中古住宅 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 https://akatukidesign.com ライフスタイルをデザインする建築設計事務所 Wed, 29 Nov 2017 05:21:41 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.1.1 https://akatukidesign.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/cropped-faviconbig-32x32.png 中古住宅 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 https://akatukidesign.com 32 32 中古住宅を購入時の注意事項~建て替え時を視野に入れて https://akatukidesign.com/housetec/chuukojyuutaku https://akatukidesign.com/housetec/chuukojyuutaku#respond Thu, 23 Nov 2017 07:29:57 +0000 http://akatukidesign.com/?post_type=housetec&p=1097 Last Up Date:12.06.22 [toc heading_levels=”2,3″] 中古住宅を買う際に注意したい事 私は不動産の専門家ではないので、その中古住宅が安いか高いかなどは専 […]

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Last Up Date:12.06.22

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中古住宅を買う際に注意したい事

私は不動産の専門家ではないので、その中古住宅が安いか高いかなどは専門外なのでコメントできませんが、建築的にその中古住宅が資産価値があるか?またその土地に建て替えを行った場合にどのようになるかをアドバイスしたいと思います。
中古住宅の場合は、築浅の物件を購入して殆ど手をいれずに住むケース。
中古マンションなどの場合は総リフォーム(リノベーション)して住む場合、数年住んで建て替えを考える場合と状況によって様々かと思います。
最近の新築は50年100年先を見越して作られた住宅もあるものの、現在中古市場で出回っているものの多くはスクラップ&ビルドを前提とした住宅が殆どです。
ですから、
20年30年はその中古住宅に住む事は出来たとしても、その後どのように暮らし続けるか?をキチンと見越して購入すべきだと思います。

個々の間取りや設備はお施主様の好みがありますので、建築家の考える中古住宅の正しい見極め方として、その将来の建て替えを見越した中古住宅の購入を視野に解説したいと思います。

耐震基準の変遷

建築基準法で耐震強度については細かく規定が設けられいるのですが、大きな災害や事件が起きる度に改正され、強化されてきているので、その法改正の後と前では全く強度が違う場合があります。
その主な例を下記に記してみます。


1981年(昭和56年)6月1日~新耐震基準
「震度5程度の地震に耐えうる住宅」→「震度6強以上の地震で倒れない住宅」と大幅に変更された。
2000年(平成12年)6月1日~建築基準法大改正
性能規定・限界耐力設計がされるようになった。
木造では壁位置のバランスを重視した壁量充足率チェックや小屋裏の構造への考え方などの基準が出来た為、さらに安全性がUPしました。
また、仕口に関する規定や基礎の形状などにも細かい決まりが出来ました。
2007年6月20日~元姉歯建築士による耐震偽装を受けての基準法改正
構造の規定というよりは、チェック体制が重視された。
木造住宅においては4号建築物の特例※措置で緩和されていた構造審査も厳格に審査されるようになった。

このように新築された時期において構造の強度を測る物差しが変更されているので、キチンといつの基準で建てられた建物かを理解する必要があります。
ここで注意しなければならないのが、上記の基準は確認申請を受け付けた時点での適用だという事。
つまり、1981年に完成した建物でも、確認申請が6月1より前に出されていた場合は古い基準で建てている場合があるのです。
特にマンションなどは完成まで1~2年掛かる事もあるので注意してください。

また、木造家屋の場合は、もともと寿命が長くない為、簡易なリフォームで住み続ける予定の場合は平成12年の大改正も一つの区切りとして判断すると良いと思います。

既存不適格建築物と違反建築

既存不適格建築物
竣工時は合法だったものが、法改正等によって現在の法律に照らし合わせると違反となっている場合。現状は合法とみなされるが、増改築を行う場合には現行法に照らし合わせて是正する必要が出る場合がある。
違反建築物
竣工当初から違反して建てた建物。
その違反の度合いは様々ですが、小屋裏違反から建蔽率、容積率違反など様々。
特に周辺環境に影響を与える道路斜線違反や建蔽率違反などは重大な違反で、是正・撤去が求められる事がある。

つまり、現行法に基準を満たしていない中古住宅にも二つのパターンがあるというわけです。
ここで私が言いたいのは、違反建築物を購入する場合は充分注意してもらいたいという事。

建蔽率違反などでは通常の土地の価値以上の建物が建っているというメリットで、その分割安な土地ということになるかも知れませんが・・・
そういったいい加減な手法で建てられた建物は
構造躯体もいい加減なのでは?
と私は考えてしまうからです。
なにがなんでも、土地と建物を高く売り抜けたい不動産会社。
そういった業者が、親切に?壁の中で見えない構造まで気を使って建てているでしょうか?

中古住宅の場合は、元の住人がどういった業者から購入したかの経緯をなかなか知る事が出来ませんが、この違反建築物なのか既存不適格建築物なのかという事でなんとなく予想する事はできるのです。

Information

違反建築物と既存不適格を混同している不動産事業者が多くあります。
この違いは明確に異なりまったく性質の異なるものです。
悪意が働いて違反状態になっているか?法律が改訂され違反状態になったかでその建物の信頼性にかかわる問題です。
キチンと把握する事をお勧めします。

検査済み証がなければ建築概要書を必ずチェック

さて、その違反建築物か既存不適格建築物かは素人には簡単には解らないと思うのですが・・・
まずは、検査済み証があるかないか?を確かめてください。

確認申請済み証では建物を建てる前の確認だけなのであまり意味がありません。

きちんと完了検査を受けた建物の場合は、検査済み証が交付されるので不動産屋さんに有無を確認してください。
証書は紛失していても、役所の方で受付番号がキチンとある場合もあります。

検査済み証がない場合は、どこかしら法に適合しない場合があります。
その場合は確認済み証(確認申請書)と照らし合わせて確認を行ってください。

そして、確認済み証(確認申請書)もない場合も、役所に建築概要書が保管されている場合がありますので確認してください。
建物概略が書かれているので、今建っている建物と比べて大きな違いがないかを確認します。
時々、2階建てで申請を出しているのに3階建てを建てていたりする場合や、隣家と一体の一軒の建物として申請しているのに実際は二軒建っているという場合もありますので注意が必要です。
面積なども概要書に記載されているので数値が合っているかの確認も忘れずに行ってください。

もし、建築概要書と今建っている建物があまりにも違う場合には、違反建築の可能性がほとんどです。
その場合は、キチンと構造をチェックされたものである可能性は非常に低く・・・
購入するには相当のリスクを考えなければなりません。

中古分譲住宅のチェックポイント・リスク(実例紹介)

中古分譲住宅を買う場合のチェックポイントを挙げたいと思います。
ここでは実物件を例にどういった検証が必要かをお伝えしたいと思います。
(全てのケースには当てはまらないので参考までにお伝えします)

中古住宅資料1

※図1:検討物件

友人が中古住宅を購入を検討しており相談を請けた時の話。。。
まず、「駐車場付きの3階建て物件」を検討しているのだけどどうだろう?
と相談があったんですね。(右図1のような物件)
友人から不動産会社のチラシを転送して戴き見てみると・・・
ぱっと見ちょっと危険な印象を受けたんですよ。

なぜ、そういう事を思うかというと・・・

三階建ての木造住宅の1階部分は、二階建ての住宅の1階部分より1.5倍以上の体力壁が必要になるんですね。

※特殊な工法(SE工法)などで見かけの壁量以上の強度を出す事の出来る出来る工法もあるので、この形の建物が全て危険というわけではありません。

中古住宅資料2

※図2:耐力不足

ですから、私たちが設計する時も壁のバランスを考えて設計するのですが・・・
簡単にチェックしてみたんですけど、壁の量が足りないんですよ・・・全然。

さらに、右図2の赤い壁が体力壁とすると・・・
赤い点線で囲まれた部分には体力壁がないのがわかります。
このような間取りだと駐車場の出入り口と玄関がある為、壁を作れないんですよね。
このように駐車場を設けた場合はバランスが崩れる為細心の注意が必要になるんですよ。

中古住宅資料3

※図3:偏心率

建物には重心と剛芯とがあってこの中心双方がずれていればずれているほど危険なんです。
この物件の剛芯(構造的な中心)は右図の大体バツ印らへんです。
その為、地震等があると上側はあまり揺れないかわりに下側が大きくゆれる事になります。
そして、その一番揺れの大きい部分の柱が少ない為に更に脆い構造なんですね。。。

中古住宅資料3

※図4:オーバーハング

そして、さらに悪いことに・・・
その脆い部分にニ・三階部分が迫り出していた(オーバーハング)んですよ・・・

う~~ん果してどういうことだろう?
不安になって道路の巾をチェックしてみると、道路斜線制限も大きく違反している事がわかりました。
念の為、グーグルのストリートビューで近隣建物もチェックしましたが、明らかにこの建物が突出していたのです。

※天空率等の緩和策でクリアできることもありますが、本物件では天空率を駆使しても適合不可と思われました。

しかも、二階部分の床面積から建蔽率をはじき出してみると・・・
10%以上オーバーしているんですね。。。
ますます信じられません。


そこまでの内容を友人に伝え、不動産会社に問い合わせしてみると・・・
建蔽率10%程度なんで大した違反じゃないですよ。
という事で、特に問題視もせずに購入を勧めてきたそうです・・・

果してそうでしょうか?

通常では建てられない大きさで建っているからお得!
と喜んで買うべきでしょうか?

いや、私は違うと思います。
そんな違反を犯して建てられている建物が、見えない部分にもちゃんと気を使って建てているでしょうか?
答えは明白だと思います。
100%とは言いませんが・・・

そこで、もう少し掘り下げて調査することに。
友人には不動産屋さんに確認申請書の控え若しくは、検査済み証が有るかを聞いてもらう事にしました。
もし、ない場合は建築概要書が役所に保管されていると思うのでそれを手に入れてくれないか?と。

–後日—

案の定、完了検査を受けていない物件だったので、建築概要書のみが手渡されました。

そして驚愕の事実が!

中古住宅資料4

※図5:実際に建っている建物
  三階建て二棟

中古住宅資料5

※図6:建築概要書の建物
  二階建て一棟

建築概要書では、隣の建物と一体の一軒。
しかも、「二階建て」として申請が出されていたんですね。

そう、それと・・・
この建物、その為基礎が隣と繋がっていたんですよ。

もう、何がなんだかわかりません・・・
きっと、二階建てでは採算が取れなく、無理やり三階建てにして売っちゃったんでしょうね・・・


結局考えられる不信点は

  • 建蔽率オーバー
  • 構造違反(コレが一番問題) 
  • 道路斜線違反
  • 日影規制違反
  • 準耐火建築物違反

などなど・・・

こういった経緯で建てられた三階建ての建物なので・・・
構造がまともとは到底考えられないんですよね・・・

そして、それ以上に私が問題視するのは・・・

基礎がつながっているという事。

万一、建て直しする事になったら容易に建て替えする事が出来ない事を意味してます。
そして、コレだけの違反をして延べ床面積が80㎡ちょっとしかないんですね。
恐らく、法に適合して建て替えようとすると物凄く小さくなってしまうんですよね・・・

その土地にどんな家が建て直しできるか?
そのイメージが全くもてないんですよ。


友人はこの物件とは縁がなかったものとして、購入を断わりましたが・・・
きっと、他の方が購入する事になったのかな?

中古物件で「安い」物件にはやはりそれなりのリスクがあるからこそ安いのだと思います。
競売物件だから安い。
というのも一理ありますが・・・

問題があるから競売物件になっているケースもあります。
よ~く考え調査して購入してくださいね。

目の前に見えている建物だけを皆さんが購入するものではないのです。
目に見えない部分。
将来の使い道までを考え、後悔しない不動産探しを行いましょう。

違反建築も最後は土地の価値しか残らない

中古住宅を購入する場合は、最後は土地しか残らないと思っていいでしょう。
分譲住宅の場合は、民法などを無視して敷地いっぱいに建てている場合でも、建て替えをする際には同じように敷地いっぱいに建てられる保証はありません。
(同様に隣家が民法を無視している場合は交渉の余地があります)
また、基礎が一体となっていたりする場合は、建て替えに制約が出来るのと・・・
そもそも違反建築が建っている場合は、当然ながら建て替えの場合は法に適合させなければいけないので、同じ様なボリュームの建てる事が出来ず、極端に小さい住宅しか建てられない土地になってしまいます。

ですから、今そこに建っている建物だけを見て判断するのでなく、その土地がどれだけの価値があるか?が重要になります。
でなければ、使い捨ての利用価値のない土地だけが残ってしまう事になります・・・

違反建築を購入する場合はその点も頭に入れ判断してください。
(万一、大震災で倒壊した際には建て替えたくても思うように建替えられない事も)

Points

建て替えの際に必ずしも同じ大きさで新築可能とは限りません。
現状違反している建物であればほぼ間違いなく小さく建てなければならなくなると思われます。
ましてや、違反して建てなければならないような敷地という事で再建築が非常に厳しい条件の土地の可能性が高いので注意が必要です。

また、違反建築物の場合はローンを組む場合にも物件価値を認められないため(担保価値が低いので)、ローンの審査も厳しいものとなります。
購入する際にこの基準をクリアすれば良いという訳ではなく、逆に売らなければならなくなった場合には、審査が厳しい為、ターゲットが制約されるので販売するのに梃子摺る事が予想されますのでご注意下さい。(すぐに売れない為、競売や任意売却で流通している物件も多いと思います→だから逆に安かったりします)

リフォームローンに気をつけて!

中古物件を購入してリフォーム・リノベーションを行う場合、注意したいのがリフォーム資金。
お施主さんの話を伺っていると普通に住宅ローンを組めると思っている方が多いのですが、一般的には住宅ローンは組むことができません。
このケースで適用されるのがリフォームローン。
住宅ローンより金利が悪く、返済期間も短く条件が厳しいのが特徴。

一般的に

  1. 金利:割高
     ※環境配慮設備や耐震改修等には割引が有る事も
  2. 返済期間:10~15年程度
  3. リフォーム物件は所有権を有するもの
     ※親族が所有の場合は同居に限る事が多い
  4. 支払い条件:完了時一括支払いが原則
     ※つなぎ融資など無いのが一般的ですので、契約時金等は現金の用意が必要に
  5. 返済額:返済期間が短いため、毎月の返済額も割高に
     ※中古住宅購入のローンと一緒に支払うとなると負担が重くなります

対策:

中古住宅を購入時にまとめて住宅ローンを組む事が可能であれば、それが最善です。しかし、中古購入時は時間がなく、リフォーム費用まで見通せずに契約する事の方が多いかと思います。

購入後は住宅ローンを借り入れ済の銀行で、借り換え融資を実行して住宅ローンに組み込むことも可能なケースがあるようです。
その場合、手数料が二重にかかることになってしまいます。

物件探しをしていると、リフォーム資金を考えずに探していることがほとんどですよね。いざ、お気に入りの物件が見つかると、他のユーザーに買われない様に購入を急がされてしまいます。
その時にはリフォームのことなど考える暇も無く銀行との手続き等に追われがちです。
リフォーム前提の中古物件を購入予定の場合は初めに銀行にも相談しておくと良いでしょうね。

中古物件探しを始めると、すぐにすばらしい条件だと思う物件に巡り合います。
しかし、まだまだ目は肥えていません。
もっといい物件が眠っているかもしれないのに、そう思い込んでしまう場合が多いように思います。
出来たらはじめの数件はスルーしてじっくり探すだけの余裕が欲しいところですね。

最後にお断り・・・

最後に、断りを入れておくと・・・
違反建築物だから絶対購入しちゃ駄目よ!と宣伝しているわけではありませんのでご理解下さい。

違反建築物を購入する際は、その持ち主が「違反」に対する責任も引継ぐことになります。

悲しいことに、世の中には違反建築物が数多くあるのは事実です。
そういった建物に、何一つ不自由なく(もしかしたら知らずに)暮らしている方もいるわけで・・・
そういった方が全て悪者だという話ではなくて・・・

これから購入を考えている方にそれらのリスクを正しく理解して頂き、自分なりの判断をして頂きたいと思うので記事にしています。
(耐震偽装事件以来、これらの違反建築物に対するチェック体制はかなり強化されています。その為、建替えの際は厳しい基準で審査されることになります)

物件探しを依頼している不動産によっては、これらのリスクを正しく説明せずに、購入を勧める場合もあると思うので、そういった方の為に少しでもアドバイスになればと思って書いています。

不動産屋は物件の売り買いのプロですが、我々はその敷地に建物を建てる・計画するプロなので、我々の立場からして再建築が難しい土地の購入へはちゃんと理解した上で購入を考えてもらいたいと思っています。

中古物件探しはとても難しく、気力も体力も使うことと思いますが、めげずに頑張ってください!
諦めなければきっといい物件が見つかると思いますよ。

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