Ver1.0
11.01.23

蓄熱式床暖房のランニングコスト(電気代)公開・温度比較について

蓄熱式床暖房のランニングコスト・電気代データー
建築家の自邸で実験的に導入させていただいた蓄熱式床暖房のデータが大分集まりましたのでHPにて公開させて頂きます。
蓄熱式床暖房のランニングコスト(電気代)と非蓄熱住宅との温度比較等のデータとなります。
結果のみを書いてもしまっても条件などが明確でないと意味を成さないので、少し前置きが長くなるかもしれませんがご了承下さい。

蓄熱式暖房の仕組みについて

蓄熱式暖房とは、主に石やレンガ水などの熱容量の大きな物質に熱を蓄えて利用する暖房です。
主に、電気代の安い夜間電力を利用し、電気代の高い日中に放熱させランニングストを抑えた快適な暖房を目指した物です。
それゆえ、熱源は電気、ガス、灯油など決まりはなく、一言で蓄熱式床暖房といっても様々なタイプがあり、また、床を暖めるための物や、ストーブのように床の上に設置するタイプ、天井に隠蔽するもの等多種多様で、それぞれの特色はなかなかお伝えする事ができません。

採用した床暖房のシステムについて

蓄熱式床暖房の配管

今回蓄熱式床暖房のランニングコストを公開させていただくシステムは、ヒートポンプを利用した蓄熱式床暖房となります。

ヒートポンプ式床暖房とは、簡単に言うとエアコンの室外機を利用して床暖房をするといったもので、熱効率が大変良く電熱式の床暖房に比べると電気代を1/3~1/5程度まで抑えて運転する事が出来るという仕組みのものです。

そして、蓄熱式床暖房は深夜電力を利用して運転する為、電気代も日中の約1/3で運転する事が出来ます。
よって理論上1/3×1/3=1/9の電気代で床暖房が出来るというシステムになります。

実際は、カタログ値の性能より外気温が下がると効率は悪くなるのでこのような成績は出せませんが、これから公表するランニングコストを見ていただくとその成果を確認していただく事が出来ます。

蓄熱式床暖房住宅と非蓄熱住宅との温度比較

電気代を公開する前に、採用した住宅と、非蓄熱式住宅の温度比較のデーターをご覧下さい。

これは、2010年10/30~2011年1/23の期間における非蓄熱住宅と蓄熱式床暖房住宅の温度グラフです。
それぞれの建物は隣接して建てられた次世代省エネ基準(等級4)の住宅で下記のような違いがあります。

蓄熱式床暖房住宅と非蓄熱住宅の諸データ
A棟(非蓄熱式住宅) B棟(蓄熱式床暖房住宅)
1階平面図 非蓄熱住宅の間取り 蓄熱式床暖房採用住宅の間取り
述床面積 80.18㎡(1階は43.62㎡) 99.41㎡(1階は46.29㎡)
暖房方式 エアコン・ガス式床暖房
掘り炬燵
但し、ガス式床暖房利用頻度小
蓄熱式床暖房のみ
運転時間6~8時間
断熱方式 壁・充填断熱 屋根・外張り断熱
窓・ペアガラス
※次世代省エネ基準(等級4)
壁・外張り断熱+充填断熱付加
屋根 外張り断熱
窓・ペアガラス
※次世代省エネ基準(等級4)+付加断熱
日照条件 9時くらいから日当たり有
一般の住宅に比べると日当たりは悪い
10時くらいから日当たり有
一般の住宅に比べると日当たりは悪い
その他 階段は扉を閉じ区画する事が出来る
エアコンを時々利用しているが、掘り炬燵を利用している頻度が高い
土間リビング採用。階段は吹き抜けており、暖気は二階まで逃げて行き暖房効率の悪い間取り
また、カーテンが一切していない為、窓部の断熱性能も悪い

温度のデータを解りやすくする為、リビングと外気温、蓄熱層(土間暖中)のみ表示しました。
黒い線は外気温のデータ、赤は非蓄熱住宅のリビングの温度、紫は蓄熱式暖房住宅のリビングの温度です。
黄色い線は蓄熱層の内部の温度となります。

蓄熱式床暖房は毎日6~8時間運転していました。
12~1月期は蓄熱層に13~14度ぐらいの温度差の熱を蓄えて放熱している事がわかります。
リビングの温度は20度から25度位の範囲に一日中保つ事が出来ました。
蓄熱式床暖房を運転する前(夕方から23時)までは若干寒い感じはありますが、比較的薄着で暖房無しでの生活が出来ています。
これは、気温だけでなく放射熱による効果も大きく緩やかな温かさです。
※非蓄熱式の床暖房のような足の裏が熱々のものとは性能が異なります。

非蓄熱住宅と蓄熱住宅との温度の差は8~12度くらいの範囲で推移しています。
その為、両住宅を行き来するとその効果ははっきりと解ります。
セーターを一枚着込んでも、まだちょっと寒く感じる。そんな体感的な性能の差があります。

2011年2月21日12:00の温度比較
A棟(非蓄熱式住宅) B棟(蓄熱式住宅) 温度差
1階リビング 14.0℃ 23.0℃ 9.0℃
寝室(南) 12.0℃ 17.0℃ 5.0℃
小屋裏 11.0℃ 13.5℃ 2.5℃
外気温 7.0℃ 7.0℃ --

2011年2月21日17:00の温度比較
A棟(非蓄熱式住宅) B棟(蓄熱式住宅) 温度差
1階リビング 14.5℃ 23.5℃ 9.0℃
寝室(南) 14.0℃ 19.0℃ 5.0℃
小屋裏 13.0℃ 14.5℃ 1.5℃
外気温 10.0℃ 10.0℃ --

エアコンを利用していない日の日中の温度差を比較するとこの表のようになります。
リビングで比較すると9℃の温度差です。
20:00ぐらいまで蓄熱床暖房住宅は23.0~23.5℃の温度を保ち、徐々に蓄熱量が足りなくなり、蓄熱式床暖房の運転時間開始の23:00には21.5℃まで低下しました。

蓄熱床暖房の敷き設していない2階の寝室部分でも5度の差があり、家全体で快適さに差が出ています。

蓄熱式床暖房の一ヶ月の電気代は?

蓄熱式床暖房の一ヶ月の電気代ですが、2010年12月6日~2011年1月5日(計31日間)において
4,174円という電気代になりました。

このうち基本料金が945円含まれていますので、
実質の蓄熱式床暖房の一ヶ月の電気代
3,229円
となりました。

因みに前期の蓄熱式床暖房の電気代(基本料を除く)※1 は、
12月:1,615円
1月:3,324円
2月:3,565円
3月:3,694円
となっています。

※1 過去記事では基本料金を含めた金額を蓄熱式床暖房のコストとして公表していますが、今回は基本料金を除いた電気代を蓄熱式床暖房のランニングコストとさせて戴きました。これは、蓄熱式にしない場合も、トータルの電気量がUPし契約電力を上げる必要があるため基本料金が上がることが想定される為、純粋に使用電力量のみがランニングコストだと提示させていただいています。因みに今回のシステムの場合基本料が945円掛かっています。

※私が採用した時点よりヒートポンプ熱源の効率も格段に上がり、現段階ではもっと効率的な蓄熱式床暖房の運転が可能になります。よって電気代はこの数値より下げる事が可能となっています。

蓄熱式床暖房のメリット

蓄熱式床暖房のメリットは、なんと言っても光熱費を抑えられること。
安い電気代を利用して運転する事が出来るので、電気代を気にせずに生活する事が出来ます。
また、エアコンの風等が嫌いな方にも効果あり、ほんのり温かい環境を作り出すことが出来ます。

また、吹き抜けや階段室がオープンな場合はコールドドラフトといった冷気が吹き降ろす現象があるのですが、蓄熱式床暖房であれば気流が起きないのでエアコン等での暖房に比べ緩やかで、緩和する事が出来ると思っています。

蓄熱式床暖房のデメリット

蓄熱式床暖房の最大のデメリットは温度管理が難しいという事。
翌日の天気や気温を予想して運転する必要があり、運転方法を誤ると温めすぎてオーバーヒートする事があります。
その場合、換気をする等で温度調節が可能ですが、なんか勿体無い気がしてしまいます。

足の裏のポカポカの床暖房を一日中保とうと思うと、またそれも熱を蓄えすぎてオーバーヒートの原因になります。
家の温度を全体的に引き上げる事は可能ですが、蓄熱式の床暖房を働かせる直前にはある程度温度が下がるという事は覚悟しておく必要があります。

つまり、通常の床暖房が安い電気代でそのまま使えるという認識ではいけません。
夜間に蓄えた熱をゆっくり放熱させるのが蓄熱式の床暖房で、快適さの質が全く異なる設備となります。

蓄熱式床暖房を採用して思う事

蓄熱式床暖房を採用して思う事は、やはり温かいという事。
上記のシステム、電気代で日中はセーターなどを着ることもなく過ごす事が出来ています。
ただし、日によっては若干肌寒い時もありますが、逆にコレは季節を感じる上でも必要な事だと思っています。

そして、外から帰宅してもいつも温かい事。
家についてから暖房を運転して温めるのではなく、玄関を開けた瞬間から温かいので家に帰宅した際の気持ちに違いが産まれます。
それは、夜遅く帰宅したり、急な気候の変化の後に帰宅した際に良く感じられます。

家にいる時間だけでなく、この家の出入りの瞬間に家の温かさを感じられる事。
それが蓄熱式床暖房を採用した後に思う良いところです。
なんか、ちょっとした幸せが増えた感じ。
これは、凄く大げさな事ではなくて、こういう気持ちの生まれる要素が家には大切なんじゃないかなぁって思うからです。
こういう頭で考えずに家に帰宅してホッとする感じは家族みんなにとっても重要で、家族の絆も深めるんじゃないかな?
少し、考えすぎかもしれませんがなんとなくそう思うんですよね。。。

蓄熱式床暖房の電気代についての注意

ここで、公開させていただいた電気代は、実際の請求金額をそのまま公表させていいただいています。
蓄熱式床暖房のみ別メーターで契約している為、完全に蓄熱式床暖房分のみの電気代となっています。
しかしながら、住宅の規模や間取り、断熱性能、日照条件、また蓄熱式床暖房のシステムによっても結果は異なると思いますので、採用に当たっては建築家の方と充分協議して採用なさって下さい。

蓄熱式床暖房が暖房方法の全てでないので、ライフスタイルやコストに応じた設備を選択することが重要になります。
日中家にあまり居ない家庭とは少々マッチングが悪いですからね・・・

設計事務所の紹介・建築無料相談のご案内

本ページはAkatuki Design 一級建築士事務所のコンテンツの一部です。
当事務所にご質問や問い合わせがある場合は、問い合わせフォーム(またはメール・FAXにて)をご利用下さい。建築家自らがご質問や問い合わせに応じさせていただいております。