカーに依頼する場合、建売住宅・分譲マンション等へも話を広げて解説します。

設計・相談はどこに依頼したらいいのか?

住宅の設計を依頼する場合に、何処に頼めば良いか?という問題が出てくる事と思います。
通常考えられるのは、新築ではハウスメーカー、工務店、設計事務所といったところでしょうか?
リフォームの場合は、リフォーム業者、設計事務所、建ててもらった工務店に依頼というケースが多いと思います。

以下、それぞれの特徴と長所・短所を私ながらにまとめてみました。
もちろん業者によっても差がありますので一概には言えませんが参考までに比較してみてください。

ハウスメーカーに設計を依頼する場合

ハウスメーカーとは、一般的にプレハブ住宅を供給する会社です。
代表的なのは大和ハウス、積水ハウス、住友林業、三井ホーム等。
各社得意の躯体(木造、軽量鉄骨、2×4等)があり、外観で差別化を図っています。
(細かい性能や仕様は大差ありません。好みで決めて良いと思います)
予め決まった規格のなかでオプションを選択しながら、組み立てていきます。
各社独自のモジュール(単位寸法)があって、壁の位置を227.5mmや305mmづつといった寸法の中で壁の位置を決めていきます。
既製品部材をまとめて購入する事で安く仕入れ、価格に反映している為、別注品が多くなると割高になる事があります。
間取りはそれらの制約の中である程度自由に組み立てる事が出来ますが、それ以外はハウスメーカーのカタログの中からシリーズを選択しながらオプションを選んでいくといったセミオーダーシステムです。

特に、天井高さや窓部材、外装材等は選択肢があまりありません。
また、設計から工事まで一体の請負契約になります。
設計は標準仕様が決まっている為、設計士の出番は少なく、ほとんどが営業マンと打ち合わせをして進めることになります。
営業マンは文系出身の人が多く、細かい技術的な話は得意でない場合があります。(自社やライバル企業の情報は知っているけど、幅広い知識が必ずしもない)
お施主さんの希望を叶える設計を得意としますが、お施主さんに媚びた設計となりかえって不利益をうむ場合があります。
希望以上の提案やアドバイスは不得意な場合が多いです。

長所

とにかく完成までが早い事。設計期間も短い上、工期は約3~4ヵ月。
規格がしっかりしているので、比較的精度良く仕上がります。
断熱・構造の性能については一定の性能を有し、詳しい事を知らなくても安心でます。
アフターフォローも専用の部署があるため、後々のメンテナンスに対してもフォローがあります。
展示場などで、予め使用する部材等を見て吟味できるので「こんなはずじゃなかった」という間違いも少ないです。

短所

自由度が少なく、用意されたオプション以外の事は望みどおりに出来ない個所が多々あります。
型式認定という確認申請を一部免除する制度を利用している場合はより制限が厳しくなる事があります。
設計担当は十数物件掛け持ちする事が多くミスしやすい環境がある上、第三者的なチェック機能が働きづらく、先方に不利なミスが直されないで工事が進んでしまう場合があります。
独自の部材を使っている場合は、数年後に交換しようと思っても簡単に交換できなかったり後々困る事があります。

まとめ

ハウスメーカーは、あまり細かい要望のない方に向いた住宅と言えます。
敷地にある程度余裕がある場合は、標準のまま建てることが出来他に比べて安価に住宅を手に入れることも可能です。
設計の打ち合わせなども比較的少なく、手間をかけずに家を手に入れることが出来ます。

ズバリ気持ちよく「カタログショッピング」したい方はハウスメーカーへ

こんなハウスメーカーには注意

決算期には会社の売上の為に突貫工事・無理な受注を行う事がありますので、その流れに巻き込まれないよう気をつけましょう。
内容が煮詰まってないのに請負契約を結ぶ事のないよう注意してください。
(設計の契約=工事の請負契約だという点に留意してください)

モニターと称して「今ならお安くします」といって契約を急ぐ場合も注意が必要です。単純に”善意の値引き”の口実の場合もありますが、資金繰りが悪い時には値引きしてでも工事を引き受けようと躍起になるものです。
経営状態を確認して契約を進めてください。

工務店に設計を依頼する場合

工務店とは一般的には工事を行う業者を指します。
工事監督・積算担当などがメインですが、中には設計部隊を抱える工務店もいて、設計からお願いする事が可能な場合もあります。
また、外部の協力業者(設計事務所)に設計をお願いして提案してくる場合もあります。
得意・不得意はありますが様々な構造で建築が可能です。
設計の自由度もあります。
ただし、設計が本業でなく工事を請け負う為の営業的なニュアンスが強く、細かい使い勝手を考えた設計は苦手で、提案的設計はあまり臨むことが出来ません。(お施主さんが主導権を握って計画を考える必要があります)

また、設計事務所に設計を依頼する場合は設計事務所の図面に基づき、工務店が工事を行う事になるので、設計を直接頼むのは不安だけど工事は頼みたい場合などは、気に入った工務店に相見積りをお願いする事も出来ます。

研究熱心な工務店の中には新しい基準の住宅造りを心掛け、優良な工務店もあります。
一番難しいのが、この数多くある工務店の中からそういった業者を探し出す事に他なりません・・・
オープンハウス(見学会)を行って工事途中(躯体の姿)や完成現場を見せてくれる工務店もありますので活用すると良いと思います。

長所

建築費が比較的クリアで資金計画を立てやすいです。
比較的、自分の思い通りの間取りを立てやすく、おもいがままの家を建てることが出来ます。(余計な口を挟まれないから?)
工務店によって得意なメーカーがあり、例えば便器であればINAXよりTOTOの方が安く出来るとか、エアコンはダイキン、照明は三菱が安く仕入れれられるといった事があるので、それらを上手く利用できればコストを抑えることが出来ます。

短所

提案力に乏しく、プレゼンテーションもあまり期待できないので、少ない図面の中で自分で理解する必要があります。(設計部のある工務店はこの限りではありません)
工務店の不利益に繋がる工事(難しいやリスクのある工事)は受けてもらえない事もあります。
設計士が必ずしもお施主さんの味方でないことがあるので注意が必要です。

まとめ

自分で間取りを考え、自分で勉強して「自分の思いどうりの城」を作りたい人向け。
設計から全て自分で家造りをしたい人は工務店に直接依頼すると良いでしょう。

こんな工務店に注意

基本的にはハウスメーカーと同様です。
設計と請負が一体となるので経営状態に探りを入れながら計画を頼むと良いでしょう。
建築家と数多く工事を行っている業者さんの場合は、設計事務所に訓練されているので技術力を評価しても良いと思います。

設計事務所に設計を依頼する場合

設計事務所といっても様々で大きく別けて3タイプあります。
1.アトリエ系設計事務所(雑誌等に掲載され、デザイン性を重視する事務所)
2.非アトリエ系設計事務所(機能面面を追及した住宅を設計する事務所)
3.下請け設計事務所(大手ゼネコンやハウスメーカーから仕事を請けている事務所)
ここでは、主に1・2を対象に話を進めていきます。

設計事務所に設計を依頼する時には別枠「設計料」を支払う必要が出てきます。多くの場合は建築費の10%~15%という設計料が設定され、その資金を繰り出せるかが始めのステップになる事と思います。
しかし、設計料が必要なのは設計事務所が設計をした場合だけでなく、ハウスメーカーや工務店でも同様に経費が掛かるわけで(ハウスメーカーの場合は本社経費や技術開発費で同等以上の経費が掛かっています。設計料の一部は工事費に含まれているとお考え下さい。)、必ずしもその設計料がまるまる増えるというのは大きな誤解です。

設計事務所は図面を書くことも重要ですが、それ以上に予算調整や現場監理に労力を費やします。工務店選定のアドバイスを行い無駄な予算などをそぎ落とす努力をします。
現場監理では、お施主様の立場に立ってチェックを行います。この第三者の目がキチンと行き届く事が刺激となり良い家ができる事へ繋がります。

設計に関しては、その建築家の得意分野があり一言で言い表せませんが、基本的に法に叶うものならばどんな事も出来るはずです。ただし、特殊性のある家(ツリーハウスやOMソーラーなど)の場合は、そういったスキルのネットワークがないと出来ない事があるので、始めに確認すると良いでしょう。(中には木造住宅しか設計しませんって方もいるかもしれません)

建築家との相性を判断する為にも、竣工した物件に案内してもらうと良いでしょう。写真や図面ではわからない発見があったり、そのオーナーさんとのやり取りで人柄が判断できると思います。

敷地が特殊な場合は特に、設計事務所向きといえるでしょう。様々なアイデアで敷地のポテンシャルを最大限に生かしてくれます。コレはハウスメーカーや工務店には難しい事だと思います。

しかし、時に建築家はお客さんの意思を無視した作品を作りがちです。
デザイン性に富んだ芸術品を目指したくなるものです。あくまで、自分がそこに住むんだという意識を持って望み、自分が満足できる家造りをを目指してください。

長所

お施主さんのイメージやアイデアを最大限に膨らまし実現させてくれます。
建築家の技術レベルにもよりますがほぼ何でも設計が出来きると思っていいと思います。ただし、法律や構造によって制約は受けますけどね。

その土地の良さを見つけ出し、お施主さんのイメージ以上の住まいを描いてくれます。
物事の本質を見極め、いろいろなアプローチでの提案をしてくれます。

短所

打ち合わせ回数などが非常に多く、工期も掛かります。
単純に、設計期間半年・工事期間半年、併せて1年がかりの計画だと考えておくと良いでしょう。

工事費が明確になりません。時として、工務店に見積もりを取ったら大幅に予算オーバーなんてことも。
工事の金額は、市場価格や工務店の状況など様々な要素が絡んで決定するのと、建築家がその都度新しいものへの挑戦を行っている為、金額を把握しきれない事が多々あるからです。

住んだ後の不具合を直したりやメンテナンスが必要になります。
性能の確保された既製品以外に、設計趣旨にあったオリジナルの建具や、造作家具などを製作するために、それらが入居後わるさをする場合があります。
(逆に言うとそのリスクを回避する為に、ハウスメーカーなどは無垢の床材などを使うことが出来なかったり、高くなったりする訳です)

当たり前の話かもしれませんが、決め細やかな設計をすると工務店等に直接頼む時に比べ総工事費は少し高くなります。

まとめ

皆と同じものは嫌い。出来る限りオリジナリティーの溢れる住宅がいい。
家造りをする過程を楽しめる方は設計事務所に依頼すると良いでしょう。
気になる建築家がいるなら一度会って話を聞いてみてください。
そして、完成した家を見せてもらうのが一番です。

設計事務所選びの注意点

設計事務所選びの注意点はやはり建築家との相性です。
その人の趣味や嗜好。様々な角度から自分との共通点を探し出し、自分と感性の近い建築家を選ぶことが成功の鍵といえると思います。

経験が豊富な建築家は知識も豊富ですが、かえって新しい技術に疎い場合があります。昔のセオリーが今では通用しないなんて事もしばしばあるので、ご注意下さい。
若い建築家は、失敗を恐れず何でも挑戦してくれる反面、やはり失敗もあるかもしれません。どちらがいいのかは一概には言えません。

大きな設計事務所になると、建築家はアドバイス・チェックだけで実際は所員がアイデアを出し図面を書いている事(特に細かい所は)が多いので、同行する所員にもチェックが必要です。気になる点があれば所員に対しても質問してみると良いかもしれません。

大工(棟梁)に設計を依頼する場合

今では少なくなりましたが、大工さんに直接工事をお願いするケースです。
私が知っている事例はあまり多くないので参考にならないかもしれませんが、和風の建築で昔ながらの家を依頼したい場合は相談してみると良いと思います。
基本的に図面等での細かい打ち合わせを期待するのは難しく、大工さんの感性で仕事を頼む事となります。
作る人=打ち合わせする人という関係上、やりとり上の難しさがあると予想できます・・・

※情報を整理出来次第記事を増やしていきます

リフォーム会社に設計(工事)を依頼する場合

リフォーム業者とは正確な用語の定義がありませんが、ここではリフォームを専門として工事を請けている会社としてお話します。
この手の業者さんの場合は、営業担当者が設計から工事監督まで全てを受け持ちます。
同じ人がすべて見るので、意思疎通は上手く図られやすい反面、細かい注文は苦手です。
設計というよりは、設備機器やクロスを選んだり仕上げ材を選ぶことがメインで、既製品を主に使って工事します。
一戸建てを建てている工務店に依頼するより、リフォームを専門としている業者のほうが安いことのほうが多いと思います。
それは、建築のサイクルが早いので、設備機器等のの購入数が多い為、割引率が良い事などが考えられます。(コレは、建売業者でも同様のことが言えます。)
しかしながら、業者の中には不親切な業者もあり、注意が必要になります。

長所

商品の割引率が高いので、工事費を抑えることが出来ます。
(そのかわり、メーカーやシリーズが限られる場合あり)
私の実家をリフォームした時には、こういったリフォーム専門の業者さんに工事をお願いしました。同じマンションのリフォームを数多く手掛けていたので、下地の状況や管理組合とのやり取りなど熟知していて、非常にスムーズかつ丁寧な工事が行われました。

短所

現場にほとんど監督さんがいないので、詳細図面を書かないと出来ないような工事は少し苦手です。
平面図のみで工事が出来る程度の工事内容を得意とします。

まとめ

お化粧直し程度のリフォームであれば、断然お得。リフォーム会社に依頼すると良いでしょう。

リフォーム会社選びの注意点

リフォームの場合、500万円以下の工事なら建設業法の建設業許可が必要ありません。
その為、良く問題となる欠陥リフォーム・悪徳業者の工事は500万円以下というケースがほとんどです。ですから、工事費の比較的安い請負工事の方が注意をする必要があります。。
出来れば、その業者が建設業許可を持っているかを確認し、更新年をチェックしてください。(五年毎更新の為、許可期間が切れていないか?)
一つの目安になると思います。
また、近所で手掛けた物件を紹介してもらい、評判を聞けると間違いありません。

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