あなたのまちの地域危険度
東京都都市整備局から第8回地震に関する地域危険度測定調査の報告書が発表されました。
東京都内の市街化区域の5,177町丁目について、各地域における地震に関する危険性を
- 建物倒壊危険度
- 火災危険度
- 上記に災害時活動困難度を加味した総合危険度
を評点化したものです。
各町丁目の分布は以下の通り
色付けされた地図で見ますと
東の方に危険な赤い色が固まっているのが良く解ります。
この調査は約5年おきに実施されているのですが、前回同様最下位は荒川区町屋4丁目となりました。
荒川区では耐震診断の助成や様々な建て替えや防災に関する助成金制度が充実しているのですが、この汚名は返上できなかったようです。
私も荒川区に住む建築家として時々耐震診断を依頼されることがあるのですが、区の助成はかなり本気で、この結果を受けてこれからも補助金、助成制度が拡充するのではないかと思っています。
ただし、やはりその認知度が低いのと、この調査の結果があまり知られていないのが現状で
なかなか耐震建て替えや耐震補強、不燃化助成といった制度の存在を知らずに過ごしている方も多いのではないかと思います。
荒川区に限らず、これらの助成金制度は非常に有用です。
耐震診断の費用はちろん、耐震建て替えや、解体の費用、そして設計料までも補助金を受け取れる制度があります。
是非、地域危険度調査の結果を調べてみるのと、助成金についても調べてみてください。
危険度リストとこれからの耐震住宅
しかし、こうやって数字で危険度を見るとちょっと怖くなりますよね。
建物倒壊度はマンションより戸建て住宅が多いほうが高くなる傾向がありますが、
最下位だった町屋4丁目だけでなく、私の住む西日暮里地区も地盤が緩いのが良く解ります。
建物を建てる際、もちろん地盤の状況を加味しますがそれは建物が傾くか傾かないかの評点のみで、地震に対しての揺れやすさは基本的に加味されません。
これは非常に大きな問題だと今回の結果を眺めながら気づきました。
もう少しかみ砕いて書くと、
地盤の状況によって建物の設計で加味する要素は沈まない傾かないで、地震の時の揺れ方はあまり細かく評価しないのです。
建物側を設計する際は、自然に沈まない地盤の上に建物が建つ前提で、特に木造住宅で一般的な壁量計算においては耐震壁の加算などは全くされないのです。
(屋根の重さによっては壁の強度が変わる)
地盤の事は地盤改良で
建物の事は建物の耐震設計で
と基本的に切り離されているのです。
これは恐ろしいことですよね。
もちろん、私の設計では地盤の状況を加味し、耐震性能を上げるように設定していますが、こういったデータを見るともっともっと強度をあげなければならない気がします。
私は構造のエキスパートでないのであまり掘り下げる事が出来ませんが、木造住宅の構造は特に専門家が少なく、構造計算ソフト頼りになってしまうんですよね。
こういった分野こそ国が先導して新たな耐震設計制度を作って地盤の状況に合わせた設計手法を確立してもらいたいものです。
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