和洋折衷の骨董屋さん~骨董いわた竣工写真

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和洋折衷の骨董屋さん~骨董いわた竣工写真

和洋折衷の骨董屋さん
東洋・西洋様々な逸品が揃うお店です

建築概要

東京都港区南青山の骨董屋さん
骨董いわた(antiques iwata)

諸データ

建設地: 東京都港区南青山
工事種別: 店舗・リフォーム
面積: 約9坪
建設費: 1000万未満

エントランス部

骨董いわたスケッチ

内装イメージ

骨董いわたスケッチ

Portfolio / 竣工写真ピックアップ


Concept / コンセプト

以前勤務時代に住宅を設計したお施主様から骨董屋さんを開業するので店舗の内装をお願いしたいという依頼を受けました。
その住宅はフランク・ロイド・ライトのプレーリーハウスをイメージしたデザインで、お施主さんの骨董品や家具が散りばめられた素敵な空間となりました。
今回の店舗では、和風でも洋風でもない様々な骨董を扱う骨董屋さんに似合う内装にしてもらいたいとのオーダーで、とても抽象的なものでした。

一応、お施主さんが参考にしてほしいという骨董屋さんがあったのですが、休業してしまっていたのでイメージを完全に共有することはできず設計がスタートとなりました。

頼りにしたのは住宅を設計させていただいた10年以上前の記憶。
お施主さんの趣味や嗜好を思い出しながら、販売する予定の骨とう品を見させていただきながらイメージを膨らましました。

難しかったのは和風でも洋風でもないという事
これは逆に和風でもあり洋風でもあるという事だととらえました。
どちらかの嗜好にかたよりすぎずに様々な国の様々な年代の品物に似合う空間です。

難しいですよね(笑)

Before / 内装工事前

骨董いわた
骨董いわた

しかし、問題が一つ。
出店を決めた店舗が骨董屋さんとはかけ離れたテナントだったのです。

骨董屋さん=木造の古家屋ですとイメージしやすかったのですが、出店場所を優先して決めたので、事務所や物販倉庫向けのテナントだったのです。
バラバラなレイアウトの窓、明るすぎる店内。
そして両開きのアルミの玄関ドア。
これらの存在感を消しながらいかに骨董屋さんらしさを出すかが課題です。

Idea&Detail / 家造りのアイデア・設計のポイント

すべての始まりは玄関ドア

骨董いわた

設計期間・予算が限られる中でその突破口となったのがこの玄関ドア。
格安のアンティークの玄関ドアを探して、お施主さんが気に入りそうなものをチョイスしたところ一発で決定!
一点物の為、売れてしまわないように他の設計が固まる前に即購入していただきました。

骨董いわたスケッチ

古い住宅の扉だったので高さが低い欠点がありましたが、継ぎ足しして銅板張りとすることでデザインを崩すことなく再利用できました。

その扉を使って提案したのがこのスケッチ。
既存のアルミの両開き扉を暖簾等で隠し、少し奥まったところに扉をつけることに。
これによりエントランス部のタイルのイメージを和らげイメージの異なる外観との中間領域としました。

共用部で手を入れられないところをいかに見せるかというのが設計の要ですね。

骨董いわた

そして完成写真がこちら。
ほぼほぼ最初の提案通り。
骨董屋さんのイメージと程遠いタイルのアプローチを見せながらも感じさせないデザインです。

インスタ映えを意識して

骨董いわたスケッチ

内部は光を抑え暗めの店内に。
予算を抑えるために既存のエアコンを利用する予定だったのですが、その存在感を軽減しつつ、飾れる棚を用意することにしました。

そして正面の壁は曲線のある意匠壁に。
ここでは、周囲の壁と違ったテクスチャー&色の壁にしましょうと提案しました。

骨董いわた意匠壁

空間のイメージもあるのですが、商品を並べて写真を撮影するのに被写体に合わせて様々な背景があった方が良いと思ったからです。
インスタ映えを意識した訳です。

我々建築家は、完成時の竣工写真が美しく撮れれば良いかもしれません。
しかし、お店としてはそこにお客さんを呼び込み商品が売れなければ意味がありません。
空間だけ格好良ければよいのではなく、その運用にも意識を向ける必要があると思っています。

特に住宅や飲食店と違い、常に引き立てたいアイテムが変わる骨董屋さんだからこそ違った表情を持つ壁の重要性をお伝えしました。

骨董の良さを引き出す素材

骨董いわた

お施主さんにお願いしたのが古材フローリングを使わせてほしいという事。
玄関ドアを安く仕入れられたのと、無駄な装飾要素を少なくして予算を重点的に床材に回させていただきました。
その効果は絶大。

事務所のようにしらけた空間がこの床材だけでもぐっと骨董屋さんらしくなりました。

骨董いわた

しかし、その”骨董屋さんらしい”とは何なんでしょう。
私が目指しているのは”骨董いわた”らしい”です。
和でも洋でもない骨董屋さん。
そのイメージがこの床材だったという事です。

床に商品を直接置くことも想定してお施主さんと一緒に吟味した床材です!

設計のキーアイテム・骨董家具

骨董いわた

この店舗の設計の要となっているのは先述の玄関ドアですが、お施主さんが持ち込む予定だった家具が3点。
それらを配置して商品を陳列するという話でした。

その一つがこのガラスの薬棚。
レイアウトを決め、窓の点検口を兼ねてレイアウトしています。

骨董いわた

もう一つがこの飾り棚。
壁を補強し、どこにでも設置できるようにしました。

骨董いわた

最後にこのテーブル。
中央に置きその周囲に展示するスペースを確保しながら、ストックヤードや事務室、掃除用具入れなどのスペースを無駄なく配置しました。
約9坪のテナントのポテンシャルを最大限に活かすためにレイアウトを検討しました。

ドアなしでスムーズな品出しを

骨董いわた

ストックヤードと店舗を隔てるのは一枚の暖簾。
大事な骨とう品を抱えながら出入りすることがあるため、ドアではなく暖簾で緩く仕切りました。
ここは大雑把なイメージは私の方で検討しましたが、生地などの最終決定はお施主さんに委ねました。

竣工後、しばらくしての取り付けとなりましたがとても素敵な暖簾となり大満足です。

骨董いわた(antiques iwata)情報

十数年前のお施主さんが再び私を頼ってくれたことに感謝しかありません。
骨董屋さんをデザインするという貴重な機会に恵まれたことは今後の設計の糧にもなると思っています。
正直予算の面では非常に難しいところがありました。
しかし、感性が通じるお施主さんなので設計はスムーズに進み、私自身も満足のゆく出来栄えとなりました。

この和洋折衷の落ち着きのある空間が様々なお客さんの心に響き、またそこを彩る骨董品達がキラキラと輝き数多くのお客さんとの出会いを果たしてくれればと願うばかりです。

というわけで・・・
南青山、イチョウ並木、青山霊園にお立ち寄りの際は是非訪れてみてください。
やさしい店主さんがお迎えしてくれるはずです。

骨董いわた竣工写真

■骨董いわた(antiques iwata)
東京都港区南青山2-15-19
03-6432-9113
定休日:日・月(2019.09現在)

インスタグラム:https://www.instagram.com/antiques.iwata/
ツイッター:https://twitter.com/antiques_iwata

blogでの紹介記事です

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