レオパレス21の施工不良問題の続編が公開
レオパレスの界壁問題の第三弾?が発表されましたね。
以前の界壁問題の記事に興味を持った方からラジオへの出演などの依頼があったのですが・・・
ラジオの生番組となると迂闊なことを言えないのでお断りさせていただきました。
その代わりに少し情報を整理して自分の考えをアップしたいと思います。
今回新たに明らかになったレオパレス問題を取り上げています。
※GYAOでも2/19まで無料で見られます
レオパレス21のHPでは進捗状況98%だがオーナー会では0%
レオパレスのHPでは全棟調査の進捗状況が公表されています。
この公表数値と実際のLPオーナー会の弁護士に届いた進捗状況と大幅な乖離があるというのです。
なんと、LPオーナー会の手元の資料では調査が完了した物件は0棟となっているにもかかわらず、問題の大きかったネイルシリーズでは98.47%となっているのです。(現在の資料では99.01%)
実際、時期が多少ずれているのとオーナー会の方が所有しているシリーズがわからないので何とも言えませんが、
- ネイルシリーズが 904 / 913 完了
- 6シリーズが 13067 / 14370 完了
とHPでうたっているのでこの差は歴然ですよね。
そういった、株主や投資家に対する表向きの顔と被害者に対しての対応が乖離していること自体が大きな問題でコンプライアンスを疑ってしまうわけです。
レオパレス21の独自基準で問題なし
ガイアの夜明けでは一度市の職員と一緒に検査した際には問題ありと判定した界壁が、その後に社内基準に照らし合わせて「問題なし」と報告を受けたそうです。
その後、市の職員同伴で再調査し、施工不良を認めてもらったという事です。
これは、TVがついていたから再調査に応じたのかもしれませんが、オーナーの中ではこういった「レオパレス独自の社内基準」によって問題なしと判定した例もあると思います。
そうなるとこれまでの調査は本当に信頼できるのか疑問ですよね?
第三者でなく、独自の基準でOK出すことはいくらでもごまかしがきくわけです。
そして、役所の方と一緒に見て問題のあった物件をも「問題がない」と判定する社内基準にはなんの信用性もないと思います。
その事はかなり重大な問題だと思いました。
実は国会と同じ?見て見ぬふりの業界体質
実際この問題は、どこまで故意で、悪質かは私が直接携わっているわけでないので判定できません。
むしろ、こういった問題は身の回りによくあり、見逃されている問題の一つが噴出したといえます。
私が見聞きした建築現場の話だと、某有名事務所の所員は現場に行くなと言われるそうです。
この真意は分かりませんが、
①現場に行く時間がもったいない
②現場でのトラブルを持ち込まない
といった意図があるのだと思います。
実際、現場監理はデザイン優先で性能等を決定づけるタイミングではあまり行わない事務所がある事も聞いています。
もちろん、きっちり行っている事務所も多いわけですが・・・
図面上ではきちんと納まっているはずが実際ではうまく施工できない事が多々あります。
そういった問題を所定の基準通りには施工できない場合に「なんとかうまくやってよ」と責任を押し付けるのです。
これは、国会議員も同じ。
部下や官僚の行ったことを知ってしまってはいけない・・・
「存じ上げませんでした」という事が一番の保身だからで、自ら問題を探して解決しようとするよりは問題が上がってもないようにする方が得だからです。
こういった例は大手ハウスメーカーやデベロッパの図面等にも見受けられます。
詳細図では法令順守の施工方法となっているが、実際そのように施工されているかはチェックを行わず、到底そのようなきめ細かい施工ができるような単価では発注しない。
万一問題が表面化したら、図面通りに施工してないと下請けに直させるのではないでしょうか?
現場の知識不足から起きる問題と経験過多による問題、コンプライアンス欠如
と、憶測ばかりで業界批判することが目的ではなく。
なんとなく「建築基準法」が現代の建築にあっておらず、法律通りにどうしても作れない箇所がある。
また、その少しの事がとてつもない高額な施工になってしまうことがあることが問題だと思っています。
一つ例を挙げると準耐火建築物の場合は天井にダウンライトを設けることはできませんでした。
今までは防火避難既定の解説書という書籍の中に例えば、ダウンライトを不燃の断熱材等で覆えばOKのような図解が出ていてこれに従っていたのですが、ようやく平成28に国住指第 669 号の技術的助言として明文化されました。
このように曖昧なまま放置されているケースが多々あるのです。
一部の施工では完全に基準法の条文や基準、メーカーの施工要領書通りに施工できない事もあり、ごまかさざるを得ない部分があることから、
そういったヶ所と守れるのに守らないといった境界線が曖昧になっているのだと思います。
それと、現場の職人不足から一軒当たりに掛けられる時間が少ないこと、経験不足はもちろんですが、その逆で経験が多くても新しい工法に知識が追い付いてないにもかかわらず経験と勘にものを言わせてしまう職人がいることも挙げられます。
バブル時期などコンプライアンスの緩い時代を経験した職人さんの中には独自の「こうするのがあたりまえ」が出来上がっていて問題になることも。
つまり、知っていて施工不良を犯す部分も少なからずあると思いますが・・・
どちらかというと「問題意識をもたない」で施工不良をしてしまっていることのほうが多いと思います。
なんとなく、これおかしいなと思いながらも白黒つけない。
それが一番の保身だからです。
施工不良はどうやって防いだらいい?
では、その施工不良はどのように防ぐかです。
私の現場ではなるべく現場に立ち会ってチェックをしていますが、
私がチェックした後に、一か所金物が抜けているのをお施主さんが発見した事があります。
これは堂々と言う事じゃないかもしれませんが、
どんなに注意を払ってもテストで100点を取り続けることができないように完璧はありません。
やはり、ダブルチェックやトリプルチェックが重要になるのだと思います。
ですから、なるべくそういった検査のタイミングで建築士同伴で立ち会って、検査の方法などを聞いて一緒にチェックを行ってみてください。
また、そういった時間がない方もそのような第三者チェックサービスを行っている会社があるのでチェックしてもらうと良いと思います。
少なくとも、第三者やお施主さんのチェックが入るという事で気が引き締まってより確実に工事を行ってくれるようになると思います。
社会的に問題に取り組んでほしいこと
最後はこうなってくれたらいいなぁという独り言。
まず、建築基準法をもう少しかみ砕いて、臨機応変に対応できるような物ににすること。
例外ケースの取り扱いや、新工法が出た際に迅速にその施工法に対応したマニュアルなどが作られ、
逆に、それらに違反したら今まで以上に厳しくすることです。
一方では緩める代わりに、境界をはっきりして違反に対して厳格化する。
とにかく、今までの流れの中では「今までは大丈夫だったから」という風潮がなくならず不良施工はなくならないと思っています。
※先ほど例に出したような技術助言をもっと発信してほしい&逆にダメなケースも公表すべき
そして、投資・中古物件では銀行側にもリスクを負わせること。
そうすれば銀行側からもきちんとチェックが入るようになるでしょう。
もしくは、ローン審査に第三者機関の検査を義務付けるなど。
アメリカでは似たようなシステムがあるようですが専門家でないので良くわからないので割愛しますが、気になる方は「ホームインスペクション」について調べてみてください。
日本では、性能評価制度などで一見、第三者がきちんとチェックしているようにみえますが、現場に赴く回数からするとそれで安心とは決して言えません。
高速道路で120km/hで走行できるようになるようですが、それと同じように建築業界もなるといいなぁと思っています。
最後に念のため
なんか偉そうなこと書きましたが、業界の体質、システム的に施工不良や違反建築が出来上がってしまっている実情があります。
それらを行っている個人は、悪いことをしてやろうと思っているわけでなく、横断歩道でないところを渡るぐらいの軽い気持ちであることが問題で、そういったゆるゆるの体質を生んでしまっている法律や業界の問題が大きいのだと思います。
だからといって、コンプライアンスの低い会社や詐欺意識があってはなりません。
そして、私も完ぺきではありません。
間違えたり、誤った施工を指示することがあるかもしれません。
しかし、それは全てお客さんの為にあるべきで、会社の利益や自分の保身のためではあってはならないと思っています。
建築は法律が多岐に渡り、そして素材や施工法によって様々な組み合わせがあり、法律というう文言だけでカバーしきれない事が多々あります。
肝心なのは、いかにお施主様に寄り添うか?
自分の胸に手を当てつつ建築に取り組みたいですね。
この記事へのコメントはありません。