埋蔵文化財発掘調査・根切工事
埋蔵文化財の包蔵地域に当たるため、根切工事には役所の立ち合いが必要になります。
その為、予め工事の予定を伝えて立ち合いの予約を行って工事着手となりました。
しかし、根切工事当日。
あいにくの雨。
立ち合いに呼んでいる以上、工事を行わなければなりません。
(正確には延期できるが、予定調整等で工事の進捗に影響を出さないように)
役所の担当者さんは、先に他の現場を回ってからいらっしゃるという事だったのですが、時間前にはもう現場についていました。
おそらくそちらの現場は延期したのでしょう。
ユンボ(小型のショベルカー)で少しだけほると、もうOKのサインが。
詳しく聞いてみると、
このあたりの地層だと関東ローム層より上の表土であれば埋蔵文化財が出てこないとのこと。
土の色が赤くないことを確認できればそれでいいですよとのことでした。
一部、深基礎部分があり地盤調査ではこの地層のすぐ下は粘土層であることが解っていたので、部分的に関東ローム層まで到達する可能性もあったのですが、問題ないとのことで安心しました。
実はこの埋蔵文化財に該当して遺跡調査が必要になると工事がしばらくの期間中断してしまうのです。
個人の戸建て住宅の場合は費用を区が負担してくれるのですが、分譲住宅や建売、マンション等だと事業者が費用を負担して調査を行わなければならないという厄介なもの。
役所の方の話ですと、この地域では100件以上の現場立ち合いがあって去年は10件ほど調査が必要になったとか。
杭工事や地下室などがあると該当するケースが多いようで、そういった場合は予め調査の期間を工事に見込んでおくそうです。
埋蔵文化財の不思議
しかし、この埋蔵文化財の調査って少し不思議なんです。
その土地に埋蔵文化財があることが解っていても
例えば、隣でマンション建てた時に遺跡が見つかって、それがこちらの土地につながっているのが解っていたとしても、それより浅く家を建てれば全く問題がないのです。
あくまで、遺跡がある部分の土を掘り起こさなければそれでいい。
と、あまり積極的ではないんですよね。
もっと東京の都心部では江戸時代以降に何度も土が掘り起こされて重要な遺跡が残っておらず、調査が不要の地域も多いみたいなんですが、江戸時代に田畑だった地域はそれ以前の遺跡がそのままで残っている可能性があるため、こういった埋蔵文化財包蔵地に指定されていたりするんですね。
そう考えると、まだまだ未知の遺跡や住居跡が眠ってるかもしれないんですよね。
しかし、そんな「未知の遺跡」という素敵な響きとは反面、万一見つかってしまうと、得することが何もないという変な法律。
遺跡が見つかったので、調査させてほしい!
というのが普通の流れだと思いきや、見つかっちゃいましたね。
ではお金出して調査してくださいね。
という、はずれくじの様な埋蔵文化財。
なんか不思議ですよね。
そうそう、貝塚などが見つかると結構調査が大変の様な話を聞きました。
新たに土地を手に入れて、以前建っていた建物より深い基礎を築造する必要がある場合は、そういったことがあるというのを覚えておくとよいかもしれませんね。
これは聞いた話ですが、京都などでは少しでも深く掘るとすぐに埋蔵文化財が出てきて大変なことになるとか。
だから、基礎を浅く建てるのがセオリーと聞きました。
もちろん、すべての地域ではなくそのように注意すべき地域があるという事なんでしょうね。
排水管の行方
前回、家が建っていたはずなのに排水管と水道が見当たらないという話を書きましたが、掘っているとガス管と土管が出てきました。
管をたどっていけば出所がわかるかもしれませんが、とてもそのまま使えるようなものではないということが解りました。
しかし、この根切工事。
ほんと何が出てくるか解りません。
今まで埋蔵文化財は経験ありませんが、大量の瓦屋根や、大量の石(1mぐらいの大きいもの)、基礎や杭の残骸など。
こういった地中障害物が出てくると、工事費に上乗せになります。
また、それまで工場が建っていた跡地では赤い水が出たという話を聞いたことがあります。
この根切ガチャは怖くてたまりませんね。
一方、小判や現金が出てきたという当たりを引いたことは一度もありません(笑)
おまけのクイズ
こちらの写真。
なんだか解りますか?
答えは「簡易トイレ」です。
排水管に挿して使うのですが、よく狭小地の現場でレンタルトイレが置けない時などに活躍します。
というわけで、ついに着工した訳ですが・・・
この日の作業はこれまで。
GWを挟むのと雨も降っているので掘ってもまた埋まってしまう可能性があるからだそうです。
ですから、お施主さんには真っ先に報告を入れました。
GWに現場の進捗を楽しみに見に行ってみると・・・
ひと堀してあるだけなんてのを報告なしに見たらビックリしますからね・・・
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