やはりネックは設備配管~配筋検査の注意点

一昨日は木漏れ日の家の配筋検査。
指定検査機関の検査員が到着する前に現場につき私の検査を行う予定でした。

木漏れ日の家配筋検査

現場に着くと、とてもきれいに鉄筋が並びきちんと施工された現場を目にしてとても安心しました。
しかしです・・・

よく見るとコンクリートに打ち込む予定の断熱材が違う!
防蟻用の断熱材を使う予定が普通の断熱材がセットされているではないですか?
監督に確認すると、すぐにはピンとこない様子で、
「すみません。発注したものと違うのが届いてそれを施工してしまったようです。」

なんてことが起こるのが建築現場。
私が指摘しなかったらこのまま工事が行われていたかと思うとほんと怖くてなりません。

木漏れ日の家配筋検査

そんなやりとりをしていると検査員が到着し、検査がスタートしました。
本当は検査員が来る前に、一通りチェックして一緒に回るはずだったんですが、間に合いませんでした><

検査員の方も図面を手にし、現場を確認して回ります。
私も一緒にチェックしていたのですが、何点か図面通りに施工されていないところがあり、構造事務所の方と連絡を取って確認などしている間に、先に検査員の方のチェックが終わり合格となりました。

木漏れ日の家配筋検査

しかし、私のチェックは進みます。
接合部や、イレギュラー部で検査員の見落としやチェック漏れがあるのはもはや様式美?なのですが・・・

木漏れ日の家配筋検査

今回は、この部分に施工しなければならない地中梁が丸々抜けていてちょっと笑えませんでした。
こちらは明らかに施工漏れなので、すぐに非を認めてやり直しを約束してもらったのですが、
ほんと、この第三者機関の検査というのが厄介で・・・

一方ではもう合格もらっているのに文句あるの?
みたいな態度で指摘をなかなか聞き入れてくれないことがあって大変なんですよ。

他の現場では問題になったことがない。
今まで指摘されたことがない。

という事で、なかなか聞き入れてくれないことが多々あるのが基礎の配筋検査。
(この現場ではすぐに対応してくれる約束をしてもらえました)

この第三者機関の合格という太鼓判が余計にネックになるのです。
一部の現場では、この検査によって水準が上がりプラスなのだと思うのですが、きちんと検査を行う側からすると、もう一つの基準で合格印を与えられるとやりづらいんですよね・・・

木漏れ日の家配筋検査

さて、はじめに問題が発覚した断熱材の商品違いですが、何とか再手配の段取りがついて、コンクリート打設までの道筋がつきました。
とりあえず、施工した断熱材を全てはがします。

設備やさんが現場に到着し、施工手順について確認しているとまたひと悶着。
設備やさんが先に施工すると、断熱材を後から入れることができない。
そのため、施工方法をどうするかという協議が必要に。

設備配管

本来であれば、もう断熱材が施工されているのですが、交換が必要になったことで施工手順が変わり新たな問題が出たというわけです。
しかし、いろいろ話をしていると更なる問題が発覚。
なんと、設備やさんは基礎の”主筋”を切断して配管するつもりだったことが発覚。。。

なんとも問題が続きます。
とりあえず、配管方法を見直し、段取りを再確認して問題のないように筋道をつけましたが、本当に困ったものです。
監督さんには過去にこういうことがあったんで注意してくださいねと言ってあったんですが、やはり現場の「大丈夫です」「問題ありません」を全て鵜呑みにする事はリスクが伴いますね。
※上の写真の様な配管を施工するときによく誤った施工がされることがあるんですね

もちろん、監督や職人さんに悪意はないんですが、そこがほんと問題だと思うですよね。
他ではこれがまかり通っているので全く問題意識を感じていないし、意図が伝わらないことが多いんですよね。

一応フォローしておくと、この現場が極端にひどいというわけではなく、これが建築現場のありのままの姿というか、上の水準だったりします。
TV等報道で問題になるようなアパート供給会社や格安のハウスメーカーなどはもっといろいろな問題が現場で発生して、見逃されているのだと思います。

これら、基礎の事は直ちに問題になることはありません。
基礎にひびが入りやすくなったり、地震の時などにうまく力が伝わらなかったり問題が起きても表面に見えづらく、問題を特定しづらく、しかも長期間にわたってゆっくりと不具合が起きるのです。
ひびが入るとそこに水が入り込み鉄筋がさび、それが膨張してさらにコンクリートを痛めるのですが、コンクリートを打たれてしまうと見えなくなり全く問題に気づくことなく住み続けることになるのです。
問題がすぐに起こらないから大丈夫と考えるか?

いえいえ、やはりお施主さんが大きなお金を出して建てる家ですからしっかりと設計者が監理し、目を光らせる必要があるわけです。
しかし、本当にこうも問題続きだと少し心が折れますよね・・・
他では問題がないのに何を言ってるの?みたいな顔をされると自信を無くすこともあるのですが、とにかくそういった雰囲気に負けないように気合を入れてチェックをします。

というわけで、基礎の配筋検査はとても疲れます。
また話は振り出しに戻りますが、第三者機関の検査合格という箔がついた建物に指摘するという事が本当に大変なんですよね。
「第三者機関がしっかり検査しているから安心」という言葉を言って責任を放棄したくなります(笑)

と、一応第三者機関のフォローもしておくと限られた時間で現場をチェックしなければならないので仕方ない部分もあります。
また、工務店がお客さんでお施主さんは二の次なので仕方ない部分もあると思います。
本当は、お施主さんが第三者機関を選んで検査をお願いするという施工と分離する仕組みになればもっともっと良くなるんですけどね。
このことは本当に制度の問題だと思っています。

構造図の注釈を見落としたりや設計者の意図をくみ取らず、保証会社の基準のみで判断するだけなので
第三者機関の合格=問題がない
という認識は間違っていることだけは周知してもらいたいものです。

と、なんだかトホホな記事ですが
それだけ工事の後に見えなくなるところには
イロイロな間違いや、問題、手抜き、認識不足などが潜んでいます。
出来る限り様々な”目”でチェックしたい工事です。

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