固定資産税・都市計画税の課税標準額算出法

Last Up Date:10.07.11

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本記事は2010年に執筆したものをHP移転に伴い転記したものです。
ですので、税制など変更になっている箇所もあると思うので最新の情報をご確認ください。
大まかな考え方や注意点は参考になると思っております。

固定資産税の実際の値段は?課税標準価格の算出法とは


住宅を新築する時点で予め知りたい新築後のお金の流れ。
住宅ローンの試算はキチンと行うものの・・・
固定資産税の価格や都市計画税の実際の値段てなかなか解らないものです。
減税措置で、3年間半額になるとか無税になるとか法制度の解説はあるものの・・・
どのくらいの建物を建てるといくらぐらいの税金が課せられるかというのがよく目に見えないんですよね。
ここでは、実例を元に固定資産税と都市計画税の算出法と実例を紹介したいと思います。

建物(住宅)の固定資産税・都市計画税の課税標準価格について

建物の固定資産税・都市計画税の算出法は固定資産税課税標準額・都市計画税課税標準額を元に1.4%、0.3%という割合で税金を納付する事になります。(都内の場合)
しかし、建物(住宅)を建てるときに掛かった建設費で計算するととんでもない税金を払う必要がある為驚かれると思います。

仮に3000万円の住宅がそのまま課税標準価格として固定資産税・都市計画税を計算してみると(都内の場合)

固定資産税:3000×0.14%=42万円(新築住宅減税で3年間は21万円)
都市計画税:3000×0.3%=9万円

となり、減税措置などがないものとすると(減税効果は2~3年の為、シュミレーションはないものとして考えるべき)年間約50万円の税金が必要になります。
(もちろん減価償却分があるため徐々に税金は減りますが)大変な額ですよねぇ~こんなに税金を払う事になってしまったら皆新築を建てることはありませんよね・・・

では、実際の固定資産税はどれくらい掛かるのでしょうか?
もちろん構造や仕様などの違いはありますが、参考までに実例を2件挙げてみます。
※一般的な木造住宅の固定資産税ケースです。
床面積あたりの課税標準額を示しますのである程度の目安になるのではと思っています。
(実際の課税標準額の算出法は面積やグレードによる加算率・設備仕様などで上限しますが指標には使えると思います

建物の固定資産税課税標準額の例1
構造:木造二階建て屋根スレート95.43㎡(新築・都内)
課税標準額:6,477,000円
固定資産税:90,678円(新築住宅減税適用で実際は-45,339円)
都市計画税:19,431円
面積当り課税標準額:6.78万円/㎡→22.4万円/坪
建物の固定資産税課税標準額の例2
構造:木造二階建て屋根スレート80.18㎡(新築・都内)
課税標準額:5,381,300円
固定資産税:75,338円(新築住宅減税・建て替え減免適用で実際は-75338円)
都市計画税:16,143円
面積当り課税標準額:6.71円/㎡→22.1万円/坪

といった二例を見るとほぼ面積あたりの課税標準額は一致する事からこの割合で予想すると良いかもしれません。(管轄税務署によって差があるかもしれません)


30坪前後の木造住宅で9~12万円/年間という税金が掛かるというのが実際の価格のようです。

新築後2、3年は減税措置がありますがそれ以降はその税金を払い続ける必要があります。
ただし、それ以降は徐々に課税標準額が減額(減価償却)され、最終的には20%の価額となります。
しかし、価値が0になる事はありませんし、大規模なリフォームなどをすると見直しされる事もあります。
ですから、住宅ローンを払いきった後にもキチンと税金を納められるかどうか?長い目で試算する事が必要になります

土地(宅地)の固定資産税・都市計画税の課税標準価格について

土地の固定資産税・都市計画税の課税標準額は建物に比べたら予め予想するのが簡単です。
土地の価額は路線価によって公に示されていますので、その価額を用い補正率を掛けて算出されます。
ここでも2例を挙げて解説させて戴きます。

土地の固定資産税課税標準額の例1
地目・面積:宅地113.93㎡
路線価:240
価格:24,366,220円
固定資産税課税標準額:3,396,492円(価格×1/6×負担割合82%)
都市計画税課税標準額:7,899,146円(価格×1/3×負担割合96%)
固定資産税:47,550円
都市計画税:23,697円(小規模住宅用地減税適用の価額で実際は+11,849円)
面積当り価格:213≒路線価240×0.9

※負担割合はその年度ごとに見直されます

土地の固定資産税課税標準額の例2
地目・面積:宅地188.04㎡
路線価:208
価格:39,112,320円
固定資産税課税標準額:5,239,942円(価格×1/6×負担割合80%)
都市計画税課税標準額:13,037,440円(価格×1/3×負担割合100%)
固定資産税:73,3590円
都市計画税:19,556円(小規模住宅用地減税適用の価額で実際は+19,556円)
面積当り価格:208≒路線価208×1.0

課税標準額の元となる土地の価格は路線価※を元に計算され土地の形状によって補正が掛けられます。
不正形地や間口の狭い土地などは減額され、角地や間口の広い土地や、条件の良い道路に面してる場合などは割り増しになります。

仮に10%前後の増減があるものとして計算する場合

固定資産税:路線価×補正率(90~110%)×負担割合(80~100%)×1/6×0.14%
都市計画税:路線価×補正率(90~110%)×負担割合(80~100%)×1/3×0.3%
※負担割合は実際は60%~110%ぐらいの巾があります

という試算が出来るのではないかと思っています。

(コレは試算の為参考程度にご利用くださいね。)


宅地を購入する際は土地に係る税金がどれくらいなのか?
予め検討をしておきたいものです。
土地の場合は3年毎に路線価は見直しがかかるものの極端な変動はないと思われます。
(負担割合は急な変動がある場合に補正する役割があります)
その為、建物を建てそこに住む以上毎年支払う事になりますので試算に入れておく必要があると思います。
また、建て替えの場合は土地の価額がそれにより増減する事はありません。
前年度の課税価格を参考に、新築後のシュミレーションをしてみてください。

固定資産税・都市計画税の減免・減額

建物・土地それぞれに減免・減額措置があります。
ただし、すぐに法改正などが行われ状況が一変するのでここに例を挙げますが、最終的には所轄の税務署などに問い合わせしていただくのが堅いと思います。
また、詳細な条件等は別途確認してください。

住宅の固定資産税・都市計画税の減免・減額措置(H22.06.01現在)

新築住宅に対する固定資産税・都市計画税の減額(期間?)
住宅の場合3年(3階建て以上の耐火建築物・準耐火構造は5年)
120㎡相当分までの固定資産税が1/2
固定資産税7.5万円の住宅→11.25万円のお得(建て替えの場合は他の軽減の方が効果効果大)
認定長期優良住宅にかかる固定資産税・不動産取得税が軽減(~H24.03.31)
認定長期優良化住宅の場合5年(3階建て以上の耐火建築は7年)
120㎡相当分までの固定資産税が1/2
固定資産税7.5万円の住宅→7.5万円のお得(他の減税との重複分を除く・上記2年延長と考える)
バリアフリー改修工事が行われた住宅の減額(~H25.03.31)
介護認定を受けている家庭(65歳以上。障害のある方でも可)のバリアフリー工事(30万円以上)を行った際には翌年の固定資産税が100㎡相当分までの1/3の減免が受けられます。
省エネ改修工事をした住宅の固定資産税が減額(熱損失防止改修住宅の減額)(~H25.03.31)(~H21.01.01 廃止)
50㎡~120㎡までの住宅は3年間全額控除となる減免措置は廃止になり上記の減額措置となっています。

土地の固定資産税・都市計画税の減免・減額措置(H22.06.01現在)

小規模住宅用地の都市計画税の軽減(H22年度・延長措置の為以降継続不明)
本文住宅の一軒につき200㎡までの部分の都市計画税が1/2
都市計画税2.2万円の宅地→1.1万円のお得
本文

と、H22.06.01現在の都内の減税政策を列挙してみました。
どれも意外と減税効果は低いものです。
耐震化の建て替えの場合はまとまった金額の減税効果があります。
長期優良化住宅の減税措置は5年(7年)と期間が長いため相当な効果を期待しますが、新築住宅の特例と重複する部分があるため、実際の減税効果はそれほど多くありません。
むしろ、
一般的な住宅より課税標準額が高く勘定される事が予想される
ので、逆に生涯納める税金の額は増えてしまう事があるかもしれません。。。(これは私の勝手な予想ですが・・・)

固定資産税・都市計画税の試算・シュミレーションについて

ここで取り上げた例はあくまで実物件の例で、土地の形状や建物の構造や形態によってっも異なりますのであくまで目安としてとらえていただけたらと思います。

ただ、漠然と固定資産税や都市計画税の金額が解らないという状況を払拭するのが目的で、恐らくほとんどのハウスメーカーや工務店、建築家の方はそこまでの内容をキチンと説明してくれないと思うのですよね。
新築後に掛かるお金が「高い」と思ったら建築するのを辞めてしまったり「工事費などを見直して減額」したりしてしまうからです。
そして、今建てればこういった減税効果があるのでお得ですよと逆に建築を急がせる材料にも使われたりするものです。

ですが、その金額をキチンと把握しないで新築計画を建ててしまうとせっかくの一戸建てを無理に手放さなければならなかったり、それまでの趣味や暮らしのレベルを変えたりする事を強いられたりする恐れが出てきます。
家を建てるという事がただの行為になってしまい、家を建てる事によって本来勝ち取る生活がうまく送られなかったりと、我慢して暮らす事になりかねません。
逆にもっと税金が掛かると思っていた場合はもう少し建設費に上乗せして希望の家に近づけるという選択肢も出てくるかもしれません。

ですから、出来るだけ早い段階にこういった建築後の諸経費もキチンと試算し、無理のない建築計画を立てて欲しいと思っています。

月々1~2、3万円の税金。
それを高いと思うか安いと思うかは人それぞれですが、賃貸住宅に比べるとかなりの負担を強いられるわけです。(ただし、賃貸住宅には更新料があるのでちょうどトントンかも)
その税金を払っても無駄にならない住宅。
キチンと断熱や構造等を考え抜いた家を作る事が重要ではないかと思っています。

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