Ver2.2 Last Up Date:11.9.28

住宅用地について

家造りを検討している方や始めたばかりの方は、その土地にどんな大きさの建物が建つかすぐには想像できないのではないかと思います。
特に都心に家を建てる場合は、敷地の広さが充分に取れず容積率(敷地に対する床面積を制限するもの)や建蔽率(敷地に対する建築面積を制限するもの)ギリギリの設計を強いられる事が良くあります。専門家でも法律によって複雑に絡み合ったパズルを解くような作業は時間を要し、簡単な事ではありません。
ここでは、詳細な検証方法は概略を紹介し、土地購入時や建て替えの際に注意すべき事項を中心に説明したいと思っています。

また、購入検討用地にどれくらいの建物が建てられるかといったボリュームチェック方法はこちらをご確認下さい。
→建物のボリュームチェック・建築家のテクニック

これから土地を買う場合の土地の見方

これから土地を購入しようという場合は大抵、建築家やハウスメーカー等の担当者がついていないことが多く自分自身でイロイロ判断しなければならない事があると思います。
もし、相談できる専門家がいたら早いうちに相談する事をお勧めしますが、基本的には住宅が建てられるという条件で土地を購入していれば問題ないはずです。
しかしながら悪徳な業者もいないとは限らないので、どうしても心配なら特約事項を設け、建物を建てられない場合の解約の逃げ道を作っておく方法も有ります。

また、あまりにも周辺の市場価格より安い土地の場合は何らかの問題があると疑って調査する必要があります。建物は建つ土地だけれども、制限が厳しく思うように建物が設計できないような土地だったり、軟弱地盤や土砂災害の危険性がる場所だったりと見た目ではすぐに解らない問題をはらんでいる危険性があるからです。

一つの判断基準としては、周辺に建つ建物を見て予想する方法があります。通常同じ用途地域内の土地であれば斜線制限は同じ為、受ける制約が同じです等による制約を大まかに把握する事が出来ます。
また、周辺にRCの建物がない場合は地盤が悪い事も考えられます。

とりあえず土地購入時の注意点を簡単にまとめておきます。

1.市街化調整区域ではないか?

一般的な宅地であれば問題ありませんが、周りが田畑しか見当たらないような場所は市街化調整区域である場合が有ります。市街化調整区域は、名前の通り住宅等の制限をする場所で更地から住宅を建てる場合は都市計画法等の許可が必要であり、一定の条件が揃わなければ建築する事が許されない土地です。
その為、土地価格が安い事が多い反面リスクの高い土地といえます。
土地を販売する人の意見だけでなく、早いうちから専門家に意見を聞いて検討すると良いと思います。

主にこの地域に建物が建てられる条件としては、
1.この法律が出来る前から住宅用地だった(法改正により100%建てられる保証がなくなりました。)
2.農業や漁業に従事する方の物置・家屋など
3.集落が形成された地域への連担制度を利用した新築・建替え
等が挙げられます。

注意が必要なのはそこに従前の建物があるからといって必ず建て替えが出来るとは限らない事です。役所の担当者が変わった途端、建築ができなくなる事もありますので気をつけてください。
また、配水管や上水道、ガス管などがない場合もありこれらの新設には多額の費用がかかる事があります。前もって費用等を確認する必要があります。

2.生産緑地ではないか?

東京都内では練馬区などでよく見受けられるのが生産緑地です。
コレは農家の方が30年という単位でその土地を農業に使うという事で税金の大幅免除を受けている土地です。
生産緑地から宅地に変更するには一定の手続きが必要な為、きちんと宅地として使えることを契約書に盛り込んでいただきましょう。
→農家の方が生産緑地を解除する場合(作成予定)

3.風致地区ではないか?

風致地区の説明購入予定の土地が風致地区でないかを確認してください。風致地区とは景観の良い地域等を風致地区と定め緑や河川を保護する為の定めです。
その為、建物の色彩(外観の)や建蔽率、敷地からの離れ寸法(隣地境界線から2m以上壁を離さなければならない等)、高さ等に制限がある厳しいものです。
用途地域により定められた建蔽率より小さく建てなければならない場合が場合がほとんどなので、敷地が充分に大きくないと建築する事が非常に困難になります。
建築は可能な土地だけれども、実質建物(希望する)が建てられないなんて事のないように購入前に予め検討をする事をお勧めします。

4.接道はしているか?

道路セットバックの説明・2項道路とは住宅を建てる場合、敷地が少なくとも2m以上接している必要があります。
一見道路に接しているような土地でも、道路のように見えて水路(暗渠)であったり、建築基準法上の道路でない場合があります。
特に私道にのみ接続する場合は権利関係や、水道・ガス等の引き込みにおいて問題が生じる事がありますので注意が必要です。

また、前面道路幅員についても注意が必要です。
ここで言う道路とは4m以上(一部では6m以上)の道の事をいい、それに満たない場合は後退する必要があります。
コレをセットイバック(道路後退)と呼びますが、道路の中心から2mづつ割り振ってセットバックする場合と、対面が崖地などの場合は一方的に後退する必要があったりするので、後退線がどの位置になるか確認が必要です。

さらに、角地(道路と道路に挟まれている土地)の場合は隅切り(土地の端部を斜めに切り取る)の必要がある場合があり、更に敷地が狭くなってしまいます。
このセットバック部分と隅きり部分には建築する事が出来ないので、これらを除いた敷地面積を提示してもらいましょう。

※隅切りがある場合は建蔽率が10%割り増しになります。

5.特殊な敷地形状の場合(旗状地)

旗状地の説明道路から路地状の敷地が続きその先が広がっている土地を旗状地と呼びますが、その場合は通路の有効幅員などが制限されますので注意が必要です。
寸法にゆとりがない場合はフェンスやブロックなどを設けられない他、通路状の部分の長さによっては三階建て以上の建物を建てられないなどの制約があります。
面積に対して土地の価格が安い事が多いですが、通路状の部分には満足に建物を建てることが出来ない為、駐車スペースなどに利用可能かなどのチェックが必要です。
三階建て以上の建物や共同住宅をを建築予定の方は特に注意が必要となります。

6.斜面地や敷地内高低差がある場合

傾斜地の30度法面斜面地の場合注意しなければいけないのが地盤の状態で、土砂災害などに見舞われないよう注意が必要です。チェック方法としては、周辺の擁壁やブロックにひび割れがないかどうか、造成がいつごろされたものなのか等が判断材料になります。
また、急傾斜崩壊危険区域や崖地規制にかかる場合はいろいろな制約がつく事になります。(その他条例などいろいろ規制有)
背後の山や擁壁などから一定の範囲(法らく線:崖地から30度の範囲)をRC造で作らなければならなかったり、基礎を深くする必要が出たり、いろいろ建設コストがかさむ工事の必要が出てくる事があります。これらのコストを予め予測して土地購入費に上乗せして検討しておかないと、建物に掛ける予定だった資金が足りないという事にもなりかねません。注意が必要です。

7.下水道や上水道の経路を確認

都心では滅多にありませんが、少し郊外にいくと(市街化調整区域も)、敷地の面している道路に配水管が埋設されておらず、合併処理浄化槽の設置必要があったり水道管やガス管の引き込みに費用を要したりするケースがあります。
中古の家屋がある場合でも、他人の敷地を介してこれらの配管が敷説されている場合もあり、利用に関して後々トラブルになる可能性もあります。
売買契約を結ぶ際には、重要事項説明書で確認してください。

8.既存家屋について

土地を購入する場合には、中古家屋付きの土地を購入し、しばらく住んでから建て替えるというケースがあります。
土地の性質(風向きや日照条件)等を体感でき建て替えの際に役立ちます。
注意が必要なのは、建て替えの際に解体工事が必要になることと、仮住まいの為の費用も余分にかかることです。
解体の場合は、木造家屋の場合が一番安く約100万円~。
RC造やビルなどの場合はさらに解体費がかさむ事になるので数年間住む事で得られるメリットよりもデメリットのほうが大きくなる場合があります。
また、工事期間中は仮住まいによる家賃が必要になる事や引越し回数が増える事になりますのでご注意下さい。

9.近隣関係や周辺敷地について

建物を建てる場合は、その敷地内で完結させることは珍しく、周辺環境とうまく調和して設計する必要があります。その敷地からの見晴らしや風通し、日照条件なども重要ですが、近隣関係も住む上では非常に重要だと思います。
周辺環境について注意すべきは、隣地が空き地や駐車場、古い家屋が建っている場合です。
数年後には建て替え等で建物が建つことが予想され、しかもどのように建つかが解らない状態で設計を進めなければならないからです。
空き地の見晴らしが良いからといって、そちらに窓を設けたらすぐに家が建って壁が出来てしまい真っ暗になってしまったといっても文句が言えないのです。ですから、隣が空地でもどのような建物が建ちうるか?(2階建てなのか3階建てなのか?)等を考えながら設計する事も必要になります。
敷地を選ぶ際には、周辺に建つ建物を参考に、そこに建つであろう建物をイメージしながら判断するようにしましょう。
そこに見えている姿だけが現実ではないのです。

また、住み始める前から近隣に住む方がどんな方かかは容易に想像できませんが、ゴミ置き場の清潔さやガーデニング等で予想するのも有効かと思います。

10.地盤や水害などの確認

斜面地の注意点建物を建てる上で予算外の費用が発生する可能性が最も高いであろう問題が地盤です。
特に重い建物(RCや高層物件)の場合は、更にシビアとなるので事前の調査を行う事をお勧めします。
具体的には、役所等に赴き建築審査課で周辺地域の地盤データを調べる事が有効です。
しかしながら、その地盤データを見ても見てすぐに解るものではないので専門家に意見を聞く必要があります。また、地盤調査会社に依頼して周辺データを取る事が可能です。相談している建築家等がいれば、データをもらうと良いでしょう。
※傾斜地の場合は必ずしも周辺のデータと一致しない事も多く、どのように切り開かれたかが重要となります。一般的に盛り土なら軟弱、切り土なら良好である場合が多いです。

また、新しい宅地造成地は盛り土をして造成している事が多く、沈下を起こしやすく注意が必要です。(開発で掘った土を敷地外に捨てるとお金がかかる為、盛土にすることが多い)

また、最近の異常気象で年々大雨による浸水や土砂災害のリスクが高まっています。
各都道府県、市町村でハザードマップ(災害危険予測図)等を配布しているので調べてみると良いと思います。
また、地名で水由来の名前がついているところはかつて川や池(またはその周辺等)であったため、地盤や水害のリスクが高い土地である事も多いです。灘・沢・深・川内等の文字が含まれている場合は注意して昔の土地利用図などを確認してみてください。(神社仏閣は水害等のリスクの低い所に建てられている事が多いです。)
→国土交通省ハザードマップポータルサイト
こちらで全国のハザードマップを検索できます。

11.借地等ではないか?

借地権の譲渡の場合は、中古家屋と一緒に購入する場合がほとんどです。
注意しなければならないのは、毎月土地を利用するための地代が必要なのと、契約している内容以外の土地活用が難しいという事です。
例えば、庭の一部を駐車場として第三者に貸し出す場合は「無断転借」に当る場合があり、契約の解除を申し付けられる場合があります。(ただし、お客様等に無償で貸す場合はこの限りではありません)

また、建て替えをする場合も非常に厄介で、地主との調整が上手くいかず難航する場合がほとんどです。
今まで木造家屋が建っていた所に鉄骨造やRC造を築造しようとする場合には地主の許可と、相当の保証料等が必要になりますので注意が必要です。

土地を購入するのと違い、借地権(権利)のみの売買なので、その権利の範囲が何処まであるのかを明確に理解する必要があります。

また、新規に地主さんから定期借地権として土地を借りる事も考えられます。
この場合は、土地を購入するよりも安く賃借でき希望の家が建てられるというものです。
しかし、期間が定められているものがほとんどで、50年後等に土地を更地にして返却する等の条件がつきます。(建物買取請求権がある場合もあります)
借地期間が満期になった時にどのように過ごすのか?(何歳になっているか?)
キチンと考えておく必要がありそうです。

12.その他土地購入時に注意したい事

土地購入時に注意したい事はここまでに述べてきた事以外にもいろいろあります。
上記のものは基本的に建物が建つのか建たないのか?建築費用以外の予想外の予算を容易する必要のある土地やリスクのあるものをまとめてみました。
しかし、これらが土地探しの全てではありません。
こういったリスクのある土地に住んでいる方も当然多いわけで、技術力等でカバーできる事がほとんどです。

また、土地を購入の際に取り交わされる「重要事項説明書」が非常に重要です。
その土地に対する条件や係ってくる法律・規制。水道管やガス管の埋設状況や道路の状況など事細かに記述されたものです。
この書面の中で、一つでもわからない用語等があれば、キチンと説明を受け契約をすると良いと思います。
消費者(購入者)にとって不利になるかもしれない事はこの書面にて記載し説明する事が多いからです。

土地をお持ちの方が建て替え前に注意する事

相続で引継いだ土地や、購入済みの土地がある場合は、建築以外の費用がどれくらいかかるのか予め検討しておく事が得策です。
上記のような用件に該当していないかを確認すると共に、下記のことに注意してください。

1.今の家よりも小さくなる事がある

法律の改正等で、昔は合法的に建てられた家も今の法律に照らし合わせると違反建築物になっている事も多く、建て替え時には今のような大きさでは建てられない事が多々あります。
一つは道路問題。道路のセットバックの必要や、道路斜線により削り取られ満足に建て替えられないケース。
次に用途変更などで、建蔽率や容積率、日影規制などが変更されている場合です。このケースでは逆に大きく建てられる様になっている事もありますが、周りの建物と見比べて判断すると良いと思います。
その他、地区協定や法律の改定により制約が増えている場合があります。

2.生産緑地の場合

新居を建てる予定の土地が農地などの場合は、生産緑地に指定されている場合があります。
この場合は、その指定を解除する事が非常に難しく、すぐに家を建てられるとは限りません。
また、解除に成功した場合でも農地の間に猶予されていた税金の納付が必要になる場合もあるので税理士さんなどに相談して進めるのが良いでしょう。

3.市街化調整地域の場合

市街化調整地域内の建築の場合、必ずしも再建築が保証されません。
所轄の都市計画課等と協議の上再建築可能かどうかチェックする事が不可欠です。

4.借地の場合

借地の場合、土地の借主に無断で建て替えする訳にはいきません。
上物がなくなった途端借地権が消滅してしまう事もあるので、事前に協議が必要になります。
新たに保証金が発生したりする可能性がある他、構造様式・規模の変更の場合には契約違反となってしまう場合もあるので注意が必要です。

5.その他

既出の土地購入時の注意点同様に地盤や給排水経路において確認が必要になります。
後から思わぬ支出が増えぬよう予め危険因子は取り除いておきましょう。

土地購入ユースフルアドレス

東日本大震災を受けて住宅地や新築マンション等を購入する際のチェック項目が非常に多くなりました。
この項では建築家が有益と思えるサイトを紹介します。
液状化のリスク判断や津波等の対策。大雨による浸水リスクなどを計る目安となるサイトです。
※いずれも個々の状況によって危険度は変化しますので目安としてご覧ください。
・震災リスクに関するサイト(建物倒壊危険度・火災危険度マップ)
→東京都都市整備局「あなたの街の地域危険度」(pdf)
・同上区市町別危険度ランク総括表
→東京都都市整備局「あなたの街の地域危険度」区市町別危険度ランク(pdf)

東京都内において非常に細かく震災リスクを検証しています。
地震によって起きる火災などに対する危険度等もあわせてご覧いただけます。

・浸水被害リスク(ハザードマップ)・土砂災害、津波や洪水リスクを調査できます
→国土交通省ハザードマップポータルサイト(国土交通省HP)

全国のさまざまなリスクに対しまとめてあります。震災被害や津波リスク、土砂災害などのリスク判断に有益です。
また、全国の市町村の調査データへのリンクなどもありますのでまずはこのサイトを確認するのがよろしいかと思います。

・地盤の揺れやすさマップ(ビジュアルで解りやすい)
→総務省「全国ゆれやすさマップ」(総務省HP)

全国の揺れやすさマップ。震源地から離れた場所で地震による影響の差をビジュアル的にわかりやすく表現しています。
まずはこちらで地震による影響の出やすい地域かどうか確認してみてください。

・液状化予想図(東京都版)
→液状化マップ(東京都土木技術・人材支援センターHP))

東京都の液状化リスクマップです。
液状化のしやすさをすう段階に別けて色分けしています。
東京都以外にも各都道府県で液状化マップは用意しているので、
「液状化マップ ○○県」と検索して調べてみてください。

・東京都防災マップ
→東京都防災マップ(東京都総務局HP)

東京都の避難所等の検索ができます。近隣にどのような避難施設があるか検索するのに有益です。
駅名で簡単に検索できます。

・ボーリングデータ検索(地盤柱状図)①
→ジオテック(民間の地盤改良会社)の検索サイト「GEODAS」

住宅地盤調査及び地盤補強工事会社のネットワークによる全国の地盤データを提供。一部有料サービスになっています。
※近隣地盤データは不動産屋さんや建築家、ハウスメーカーを介して取ることができますので、相談してみると良いと思います。
また、役所でも近隣の地盤データを保管しているところもありますので確認してみると良いと思います。

・ボーリングデータ検索(地盤柱状図)②
→国土地盤情報検索サイト(kunijiban)

公共施設のボーリングデータを検索できます。主に河川付近のデータです。
データ数は少ないです。

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