設計依頼する場合の注意点・図面の見方、チェックのポイント

Last Up Date:10.07.11

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これから家造りを始める方の為のアドバイス。
設計依頼編です。
当事務所に依頼していただく場合に注意していただきたい点をまとめつつ、ハウスメーカーや工務店に直接依頼した場合にも参考になるようにまとめました。

基本設計について

基本設計とは建物の概略を決める重要な場面です。
この時点でいかに建築家と緊密な打ち合わせが出来るかが重要となります。
特にハウスメーカー等と家造りをする場合には、契約後に変更が思うように出来ず、相手のペースで工事が進んでしまう事があるので注意が必要です。
その為にも、基本設計時にいかに図面を読み込み理解できるかが鍵となります。

具体的には、平面図や断面図、模型等で設計方針を打ち合わせていきます。
必要に応じてパースやスケッチなどでイメージを膨らめていきます。
妥協せず、建築家とのイメージの溝を埋める為にも、積極的に質問して理解を深めてください。
また、予算の中でいかに建てるかもポイントとなります。諸費用等がどれくらいかかるか(空調や照明器具が建築工事に含まれていない場合がある)を把握し、予算配分を打ち合わせする事も重要です。

お施主様が準備するもの・考えておく事

土地を既にお持ちの方は土地の資料をご持参下さい。
また、土地の諸条件(用途地域や容積・建蔽率、上水道・ガス管の敷設状況等)がわかる資料をお持ちでしたら、持参していただくと打ち合わせがスムーズになります。
土地をまだお持ちでない場合は、土地探しについてのコーナーからご覧下さい。

その土地に、どのように暮らしたいかをご家族で話し合っておく事をお勧めします。
良く、細かい間取りをイメージしてくる方がいますがその必要はありません。
どう暮らしたいか?例えば、
「明るい日差しを浴びたリビングで朝食を食べたい」
「夜はリラックスした雰囲気の中で、音楽を聴きながら寛ぎたい」
「子供部屋に子供が篭ることなく、子供との距離を大事に考えている」

など、具体的なイメージを建築家に伝える事が満足いく家造りへの近道だと思っています。
→土地探しについてのコーナー

土地の図面

敷地求積図と呼ばれる土地の大きさを記した図面。
※建物がどれくらいのボリュームで建てられるかを判断するのに重要となります。
建て替え等でお持ちでない場合は、計測が必要になる事があります。

土地の情報

用途地域や容積・建蔽率、上水道・ガス管の敷設状況等が解るもの。
(もし解らなくても、役所等で調査する事が可能ですので心配要りません)

計画済みの図面

既に他の建築家やハウスメーカーなどに計画していただいている場合には、その計画図面を持参すれば、敷地に対しどれくらいの建物が可能かを瞬時に把握し打ち合わせがスムーズになります。
但し、それぞれの設計者に公平でないという考え方もありますので、その事を鑑みて判断すと良いでしょう。

イメージ写真・お気に入りの建物

自分の考えている事を、正確に伝えるのはとても難しい事です。
特に、イメージとなると言葉では容易に言い表せません。
お気に入りの建物や、イメージの写真をご持参していただく事をお勧めします。
また、北欧風、純和風、和洋折衷、モダンなどの漠然としたイメージだけでも建築家からイメージを膨らまして提案する事が可能です。

ご持参品リスト

新居に持っていく予定のもののリストがあると良いです。
嫁入り道具等、手放せない箪笥等の大型の家具や、ピアノ、サーフボードのような趣味の道具、車のサイズなど。
これらを予め正確に伝えることで出戻り少なく打ち合わせが出来ます。
ただし、全体の設計趣旨を優先する事が重要だと思いますので、必ずしも全てのものを設計に盛り込めるとは限りません。
その中での重要度も合わせてお伝え下さい。

その他

その他、お客様で用意した資料(家族構成や趣味などをまとめたもの)があればご持参下さい。
ない場合は、建築家が設計に必要と思われる情報を聞く事になると思うので無理に作る必要はありません。
また、大まかな資金計画を立てた上でご相談下さい。
住宅ローンなどによって住宅に充てられる資金が決まってくると思いますので、簡易チェックを行っておいてください。
→資金計画についてのコーナー

打ち合わせ時の注意事項

お施主さんがどのような家を建てたいかというイメージを精一杯伝えてください。
もちろんその要望が全てかなうことはまれですが、難しい注文を受ければ受けるほど建築家は創作意欲が掻き立てられるものです。

全て建築家にお任せはやめましょう。
知識が豊富な建築家に一任というお客様は建築家にとってはありがたい存在です。
それは、お客様のお金で自分の好みの作品を作れるからです。
ですが、
住宅は彫刻などと違い飾って(見て)楽しむものではありません。

そこに住む事によって価値が生まれるのが住宅で、お施主様と敷地・諸条件によって生み出される無限の可能性をもった子供のようなものだと思います。
万人が見て素晴らしいと思う建築と、その家に住む人が満足するという事は必ずしもイコールではありません。ですからこの建築家に頼めば安心なんてことはなく、キチンと自分の意思を伝える事が重要です。

建築家は、与えられた課題と現実とを見極め最善な方法を提案してくれる事と思います。
そして、その住宅で暮らしながら家の価値を深めていく事で完成していくのです。

お見合いの場
具体的な打ち合わせよりも、この建築家(ハウスメーカーや工務店)と家造り・メンテナンスを続けられるかをご判断下さい。
ハウスメーカー等に依頼する場合は、営業マンから設計・工事とバトンタッチされる為、その人個人を判断するのでなく、会社の気質や経営状況も確認すると良いでしょう。
自分の意思をはっきりと
自分の考えをキチンと伝えて、意見交換をしましょう。
その対話の中で相手の対応を見て判断する事も重要です。
設計料や契約条件などの確認
後々のトラブルを防ぐ為にも、最初に確認をすると良いでしょう。
設計と工事が一体の請負契約の場合は、支払条件を細かく確認する事が重要です。

現地調調査・家屋調査

図面を書いていただく前に、敷地を建築家の方に見ていただくと良いでしょう。
最近では、グーグルのストリートビューや航空写真などで、現地に足を運ばずして周囲の状況を確認する事ができるようになりましたが、やはり何かと敷地調査で発見できることは多く、設計の大きな影響を与えます。
また、二回目の打ち合わせ(図面提案)は出来る限り、自宅に呼んで行うと良いと思います。
建築家は、その家に住む人の趣味・嗜好を感じ取る事が出来、設計に反映できるからです。
初回の打ち合わせに参加できなかったご家族(ペットも)の暮らしぶりも確認できる重要な機会です。
その際、その家で不便な事や良かった事を伝えるとより良いと思います。

近隣関係
近隣にお住まいの方で、気に掛けて欲しい人などがいれば伝えてください。
また、初期の段階は建て替えを検討している事を周囲に知られたくない事がありますので、その場合は予め伝えてください。
出来れば家族全員で
出来れば、一度家族全員で建築家に会うことをお勧めします。
家を建てるのはあなたであっても、その家を引継ぎ暮らすのは子供さんであったりするからです。
みなさんの厳しい目で建築家を面接してあげてください。

普段のままで
お客様が来るからといって一生懸命掃除をなさらないで下さい。
散らかっているならば、そこには住宅上の欠陥があるからと建築家は考えます。
その人の暮らし方に応じた収納術を考える上では重要な要素になりますので、堂々と見せてあげて下さい。
もちろん、おトイレ掃除とか床のゴミとかは片しておいた方がベストです(笑)
残したいもの
庭木や景石、婚礼家具など新居に持ち込む品を確認してもらってください。
必要に応じて寸法をとったり写真を撮ったりすると思います。

提案図面・資料の説明

始めは、図面等資料だけではなかなか大きさなどがイメージできないと思います。
建築家から提案を受けた図面と、もし今お住まいの家の図面があれば縮尺を同じにして比べる事をお勧めします。
漠然としていた間取りの大きさが途端にイメージできるようになります。
また、敷地に立ち方位を合わせ図面を見る事で、窓の先に何が見えるのか?など生活がイメージしやすくなります。
模型を方位に合わせて置くことで、季節や時間に対しての光の加減が想像できとても有効です。

概要書
建築の概要が書かれた図面。基本設計の場合は、概要書がない場合や他の図面に書き入れている場合があります。
敷地条件や面積など書いてあります。
主に容積率や建蔽率などで余裕があるのかないのかを確認すると良いでしょう。
配置図
敷地に対して建物がどのように建つかを記した図面。
1階の平面図と兼用する事があります。
隣地に立つ建物の窓の位置や玄関などを確認しながら見ると良いでしょう。
もちろん、方角も確認してください。
また、高低差のある敷地の場合は段差の処理をどのようにするかなど断面図と合わせて確認する必要があります。
駐車場からの車の出し入れや、車がキチンと出せるかどうか?庭に光が入りそうかなど確認します。
平面図
建物を水平方向に切断して見た図面(通常床から1m位のところで切る事が多い)

基本設計の中で最も重要な図面です。
各室の広さや他の部屋との繋がりなどの動線に注意してみてください。
一日の流れを、休日と平日それぞれ頭の中でイメージしてみると良いでしょう。

図面上に家具がレイアウトしてある場合は、それを参考に間取りの大きさを把握すると良いのですが、時に極端に小さい家具を書いて広く見せようとする図面も見受けられるので、定規で測って確認すると良いでしょう。

また、上下階の繋がりも非常に重要となってきます。
寝室の上に便所や浴室がないか?等マンションと違い、(特に木造の場合は)遮音性能を確保しづらいので、生活時間帯の違う者同士の部屋の関係をチェックします。二世帯の場合は特に重要となります。
また、技術である程度はカバーできますので、あまりにもそればかりを気にしすぎて神経質になりすぎても良い家になりません。。。

立面図
初期の提案では立面図を全面書くことは稀で、重要と思われる面のみ作図する事が多いと思います。
窓の大きさや、雨戸がついているかや、デザイン等を確認します。

ただし、立面図そのものの姿で建物がいつも見えるわけではありません。
塀や木、建物自身の軒や屋根で隠れて実際は奥行きがあり違った見え方がするので、パースや模型があればそちらを重視したほうが良いでしょう。

法的なチェックなどを行っている場合もあります。
道路斜線制限や北側斜線などを高さを制限する法律の及ぶ影響を確認します。
断面図(矩形図)
建物を垂直方向に切断して見た図面で、床の高さや天井高さなどを確認できます。
天井高さは2400~2600mmが一般的です。3mを越えると電球などの交換が困難になります。
天空率や斜線制限(北側斜線等)が厳しい場合はより細かい検証が必要となります

設計依頼する場合の注意点まとめ

以上で基本設計の説明は終わりです。
一度の提案で、理想の図面が書けるということはまずありません。思っていることが上手く伝わっていなかったり、誤解があったり。法律の壁や資金面の問題など理想の家造りには時間と労力が必要になります。
普通基本設計では5~10回のプラン変更を行います。(多い方は10回以上)
一つの案では決めることが出来ず、いろいろなアイデアを見てみたいという願望がそうさせる所もあります。また、短期間で全て物事を決めてしまうのもあまり感心しないので、3~4ヶ月といった期間は予定でみておいたほうが宜しいかと思います。

建築家の考えるプランはただの間取りの組み合わせでなく、そこで繰り広げられるライフスタイルをイメージして設計されます。何度か打合せを重ねるたびに、次第にそれらの意図を図面から読み取れるようになり、理想の間取りへと集約していくのです。

あせらずに、ひとつひとつ疑問点を潰しながら家造りを楽しんでください。

※建築情報コーナーの関連記事リストです

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  2. 建設用地購入・家屋解体時に注意する事
  3. 建物のボリュームチェック・建築家の裏技
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  5. 中古住宅を購入時の注意事項~建て替え時を視野に入れて
  6. 住宅建築費の実際・ローン試算の手引き
  7. 固定資産税・都市計画税の課税標準額算出法
  8. ◆設計依頼時の注意点・図面の見方、チェックのポイント
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