家造りの基礎知識 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 http://akatukidesign.com ライフスタイルをデザインする建築設計事務所 Mon, 25 Dec 2017 03:19:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.1.1 http://akatukidesign.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/cropped-faviconbig-32x32.png 家造りの基礎知識 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 http://akatukidesign.com 32 32 坪単価のカラクリ・家の安い高い http://akatukidesign.com/housetec/cost http://akatukidesign.com/housetec/cost#respond Tue, 31 Oct 2017 14:21:46 +0000 http://akatukidesign.com/wp/?post_type=housetechnique&p=650 Last Up Date:10.7.11 [toc heading_levels=”2,3″] 工事費はどう比較すべきか?注文住宅を安く建てるには? 注文住宅の工事費ってとっても複雑でなかなか理解 […]

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工事費はどう比較すべきか?注文住宅を安く建てるには?

住宅の見積イメージ
注文住宅の工事費ってとっても複雑でなかなか理解できませんよね。
ハウスメーカーのような体系化された商品の場合は、標準工事費が設定されており大体の目安を知ることが出来ます。
しかし、この標準工事費というのが曲者でいざ打合せを進めてみると、それはオプションです。それは別途工事です。といったように標準外の工事費があれよあれよと加算され工事費が膨らんでしまうものです。
それではよく耳にする坪単価とはなんなのでしょう?

坪単価のカラクリ~実際の工事費は?

住宅の建設コストイメージ
坪単価とは各メーカーの標準工事費を建坪で割り、坪当たりの価格を示したものです。
様々な仕様の異なるハウスメーカや工務店の価格を比較する為の指標です。

しかし、この坪単価は様々なメーカーが都合の良いように脚色しているのも確かなのです。
「坪単価」だけを比較し住宅の良し悪しを決めて良いものでしょうか?

実は、この坪単価は結構簡単に操作できてしまうのです。
その内訳をご紹介しましょう。

坪単価を安く見せる裏技

延べ床面積でなく施工床面積を使う

坪単価を示す時に延べ床面積でなく施工床を用いることが出来ます。
施工床とは、延べ床面積に吹き抜け部分やルーフバルコニーの床面積の一部を加算した面積です。
一般的に
施工床面積=延べ床面積+(小屋裏面積+吹き抜け面積+ルーフバルコニー)×1/2
と計算することが多いですが決まったルールがないため小屋裏面積などを1/2しなかったり、玄関ポーチやバルコニー部分を加算してさらに割安に見せるケースも在ります。

屋外給排水工事費、屋外電気配線工事費等が別途

ハウスメーカーの場合は建物の本体工事以外は別途工事とすることが通例です。
カタログ等に記載されている値段だけではまだ住むことが出来ないのです。
こういった付帯工事だけでも少なくとも120~150万円は追加で掛かるでしょう。

標準品を安くしてオプション工事で元を取る

標準オプション以外の工事は割高になります。
それは、ハウスメーカーが仕入れ値を安くする為に年間何セット購入するから○○円割り引くようにとメーカー側と交渉しているからです。
ユーザーが皆標準外の工事を選んでしまうとその目標を達成できなくなる為に、オプション工事を割高に設定せざるをえないのです。

メーターモジュールを採用して坪単価を安くする

一般的な910mmの尺モジュールではなく
1000mmピッチのメーターモジュールを採用することで坪単価を安く見せることが出来ます。

それは、同じ住宅の面積を少し拡大したからといって極端にコストが上がらないからです。
廊下や寝室が少し広くなっても高くなるコストはたかがしれていますが、面積が増える分割安に見えるのです。

大きい家ほど安く見える、小さい家は高く見える

住宅の単価を押し上げるキッチンや浴室等住設機器の数は30坪の家も40坪の家もそう変るものではありません。また、外壁の面積や屋根の面積、建具の数など様々なパーツが相対的に少なくなる為安く見せることが出来ます。
ただし、総額が安くなる訳ではありません。床面積あたりの工事費が安く見えるだけという事を忘れてはいけません。

特別な条件は全て除外

地盤が悪い、道路が狭い、敷地内高低差や防火地域などの特別な条件のある場合は標準外の工事が高くなります。
地盤の状況などは予め住所や近隣の地盤データーや建物などから想定できるのですが、そのリスクを契約前にキチンと伝えてくれるケースはそう多くないでしょう。
木造であれば地盤補強が安く済むとか、一階がRC造の混構造の方が敷地内高低差を有効活用できるなど、そういった敷地条件にあった工法の選択が重要なのですが、先に工法を決めてしまうと後から調整が難しくなります。

坪単価で惑わされない本当に安い家とは?

建設コストの比較イメージ
このように坪単価は工事費を比べる指標であるに係らず、実は余り当てにならないのです。
上記の図のようにトータルコストの高い家(右図)でも、直接的に掛けられた材料費・労務費の割合の高い家のほうが割安な場合があります。
工事後に残る財産となる部分(材料費・直接工事費)にどれだけ予算を割けられたか?
見えない経費を明らかにする事で、建物を安く建てる為のチェック項目が解るようになります。

極端に安い家はない

極端に安い家というのは存在しません。材料費や施工費等を差し引いて業者があげる利益はそれほど多くありません。恐らく各工務店やハウスメーカーの業績を比較してみても解ると思います。
利用する材料や躯体・断熱性能に応じた価格となります。

坪単価でなく会社の経費を比較する

しかし、ハウスメーカーなどの工事費には実は広告宣伝費や本社経費など様々な
見えない工事費
が含まれています。
それらの経費は工事に直接課せられない為、逆にその分損をする事があります。
もちろん本社経費や研究開発費などが全てが無駄ではなく、それにより効率的な経営が可能となり安く出来ている部分もあるわけですが、派手な宣伝やショールームなどを常設している会社はその分余分な経費が掛かっていると考えるのが素直な考えです。
また、営業マンの経費等も見えない形で工事費に含まれる事になります。

建物として形が残る材料費・最小限の人件費以外は竣工後は何一つお施主様の為に残りません。
住宅展示場の経費や宣伝に使われているタレントさんや販促グッズなどは、全てお客様の工事費から支払われている事になります。(ただし、販売戸数の多いハウスメーカーであれば一戸あたりの経費は少なくなります)

見積書の内訳も様々で安く見せる工夫

工事の見積書の内訳は様々ですが、実は設計料や諸経費などは割安に見えるよう工夫されています。
一般的に会社の諸経費は2~3割見込まなければ経営が難しいのですが、諸経費に正直に書いてしまうと「お宅の会社は儲け過ぎじゃないですか」と指摘されてしまいます。
そういった経費は工事の各項目に上乗せしたり別項目で計上します。ですから、設計料は安いのだけれども、確認申請料という項目で徴収したり、商品開発費という名目で紛れ込んでいる事が有ります。
そういった諸経費は坪単価に示されていないケースもあるので注意が必要です。

また、定価のある工事ほど安い見積もりの場合があります。他社と比較されない項目で元を取るケースです。そういった見積もりの仕方の違いによって工事項目によって安くなる場合、高くなる場合があるのです。

希望に合ったハウスメーカー・工務店を見つける

先に述べたとおり、標準外の工事が少ない方が割安で建てることが出来ます。
その為には自分の好みに合った商品を選ぶことが重要です。

敷地形状や、周辺環境、法的制限にマッチしたメーカーであれば安く建てることが可能
となります。
出来るだけオプション工事が少なく、始めから希望に近いハウスメーカー・工務店を見つける事。
モジュール体系(壁の寸法を何ミリづつ変更可能か)、建物の高さなどの設定が敷地にマッチし無理なく設計が可能なメーカーをピタリと捜し当てることが出来れば割安な家を手に入れることが出来ます。

後々のメンテナンス・ランニングコストを重視する

建設時のコストだけで新居の安い高いを評価すべきではありません。
定期的に必要になるメンテナンスコスト、設備機器等のランニングコストを併せて総合的に評価することが重要です。
30年しか住めなくて2000万円の家か60年住めて3000万円の家がが良いか?どちらがお徳か明白です。
初期投資によっては後の光熱費を抑えることも出来るし、ただ単に初期の工事費のみを比較する建て方は得策ではないのです。
せっかく導入した床暖房もガス代が高くて使えないのでは全く意味がありません。家計の事情や将来の年金暮らしの状況など総合的に考え初期投資を行うべきかをキチンと考える必要があります。

ライフスタイル、子供の将来への投資

ただ単に安い住宅を建てたいと思う方は余りいないと思います。賃貸マンションでは成し得ない生活を手に入れる為に注文住宅を建てるという選択をしているはずなのです。
しかしながら、建築を考える中で現実的な問題に突き当たり、その目的が曖昧になり自邸を建てる事だけが目的になっている方がいらっしゃいます。
もう一度、家を建てる目的・意義を家族みんなで話し合ってみてください。

家を完成させることだけが家造りではありません。リフォームやリノベーション、希望の面積を削ってコンパクトに住むことで得るワンランク上の暮らし。様々な選択肢がある中でもしかしたら、まだそういった別の暮らし方、建て方がある事に気が付いていないだけかもしれません。

夢のマイホームを建てるのが完成でなく、マイホームで夢の生活を送るのが本来目指す目的のはずです。コスト面で減額を重ね目的を見失わないように、そのことはキチンと念頭にいれ家造りを行ってください。

総工事費で考える家造り

家造りを考える時に「4LDKで吹き抜けの家が欲しい。床面積は40坪ぐらいの家。」などと具体的な要望を挙げるお施主様が多いのですが、実は建築はそんなに簡単ではありません。
こういった面積や空間ありきの設計はあまりお勧めしません。
それは、ご自分の予算の中から40坪の家だと60万円/坪ぐらいの家が建てられるのかなという順番で家造りを考えるやり方があまり得策ではないと思うからです。
総工事費を決めた中で、どんな風に暮らしたいか?どんな材料を使うか?その要望ではどんな間取りが可能か?どれくらいの大きさの家を建てればいいのかを模索する方法が良いと思うからです。
しかし、ハウスメーカーや工務店に予算を全て告げるのも少々不安があります。。。
何社かのメーカーさんに予算内で出来る住宅を提案して戴き内容を比較するというのも良いのではないかと思います。

要望に応じた建設費になる~パソコンに例えると

結局の所、ハウスメーカーや工務店の坪単価とはベースの価格で、そこから積み上げ式に予算が膨らんでいくわけです。
床暖房を入れたり、無垢の床材を利用したり、オール電化住宅にしてみたり。
そういった要望に応じた予算が計上されて最終的な工事費になります。

始めからハイスペックなパソコンを購入し、ソフトが始めからインストールされている機種を選ぶのか?
それとも、最小限の機能が使える機種を選んで後からメモリーやソフトを追加していくのか?
なんか家選びってパソコン選びと似ているところがあると思っています。

ハイスペックデスクトップパソコンタイプ(インテル)

大手ハウスメーカータイプ
予めOSや表計算ソフト等がインストールされているパソコンタイプ。
使わないソフトも予めインストールされてしまっている。
サポートセンターが充実。

→大手ハウスメーカータイプ
基本性能は標準以上。必要と思われるオプションもほとんど標準装備となっている。
万一の故障の際もアフターケアがが充実している。

ノートパソコンタイプ(ノン・インテル)

中堅ハウスメーカー・工務店タイプ
標準的なソフトなどは予めインストールされているが、基本性能がデスクトップタイプに比べると劣るモデル。

 →中堅ハウスメーカー・工務店タイプ

海外モデル安価パソコンタイプ(ノン・インテル)

ローコストハウスメーカーイメージ
最小限のプリインストール。インストール済みのソフトも安価なもの。

→坪単価20~30万円を売りにするハウスメーカー
→フランチャイズタイプの工務店
安さが売最大のメリットだが、必要最低限のオプションは追加したい。
中身の部品が少し心配。

デスクトップパソコン(Mac)

設計事務所タイプイメージ
洗練されたデザインとマニアックな機能。
ウィンドウズに比べると故障しやすい?
Windowsも搭載したハイブリッドモデル(性能も重視した)もある。

 →設計事務所(デザイン重視)タイプ

マックブック(Mac)

デザイン事務所タイプ
よりデザインに特化したモデル。

 →デザイン事務所・設計事務所タイプ
使い勝手よりデザインを求める人向け。

自作パソコン(Windows)

フルリフォームタイプイメージ
フルオーダーメードのパソコン。基本スペックやソフトなど全て希望通り。

 →設計事務所(機能重視)、フルリフォームタイプ
無駄のないオプション選択でフルカスタマイズ。デザインの変更も自由。

PDA・スマートフォン(携帯端末)
ローコスト住宅タイプ メール送受信、WEB閲覧等最小限の機能。
→ローコスト住宅タイプ

私の勝手な意見ですがイメージとしては伝わりやすいかなと思い比較してみました。
どの会社がどの分類に入るかは簡単には選べませんが、各業者の特徴の差がこんな風に別れているというのが直感的に解るかと思います。
男の人にしか伝わらない例えだったらすみません(笑)

私が言いたかった事は、求める機能に応じたランクがあり、価格があるということ。
新居に求めるものが何か?
まずそれを見定めた上で、どのランクの家造りを行うか?
その中で比較検討し家造りを行う事が大切だと思うのです。

ノートパソコンをデスクトップパソコン並みにカスタマイズして使おうと思っても物理的な無理がある訳です。
まず、ベースをどれにするか?
まずそれを見定めてその中で安く建てられる工夫を考えてみましょう。

設計事務所に頼むと建設工事費は高くなるのか?

設計料と工事費のイメージ
設計事務所に頼むと高くなると思われがちですが、そんな事はありません。
設計事務所に依頼していただくお客様はそれなりにこだわりを持った方が多い為、その要望に応じて高くもなり、安くもなるというだけなんですね。

ちなみに設計事務所に設計を依頼する場合は、直接工事を引き受けるのではなく工務店に工事を依頼する事になります。
その場合、そういった広告費を掛けず、ショールームなどを持たない工務店を選ぶ事で工事費を抑えることが出来ます。
また、ハウスメーカーやフランチャイズ工務店には内部で設計する設計経費や営業経費が加算されますが、そういった設計部や営業部のない工務店では会社経費が少なく工事費が建物に直結した建て方が可能となります。(そういった部門のある工務店でも諸経費の減額を交渉する事が出来ます)

相見積もりを取る事により”同じ建物”を競争見積もりすることが出来る為、さらにシビアな金額を提示する事が可能となります。

もちろん設計料が上乗せになりますが、
見えない工事費・営業経費を取り除く事で、その費用は随分圧縮
されるんですね。
そういったトータルコストで高いのか安いのか?という議論が本来されるべきなんですよね・・・
家自体に掛けられた材料費と労力が満足度の高い住宅を作り上げるのです。
もし、ハウスメーカーで建てる場合と設計事務所に設計を依頼する場合で迷われたらその事を思い出していただけたらと思います。

※建築情報コーナーの関連記事リストです

  1. 設計事務所・工務店・建築家選びのポイント
  2. 建設用地購入・家屋解体時に注意する事
  3. 建物のボリュームチェック・建築家の裏技
  4. 坪単価のカラクリ・家の安い高い
  5. 中古住宅を購入時の注意事項~建て替え時を視野に入れて
  6. 住宅建築費の実際・ローン試算の手引き
  7. 固定資産税・都市計画税の課税標準額算出法
  8. 設計依頼時の注意点・図面の見方、チェックのポイント
  9. 建築工事全体の流れを解りやすくご紹介・工事監理のチェックポイント
  10. SE工法(金物工法)のメリット・デメリット
  11. IHクッキングヒーターとガスコンロのメリットとデメリット比較
  12. 太陽光発電のメリット・デメリット~補助金利用・償却年数試算方法など
  13. 蓄熱式床暖房のランニングコスト(電気代)公開・温度比較について
  14. 家相で創る幸せな住宅とは?
  15. 新築でも結露する~結露対策はどこまで行う?
  16. 建替え・リフォーム前の耐震診断のススメ

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設計事務所・工務店・ハウスメーカー
選びの注意点~建築家の見極め方

これから家造りをする人の為に、建築家からみた家造りのポイントをレクチャーさせていただきます。
主に設計事務所に依頼する場合のチェックポイントとなりますが、工務店やハウスメーカーに依頼する場合、建売住宅・分譲マンション等へも話を広げて解説します。

設計・相談はどこに依頼したらいいのか?

住宅の設計を依頼する場合に、何処に頼めば良いか?という問題が出てくる事と思います。
通常考えられるのは、新築ではハウスメーカー、工務店、設計事務所といったところでしょうか?
リフォームの場合は、リフォーム業者、設計事務所、建ててもらった工務店に依頼というケースが多いと思います。

以下、それぞれの特徴と長所・短所を私ながらにまとめてみました。
もちろん業者によっても差がありますので一概には言えませんが参考までに比較してみてください。

ハウスメーカーに設計を依頼する場合

ハウスメーカーとは、一般的にプレハブ住宅を供給する会社です。
代表的なのは大和ハウス、積水ハウス、住友林業、三井ホーム等。
各社得意の躯体(木造、軽量鉄骨、2×4等)があり、外観で差別化を図っています。
(細かい性能や仕様は大差ありません。好みで決めて良いと思います)
予め決まった規格のなかでオプションを選択しながら、組み立てていきます。
各社独自のモジュール(単位寸法)があって、壁の位置を227.5mmや305mmづつといった寸法の中で壁の位置を決めていきます。
既製品部材をまとめて購入する事で安く仕入れ、価格に反映している為、別注品が多くなると割高になる事があります。
間取りはそれらの制約の中である程度自由に組み立てる事が出来ますが、それ以外はハウスメーカーのカタログの中からシリーズを選択しながらオプションを選んでいくといったセミオーダーシステムです。

特に、天井高さや窓部材、外装材等は選択肢があまりありません。
また、設計から工事まで一体の請負契約になります。
設計は標準仕様が決まっている為、設計士の出番は少なく、ほとんどが営業マンと打ち合わせをして進めることになります。
営業マンは文系出身の人が多く、細かい技術的な話は得意でない場合があります。(自社やライバル企業の情報は知っているけど、幅広い知識が必ずしもない)
お施主さんの希望を叶える設計を得意としますが、お施主さんに媚びた設計となりかえって不利益をうむ場合があります。
希望以上の提案やアドバイスは不得意な場合が多いです。

ハウスメーカーの長所

とにかく完成までが早い事。設計期間も短い上、工期は約3~4ヵ月。
規格がしっかりしているので、比較的精度良く仕上がります。
断熱・構造の性能については一定の性能を有し、詳しい事を知らなくても安心できます。
アフターフォローも専用の部署があるため、後々のメンテナンスに対してもフォローがあります。
展示場などで、予め使用する部材等を見て吟味できるので「こんなはずじゃなかった」という間違いも少ないです。

ハウスメーカーの短所

自由度が少なく、用意されたオプション以外の事は望みどおりに出来ない個所が多々あります。
型式認定という確認申請を一部免除する制度を利用している場合はより制限が厳しくなる事があります。
設計担当は十数物件掛け持ちする事が多くミスしやすい環境がある上、第三者的なチェック機能が働きづらく、先方に不利なミスが直されないで工事が進んでしまう場合があります。
独自の部材を使っている場合は、数年後に交換しようと思っても簡単に交換できなかったり後々困る事があります。

ハウスメーカーの長短まとめ

ハウスメーカーは、あまり細かい要望のない方に向いた住宅と言えます。
敷地にある程度余裕がある場合は、標準のまま建てることが出来他に比べて安価に住宅を手に入れることも可能です。
設計の打ち合わせなども比較的少なく、手間をかけずに家を手に入れることが出来ます。

ズバリ気持ちよく「カタログショッピング」したい方はハウスメーカーへ

こんなハウスメーカーには注意

決算期には会社の売上の為に突貫工事・無理な受注を行う事がありますので、その流れに巻き込まれないよう気をつけましょう。
内容が煮詰まってないのに請負契約を結ぶ事のないよう注意してください。
(設計の契約=工事の請負契約だという点に留意してください)

モニターと称して「今ならお安くします」といって契約を急ぐ場合も注意が必要です。単純に”善意の値引き”の口実の場合もありますが、資金繰りが悪い時には値引きしてでも工事を引き受けようと躍起になるものです。
経営状態を確認して契約を進めてください。

工務店に設計を依頼する場合

工務店とは一般的には工事を行う業者を指します。
工事監督・積算担当などがメインですが、中には設計部隊を抱える工務店もいて、設計からお願いする事が可能な場合もあります。
また、外部の協力業者(設計事務所)に設計をお願いして提案してくる場合もあります。
得意・不得意はありますが様々な構造で建築が可能です。
設計の自由度もあります。
ただし、設計が本業でなく工事を請け負う為の営業的なニュアンスが強く、細かい使い勝手を考えた設計は苦手で、提案的設計はあまり臨むことが出来ません。(お施主さんが主導権を握って計画を考える必要があります)

また、設計事務所に設計を依頼する場合は設計事務所の図面に基づき、工務店が工事を行う事になるので、設計を直接頼むのは不安だけど工事は頼みたい場合などは、気に入った工務店に相見積りをお願いする事も出来ます。

研究熱心な工務店の中には新しい基準の住宅造りを心掛け、優良な工務店もあります。
一番難しいのが、この数多くある工務店の中からそういった業者を探し出す事に他なりません・・・
オープンハウス(見学会)を行って工事途中(躯体の姿)や完成現場を見せてくれる工務店もありますので活用すると良いと思います。

工務店の長所

建築費が比較的クリアで資金計画を立てやすいです。
比較的、自分の思い通りの間取りを立てやすく、おもいがままの家を建てることが出来ます。(余計な口を挟まれないから?)
工務店によって得意なメーカーがあり、例えば便器であればINAXよりTOTOの方が安く出来るとか、エアコンはダイキン、照明は三菱が安く仕入れれられるといった事があるので、それらを上手く利用できればコストを抑えることが出来ます。

工務店の短所

提案力に乏しく、プレゼンテーションもあまり期待できないので、少ない図面の中で自分で理解する必要があります。(設計部のある工務店はこの限りではありません)
工務店の不利益に繋がる工事(難しいやリスクのある工事)は受けてもらえない事もあります。
設計士が必ずしもお施主さんの味方でないことがあるので注意が必要です。

工務店の長短まとめ

自分で間取りを考え、自分で勉強して「自分の思いどうりの城」を作りたい人向け。

設計から全て自分で家造りをしたい人
は工務店に直接依頼すると良いでしょう。

こんな工務店には注意

基本的にはハウスメーカーと同様です。
設計と請負が一体となるので経営状態に探りを入れながら計画を頼むと良いでしょう。
建築家と数多く工事を行っている業者さんの場合は、設計事務所に訓練されているので技術力を評価しても良いと思います。

設計事務所に設計を依頼する場合

設計事務所といっても様々で大きく別けて3タイプあります。
1.アトリエ系設計事務所(雑誌等に掲載され、デザイン性を重視する事務所)
2.非アトリエ系設計事務所(機能面面を追及した住宅を設計する事務所)
3.下請け設計事務所(大手ゼネコンやハウスメーカーから仕事を請けている事務所)
ここでは、主に1・2を対象に話を進めていきます。

設計事務所に設計を依頼する時には別枠「設計料」を支払う必要が出てきます。多くの場合は建築費の10%~15%という設計料が設定され、その資金を繰り出せるかが始めのステップになる事と思います。
しかし、設計料が必要なのは設計事務所が設計をした場合だけでなく、ハウスメーカーや工務店でも同様に経費が掛かるわけで(ハウスメーカーの場合は本社経費や技術開発費で同等以上の経費が掛かっています。設計料の一部は工事費に含まれているとお考え下さい。)、必ずしもその
設計料がまるまる増える
というのは大きな誤解です。

設計事務所は図面を書くことも重要ですが、それ以上に予算調整や現場監理に労力を費やします。工務店選定のアドバイスを行い無駄な予算などをそぎ落とす努力をします。
現場監理では、お施主様の立場に立ってチェックを行います。この第三者の目がキチンと行き届く事が刺激となり良い家ができる事へ繋がります。

設計に関しては、その建築家の得意分野があり一言で言い表せませんが、基本的に法に叶うものならばどんな事も出来るはずです。ただし、特殊性のある家(ツリーハウスやOMソーラーなど)の場合は、そういったスキルのネットワークがないと出来ない事があるので、始めに確認すると良いでしょう。(中には木造住宅しか設計しませんって方もいるかもしれません)

建築家との相性を判断する為にも、竣工した物件に案内してもらうと良いでしょう。写真や図面ではわからない発見があったり、そのオーナーさんとのやり取りで人柄が判断できると思います。

敷地が特殊な場合は特に、設計事務所向きといえるでしょう。様々なアイデアで敷地のポテンシャルを最大限に生かしてくれます。コレはハウスメーカーや工務店には難しい事だと思います。

しかし、時に建築家はお客さんの意思を無視した作品を作りがちです。
デザイン性に富んだ芸術品を目指したくなるものです。あくまで、自分がそこに住むんだという意識を持って望み、自分が満足できる家造りをを目指してください。

設計事務所の長所

お施主さんのイメージやアイデアを最大限に膨らまし実現させてくれます。
建築家の技術レベルにもよりますがほぼ何でも設計が出来きると思っていいと思います。ただし、法律や構造によって制約は受けますけどね。

その土地の良さを見つけ出し、お施主さんのイメージ以上の住まいを描いてくれます。
物事の本質を見極め、いろいろなアプローチでの提案をしてくれます。

設計事務所の短所

打ち合わせ回数などが非常に多く、工期も掛かります。
単純に、設計期間半年・工事期間半年、併せて1年がかりの計画だと考えておくと良いでしょう。

工事費が明確になりません。時として、工務店に見積もりを取ったら大幅に予算オーバーなんてことも。
工事の金額は、市場価格や工務店の状況など様々な要素が絡んで決定するのと、建築家がその都度新しいものへの挑戦を行っている為、金額を把握しきれない事が多々あるからです。

住んだ後の不具合を直したりやメンテナンスが必要になります。
性能の確保された既製品以外に、設計趣旨にあったオリジナルの建具や、造作家具などを製作するために、それらが入居後わるさをする場合があります。
(逆に言うとそのリスクを回避する為に、ハウスメーカーなどは無垢の床材などを使うことが出来なかったり、高くなったりする訳です)

当たり前の話かもしれませんが、決め細やかな設計をすると工務店等に直接頼む時に比べ総工事費は少し高くなります。

設計事務所の長短まとめ

皆と同じものは嫌い。出来る限りオリジナリティーの溢れる住宅がいい。
家造りをする過程を楽しめる方は設計事務所に依頼すると良いでしょう。
気になる建築家がいるなら一度会って話を聞いてみてください。
そして、完成した家を見せてもらうのが一番です。

設計事務所選びの注意点

設計事務所選びの注意点はやはり建築家との相性です。
その人の趣味や嗜好。様々な角度から自分との共通点を探し出し、自分と
感性の近い建築家を選ぶこと
が成功の鍵といえると思います。

経験が豊富な建築家は知識も豊富ですが、かえって新しい技術に疎い場合があります。昔のセオリーが今では通用しないなんて事もしばしばあるので、ご注意下さい。
若い建築家は、失敗を恐れず何でも挑戦してくれる反面、やはり失敗もあるかもしれません。どちらがいいのかは一概には言えません。

大きな設計事務所になると、建築家はアドバイス・チェックだけで実際は所員がアイデアを出し図面を書いている事(特に細かい所は)が多いので、同行する所員にもチェックが必要です。気になる点があれば所員に対しても質問してみると良いかもしれません。

大工(棟梁)に設計を依頼する場合

今では少なくなりましたが、大工さんに直接工事をお願いするケースです。
私が知っている事例はあまり多くないので参考にならないかもしれませんが、和風の建築で昔ながらの家を依頼したい場合は相談してみると良いと思います。
基本的に図面等での細かい打ち合わせを期待するのは難しく、大工さんの感性で仕事を頼む事となります。
作る人=打ち合わせする人という関係上、やりとり上の難しさがあると予想できます・・・
やはり、その方との相性が重要になってくるので一概には言えません。

リフォーム会社に設計(工事)を依頼する場合

リフォーム業者とは正確な用語の定義がありませんが、ここではリフォームを専門として工事を請けている会社としてお話します。
この手の業者さんの場合は、営業担当者が設計から工事監督まで全てを受け持ちます。
同じ人がすべて見るので、意思疎通は上手く図られやすい反面、細かい注文は苦手です。
設計というよりは、設備機器やクロスを選んだり仕上げ材を選ぶことがメインで、既製品を主に使って工事します。
一戸建てを建てている工務店に依頼するより、リフォームを専門としている業者のほうが安いことのほうが多いと思います。
それは、建築のサイクルが早いので、設備機器等のの購入数が多い為、割引率が良い事などが考えられます。(コレは、建売業者でも同様のことが言えます。)
しかしながら、業者の中には不親切な業者もあり、注意が必要になります。

リフォーム業者の長所

商品の割引率が高いので、工事費を抑えることが出来ます。
(そのかわり、メーカーやシリーズが限られる場合あり)
私の実家をリフォームした時には、こういったリフォーム専門の業者さんに工事をお願いしました。同じマンションのリフォームを数多く手掛けていたので、下地の状況や管理組合とのやり取りなど熟知していて、非常にスムーズかつ丁寧な工事が行われました。

リフォーム業者の短所

現場にほとんど監督さんがいないので、詳細図面を書かないと出来ないような工事は少し苦手です。
平面図のみで工事が出来る程度の工事内容を得意とします。

リフォーム会社の長短まとめ

お化粧直し程度のリフォームであれば、断然お得。リフォーム会社に依頼すると良いでしょう。

リフォーム会社選びの注意点

リフォームの場合、500万円以下の工事なら建設業法の建設業許可が必要ありません。
その為、良く問題となる欠陥リフォーム・悪徳業者の工事は500万円以下というケースがほとんどです。ですから、工事費の比較的安い請負工事の方が注意をする必要があります。。
出来れば、その業者が建設業許可を持っているかを確認し、更新年をチェックしてください。(五年毎更新の為、許可期間が切れていないか?)
一つの目安になると思います。
また、近所で手掛けた物件を紹介してもらい、評判を聞けると間違いありません。

※建築情報コーナーの関連記事リストです

  1. 設計事務所・工務店・建築家選びのポイント
  2. 建設用地購入・家屋解体時に注意する事
  3. 建物のボリュームチェック・建築家の裏技
  4. 坪単価のカラクリ・家の安い高い
  5. 中古住宅を購入時の注意事項~建て替え時を視野に入れて
  6. 住宅建築費の実際・ローン試算の手引き
  7. 固定資産税・都市計画税の課税標準額算出法
  8. 設計依頼時の注意点・図面の見方、チェックのポイント
  9. 建築工事全体の流れを解りやすくご紹介・工事監理のチェックポイント
  10. SE工法(金物工法)のメリット・デメリット
  11. IHクッキングヒーターとガスコンロのメリットとデメリット比較
  12. 太陽光発電のメリット・デメリット~補助金利用・償却年数試算方法など
  13. 蓄熱式床暖房のランニングコスト(電気代)公開・温度比較について
  14. 家相で創る幸せな住宅とは?
  15. 新築でも結露する~結露対策はどこまで行う?
  16. 建替え・リフォーム前の耐震診断のススメ

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Last Up Date:10.07.11

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建物のボリュームチェック・建築家のテクニック

敷地を一目見ただけでどんな建物が建てることが出来るか簡単にイメージする事はできません。
それは建蔽率や容積率等の法的制限で建物の大きさは変る事と、様々な緩和措置や配置計画、高さ、構造などによっても全く異なる建物となるからです。
この項では簡単なボリュームチェックの方法やテクニックを紹介します。
※現在コンテンツ作成中の為、ここに記載があるものが全てではありません。予めご了承下さい。

基本中の基本・建蔽率と容積率

まず、ボリュームチェックの基本となるのが建蔽率と容積率。
敷地に対してどれだけの建物を建てることが出来るかという指標です。
建蔽率と容積率
例えば建蔽率50%容積率100%で100㎡の土地であれあれば建築面積50㎡、延べ床面積100㎡までの建物が建設可能(条件によってはフルボリュームで建てられない場合もあり)だという事が解ります。
もう少し、突っ込んで考えてみると建蔽率の二倍が容積率となっているので、総二階(上下階が同じ大きさの建物)でなければ容積率いっぱいの(フルボリュームの)建物を建てる事が難しいという事。
吹き抜け等の空間を造りづらい敷地だという事が解るのです。
角地緩和イメージ
建蔽率には角地緩和(一定条件を満たした道路に挟まれた土地)や防火地域(建蔽率80%の防火地域に耐火建築を建てる等)の緩和措置があります。
吹き抜けイメージ
仮に先ほどの敷地ですと、建蔽率60%容積率100%ととなり建蔽率側に余裕が出てくるため、上の図のように吹き抜けやルーフバルコニーを設ける余裕が出た事が解ります。
3階建てイメージ
住居系の用途地域(第一種低層住居専用地域など)で前面道路が狭い場合は容積率が制限を受ける場合があります。
例えば建蔽率60%容積率200%の敷地でも前面道路が4mの場合は容積率が160%ととなり、三階建てを建てられる敷地でも20%分の余裕が生まれる事があります
半地下イメージ
狭小地で敷地面積が充分でない場合は地下に居室を作る事も有効的です。
地下扱い部分は容積率や建蔽率からは除外される為、ボリュームを稼ぐ事が出来ます。
地下室の工事は割高になりますが、地価の高い都心や地盤の良い地域ではメリットがあります。

このように同じ大きさの土地でも建蔽率と容積率の比率で有効な建物の建て方が変ってきます。
都心では土地の価格も重要な要素です。
無駄のない大きさの敷地に満足いく大きさのボリュームを新築する。
大は小を兼ねるといいますが、建築の場合は必ずしもそうではありません。
全体の限られた予算の中で敷地にお金を掛けるのか?それとも建物に資金を投じるか?そのバランスが重要です。
その目安を建蔽率と容積率から判断する事になります。

もちろん広い敷地に建蔽率や容積率を余らせて建てられる場合はあまり関係のない指標ですが、都心で新築する場合はとても重要になります。

図と地の関係・建蔽率と庭・駐車場・アプローチについて

図と地の関係 図と地の関係
建蔽率とは建物を建てられる範囲を定めたものですが、逆に残りの%は庭や駐車場、アプローチに割り当てられる部分になります。
建物の内部と外部との関係を密に取りたい場合は建蔽率40~60%の敷地が良いでしょう。

建物が建てられない部分を無駄と考えるのではなく、外部を取り込み庭と一体感のある建物を建てる事で有効活用する。

また、庭の場所をイメージして残りの部分に部屋を配するといった発想でプランニングする等、地の部分に注目する事で建物以外の部分が活き活きとした計画が作る事が出来るのです。

また、建蔽率の低い敷地は周辺環境も良好で、周囲の建物も庭の部分を残して建てられる為、通風や採光の取り易い土地だと言う事が出来ます。

隣の駐車場・生産緑地・空き地

土地選びの際に気をつけたいのが、隣地にある駐車場などの空き地をメリットと考えない事。
建物の建っていない空き地ほどその後どんな建物が建つか予想できないのです。
もしかしたら複数の土地が合体して大きなビルが立ってしまうかも知れないし、庭の採光を遮るような形で3階建ての住宅が建つかもしれません。
また、用途地域等によっては夜もうるさい飲食店が出来てしまったり想定外の建物が建つことがあります。
ですから、そういった空き地がある場合には
隣にどんな建物が建ち得るかもシュミレーション
したいところです。
それは生産緑地でも同じ事。
生産緑地の更新年を確認する事はもちろん、今後キチンと畑として利用される予測がつくか?などいろいろ下調べをする事も必要です。
相続と同時に建売住宅地に生まれ変わるなんて事はよくある事です。過信は禁物です。

道路斜線(北側斜線・隣地斜線)を緩和する天空率という裏技

よく街中で見かける三角に切り取られた建物。
そのほとんどが道路斜線という斜線制限によって制約を受け整形の建物を建てられなかったものです。
道路斜線とは道路から一定の勾配(1:1.25or1:1.5)で線を引きその線を越えて建物を建てないようにする決まりです。
道が真っ暗ではとても陰気で魅力的な街になりませんよね。
その為、道路に一定の光が落ちるように制約を設けているのです。

その道路斜線制限も様々な緩和策があるのですが・・・
その中でも私が最も有効と考えるのは「天空率」を使った緩和措置です。
天空率説明図 天空率説明図
図の薄紫色の「道路斜線適合建物」と比べ細く建てる事で、道路斜線に飛び出して建てる事も可能となる天空率。
複雑な形で建てざるを得なかった建物をシンプルな建物として建てることで、建築費を抑えたり、床面積を多く取る事も可能となるのです。
天空率説明図 天空率説明図 天空率説明図
天空率とは敷地とは反対側の道路に人が立ったときにどれだけ空が見えるかという指標です。
道路斜線をクリアした建物に比べ、計画建物の方が空が多く見えれば、斜線を超えても良い事になります。
左の図は道路斜線適合建物の天空図。中央が計画建物の天空図で計画建物の方が空が多く見えています。
右の図はその二つの天空図を重ねたもの。
建物の巾を狭めた分高さに上乗せ出来る事が視覚的に解るかと思います。

天空率は細かい計算(検討)をしなければならないので、何メートル空地を空ければクリアできるとか、簡単にチェックする方法は有りません。※1
チェックが難しい代わりにそれだけのメリットがある検討方法です。
敷地のポテンシャルを最大限活かす建築家の裏技。
狭小地における都市型住宅において利用しない手はありません。

※1:専用のソフトを利用して簡易的にはじき出す事も出来ますが、戸建住宅では一般的ではありません。

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