現場監理 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 https://akatukidesign.com ライフスタイルをデザインする建築設計事務所 Sun, 24 Nov 2019 13:53:38 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.1.1 https://akatukidesign.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/cropped-faviconbig-32x32.png 現場監理 | 東京都荒川区の建築設計事務所Akatukidesign一級建築士事務所 https://akatukidesign.com 32 32 地盤調査工事を詳しく解説・工事のチェックポイント https://akatukidesign.com/housetec/jibanchousa https://akatukidesign.com/housetec/jibanchousa#respond Wed, 02 May 2018 05:51:40 +0000 http://akatukidesign.com/?post_type=housetec&p=2150 Last Up Date:2018.05.02 [toc heading_levels=”2,3″] 地盤調査の重要性 建築の工事の前に行う工事でとても重要なのはこの地盤調査です。 建物には当然の […]

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地盤調査の重要性

建築の工事の前に行う工事でとても重要なのはこの地盤調査です。
建物には当然のことながら重さがあり、その建物の荷重に地盤が耐えられるかのチェックがこの地盤調査となります。

一般的な土地では敷地内でほぼ均等な強度なのですが、まれに地盤の強さにも傾きがあり、敷地全体を調べる必要があります。
特に傾斜地や、昔川だった土地の付近などは盛土や切土等によって地盤強度のばらつきが大きい場合が多いので要注意です。

この調査を怠ると、
①不同沈下:建物が偏って沈み斜めになる事

②圧密沈下:建物全体が大きく沈み込む事
等が起き、生活に支障が出てしまいます。

これらは、地盤調査を行う前に、周辺のボーリングデータ等の地盤データを採取して大まかに予想することは可能ですが、最終的には建設地できちんと行うべきことだと思います。
特に、住宅密集地などでは家屋がある状態だと調査が困難だったりして、解体後の調査が必要となります。
その後、予想外の地盤改良の必要性が出たりすると家がないのに建築費が足りないといった問題が発生するので事前の予想も重要になります。

また、建てる建物の構造種別や、使用する仕上げ材料、地盤改良する場合に採用する工法によっても採用すべき調査方法が変わってきます。

ボーリング標準貫入試験のチェックポイント

ボーリング試験

地盤の強度の基準となるのがこのボーリング標準貫入試験
他の地盤調査もこのボーリング試験の計測結果に換算してどれくらいの強度があるか?といった数値をはじき出す為、指標となる試験です。
しかし、このようにやぐらを組んだり、重機の搬入や時間とお金がかかるため住宅ではあまり採用されません。
コンクリート造などの重い建物や、表層では持ちそうにない緩い地盤等ではこちらの調査が必須となる場合があります。
マンションや、橋などの大型物件でも採用される調査ですので一番信頼度の高い調査方法です。

ボーリングの重り

ボーリング標準貫入試験(ボーリング調査)とはこの63.5㎏の重りを75cmの高さから落として杭(サンプラー)を30cm貫入させるのに要した回数をN値と呼び強度の基準値としたものです。

ボーリング調査工事写真

ですので、調査は実にアナログで人の手で行われます。
重りは紐で引っ張り上げ、ちょうど75cm持ち上げたら磁石が離れるようになっていてドスンと打ち付けるのです。

ボーリング調査

言葉で書くと簡単ですが、軟弱地盤では重りを落としてしまうと一気に1m以上沈んでしまい、その後の調査が不明確となってしまいます。
その為、地盤の状況を見極めながら調査を行います。

ボーリング調査

自沈層がある場合は、沈み込むのに要した時間を計測します。

Check Point

精度が高い試験といいましたが、軟弱地盤では正確な強度を計る事が出来ない弱点があります。
また、調査は1mの内30cmしか計測していないために70%のデータを無視しているという考え方もあり万全ではありません。

地盤調査

少し前にマンションの地盤調査データのねつ造問題がありましたが、このように実にアナログな調査で、調査員のミスによっても数値が異なることもあります。
最近では、やぐらも不要の機械化されたボーリング調査も開発されたようですが、熟練した職人の勘も重要だと思うだけに悩ましい問題です。

地下水位測定

地下水位

調査の過程で地下水位を計測します。
これは地下室や、RCの建物の地下ピットの施工などの際の参考にします。

土質調査
土質調査

また、調査と並行して地下の土のサンプルを採取します。
これらは地層を判断するとともに、土の強さを計測するために利用します。

孔内載荷試験

孔内載荷試験
孔内載荷試験

また、ボーリング調査の穴を利用して孔内載荷試験を行う事があります。
これは横方向の地盤強度を計測するための試験。
試験棒を杭の穴に落として圧力をかけて数値を計測します。
杭や柱状改良を行う際にデータを利用します。

スウェーデン式・サウンディング試験のチェックポイント

SS試験

住宅の規模ですとこのスウェーデン式サウンディング試験を採用することが多いです。
これは比較的軽い建物(主に木造住宅)の敷地で採用されるのですが、4~5か所の調査を簡単に行えて安価なのが特徴です。
また、ボーリング調査を行った敷地でもスウェーデン式サウンディング試験と併用することもあります。

こちらは打ちつけるのではなく、スクリューをねじった回数で強度を確認する方法です。
ロッドに5~100kgの錘を載せて調査しますが、最近は全自動式の物も多いです。
調査は10mまでしか行えませんが、木造住宅であればこれで十分なことがほとんどです。

SS試験
スクリューを回転させながら計測し、土質のサンプルを採取します。

地盤調査
地盤調査

土質が細かく把握できるのはメリットですね。
ここまできちんとサンプリングしてくれると細かい単位で地盤の強度が把握できるので良いです。

調査も数時間で済み、ほとんど騒音もないのもメリットです。

その他地盤調査・液状化試験

その他、平板載荷試験といって基礎に見立てた鉄の板を置き、実際の荷重かけて強度を計る方法があります。
また、ボーリング調査を自動的に行う機械も開発され、日々発展しています。

もう一つ重要な試験に液状化判定があります。
これは東日本大震災で被害が多数発生して注目された試験。
調査方法は様々で、机上調査や土質サンプルから土の粒度試験を行い判定を行ったりします。

しかし、悩ましいのはその結果。
海岸部などではおそらくほとんどが「液状化の恐れあり」との結果が出るものと思っています。
問題はその結果を踏まえてどうするか?
その手段がないまま調査のみを行うと不安材料だけが増えて良くないと考えています。

最終的には構造設計者の判断によるところが大きい地盤調査。
どのような補強や対策を行うか、行えるか?を踏まえ調査方法を選定することが重要です。

地盤調査のまとめ

ここで、調査のデータの解説もしようと思いましたが、基本的に実際の工事段階にはハウスメーカーの営業マンなり、建築家なりからきちんと説明があると思います。
また、調査報告書が作成されそこにどのような地盤かの考察も記載があると思うので割愛します。
ひとつ覚えておいていただきたいのですが、これらの調査結果も「予想」で実際の地盤の事は完全には解りません。

工事を進めたら、大量のガラが見つかったり昔の防空壕や巨大な岩盤が見つかったりと予想外の事が起きる事があります。
また、地盤改良が必要だと判断された場合でも、地盤保証会社の判断によっては改良なしで保証を受けられるという事もあります。
※だからといって安全とも限りません

ですので、極端にデータの悪い箇所があったり、不安なことがあれば説明を求めて曖昧なままにしておかないことが重要です。

そして、
報告書等には記載がない場合が多く、危険なのは
大きな木の伐根の跡や、家屋の解体によって生じた穴です。
土を掘ると基本的に緩くなります。
地盤調査では強固だった地盤もその後の解体等で生じた緩い地盤を見逃したまま工事を行ってしまう事のないように注意が必要です。
もし、そういった事があれば特に注意して現場を見てみてください。

※この記事は工事監理の一部を掘り下げて記載したものです
工事の全体の様子はこちらの「工事監理のチェックポイント」の記事をご覧ください。

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建築工事全体の流れを解りやすくご紹介~工事監理のチェックポイント https://akatukidesign.com/housetec/genbakoutei https://akatukidesign.com/housetec/genbakoutei#respond Tue, 03 Apr 2018 14:18:38 +0000 http://akatukidesign.com/?post_type=housetec&p=1900 Last Up Date:2018.03.29 [toc heading_levels=”2,3″] はじめに これまで旧Blogにて現場レポートという形で建築現場の進捗に合わせて工事の様子を伝え […]

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~工事監理のチェックポイント
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Last Up Date:2018.03.29

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はじめに

これまで旧Blogにて現場レポートという形で建築現場の進捗に合わせて工事の様子を伝えてきました。
今回はそれらの現場レポートをひとまとめにした工事全体の流れを解りやすく解説するページを作成してみました。
まずはおおまかな全体の流れを示し、その後各工程の詳細のページを追加していこうと思っています。
コンセプトは絵で解説する工程表です。

複数の現場の写真や様々な工法の工事現場の情報をひとまとめにしているので若干前後する部分があるかもしれませんが、家造りが始まる前に目を通していただくとより明確になるのと、工事現場のチェックのポイントが少しは解ると思いますので是非最後まで読んでみてください。

現調・敷地測量について

現場調査

土地を購入した場合、建て替えの場合、様々なケースがありますがまず工事の始まる前に行う事は現場調査です。
敷地の測量図がない場合は敷地の測量を測量事務所に依頼することになります。
公図等で代用するケースもありますが、やはり周辺環境を含めた情報を事前に確認する必要があります。

現場調査
現場調査風景

重要なのは、周辺建物の窓の位置や高低差等の情報。
これらは公図には出てこないのできちんと現地で確認する必要があります。
また、周囲のコンクリートブロックのひび割れや藻の発生状況、道路の幅やマンホールや水道メーターの位置などを調査します。

解体工事について

解体工事

建て替えの場合はまず解体工事を行う必要があります。
解体工事は建築工事を請け負う工務店に依頼する場合と、別途直接契約で解体業者にお願いするケースがあります。
直接解体業者に依頼する場合は比較サイトなどを通じて安い解体業者を探すことが多いですが、これには一つ問題があります。

地中障害物

解体業者の範疇がはっきりしないため、きちんと後処理をしない業者が多く基礎工事を行おうとしたら土の中から残材が出てきたり、ちょっとした地中障害物(建物が建っているときには想定できなかったゴミ)で割高な追加料金を請求されるケースがあります。

解体風景
解体風景
解体風景

しかし、一番怖いのは近隣クレームです。
直接依頼の場合、解体業者はお施主さんとの付き合いは1度きりになります。
ですので、解体が終われば即撤退。
その間近隣からのクレームを切り抜ければよく、その後の事を考えていません。
なので、建物はなくなっても近隣の不満や遺恨が残って本工事の際に爆発するというケースが時々発生します。

建物解体費はいわば捨てる為のお金。
まったく、新居の良し悪しには影響しないので安ければ安いほどいいのですが、下手すると近隣との関係を大きく崩しかねない工事でとても重要です。

工務店を介して依頼する場合は割高になる事もありますが、その後も関係が続くためしっかりと行ってくれる印象です。

再利用する庭石
解体風景

また、新築で利用するものは前もって打合せする必要があります。
庭木や庭石などは気軽に利用しやすいですが、床板などの素材は再利用するための手間の方が割高になる為、安くするという目的のみで利用しようとする場合は注意が必要です。

地盤調査について

ボーリング調査
SS試験

こちらもほぼ設計業務の範疇かもしれませんが、地盤の強度を確かめる為に地盤調査を行います。
更地の場合は、設計前に行う事が出来ますが、解体を伴う場合は解体後に行う必要があります。
住宅で一般的なSS試験(スウェーデン式サウンディング試験)では5か所試験を行う事が多く、計画建物の4隅と中心の地盤強度を確かめることになります。

一方、より精密なボーリング調査の場合は1か所のみ。
傾斜地などは強度の分布が異なることが多いので、SS試験を併用して行います。

地盤調査についてもう少し掘り下げた記事を作成しました。
良ければこちらもご覧ください。

地鎮祭について

地鎮祭

地鎮祭は基本的にその土地に初めて家を建てる際に土地を清める意味で行います。
その土地の神様にこれから家造りを行う挨拶を行うといった具合です。

しかし、これからの家造りの安全や新居を建ててからの繁栄を願っても行われるため基本的に地鎮祭を行う事をお勧めしています。
やはり、記念にもなりますしね。

地鎮祭儀式
地鎮祭
地鎮祭鎮め物

式の中ではお施主様が参加する鍬入れの儀があります。
始めに設計者が草刈の仕草を三度繰り返すので同様に掘る仕草を三度繰り返せばよいだけです。
初めての経験の方が大半だと思いますので心配であれば予め確認しとくと良いでしょう。

式後には式典で清めた鎮め物やお札をいただくことがあります。
鎮め物は基礎の下に埋めるものなのでそのまま工務店の現場担当者さんにお渡しするのが良いです。

地縄張り

そして、その後に地縄の確認を行います。
地縄張りとは建物の大体の位置をロープなどで記したもの。
建物の配置に大きな間違いがないかの確認を行い、設定した高さの基準点などの確認も行います。

地盤改良工事について

地盤改良

建物を建てる前に重要なのは地盤の強度です。
建物が建つと見えなくなる部分ですがとても重要になります。
地盤改良の方法も様々ありますが、地盤の構成や敷地、道路の広さなどによっても選択肢が絞られます。
もちろん、支持杭(地盤のとても固い所まで杭を打つ工法)が一番信頼が高いのですが、コストを抑えながら安全な工法を選択する必要があります。

Information

地盤改良が必要と判断された地盤でも保証会社によっては地盤保証をつければ地盤改良なしでも良いと判断される場合があります。
どちらが正解とは言いきれませんが予算に応じては選択肢に入れると良いでしょう。

建築本体工事着工

実施設計が終わり、確認申請が降り、工事契約が済むといよいよ建築工事の始まりです。
ここからは各工程に分けて詳細解説のページを少しづつ増やそうと考えています。

根切り・遣り方工事について

根切工事

そして、いよいよ着工です。
基礎の図面を基に地面を掘っていきます。
このとき重要なのが、掘りすぎない事。
掘りすぎると土は柔らかくなってしまい問題が起きる事があります。

根切工事
遣り方

その為、このように基礎の形に合わせて掘るのです。
その時に目安になるのが遣り方という工事で、建物の周囲に板を建て水糸を張って高さを確認しながら掘る事が出来るようになります。

また、捨てコンクリートといって薄いコンクリートを基礎の下に打つのですが、これは防湿の為と基礎の精度を高める為にはとても重要です。
時々省略することもありますが、その場合は鉄筋を組む際にはチェックを念入りに行う必要があります。

配筋工事について

配筋工事

鉄筋を組み立てる工事です。
最近では現場ですべて1から作ることが少なくなってきました。
加工鉄筋といって工場で組み上げたものを現場で繋げる作業がメインです。

配筋検査

しかし、そのつなげる作業でもミスが良くあります。
また、図面の読み違いによってもミスが起こります。
その為にも配筋検査が重要で、特に構造計算を行った複雑な基礎の場合はとても間違いが起こりやすいので注意が必要です。

加工鉄筋が主流となり、構造図をきちんと見れない職人が増えた印象です。
また、あまり日本語が通じない外国人の職人さんなどにも時々遭遇します。
もちろん、外国人だからダメというわけではなく、それをきちんと管理できる現場監督などが存在するかが肝となります。

コンクリート打設工事について

コンクリート打設
コンクリート検査

木造住宅の場合、基礎のコンクリートを打つ回数は2回になります。
底盤(平の底の部分)と立ち上がり(基礎の縦の部分)に分けてコンクリート打設を行います。

コンクリートの一部をサンプルとして取り出し、成分や流動性、硬化後の強度などをチェックします。

また、打設の際はバイブレータと呼ばれる振動棒を使ってコンクリートが隅々まで入り込むように注意します。
この振動が足りないと空隙ができてしまいコンクリートの強度を大きく損ねてしまう事になります。
特に、断熱材などを型枠とする工法の際はこの空隙(ジャンカ)に気づきづらいので要注意です。
RC構造の時などは木槌で型枠などを叩いて振動を与えてジャンカを防ぎます。

先行配管工事について

先行配管

コンクリート打設時に同時並行して外部の設備配管工事を行う事が多いです。

プレカット工事の注意点

プレカット工場

こちらは現場で工事が行われるわけではありませんが、プレカット工場で躯体が刻まれます。
基本的に工場までチェックをしに行くことはありませんが、加工用の図面を念入りにチェックし、間違いが起きないようにします。
この図面チェックも、様々なミスが発生します。
構造図通りになっていない場合や施工上の問題点なども見つかる場合もあり、設計監理の上ではとても重要な仕事です。

先行土台、足場組立工事について

先行土台

上棟工事の前日には、予め土台を敷設します。
防湿気密パッキンや、通気パッキン等コンクリートと土台が直接接しない様にしながら土台と基礎をアンカーボルトで止めていきます。
工場ですでにアンカーボルトを通す穴があけられていることもありますが、現場で開けたり、金物工法の場合は特殊な金物を取り付けたりします。

建て方工事

また、建て方に備え、足場が組み立てられます。
足場は専門の業者が組むのですが、敷地の大きさによって様々なタイプがあり建物の形に合わせて組み上げます。

上棟

工事の山場である建て方。
昔は現場で大工さんが刻んだりして着工から上棟までが一つの節目でしたが、現在はプレカット化が進みあっという間に上棟となります。

建て方工事について

建て方工事

いよいよ建て方工事です。
レッカー車を手配するとお金がかかるので基本的に1日で終わらせます。

その為、レッカー車が到着する前に土台に柱を建て、すぐに梁を載せられるように準備します。
組み立てる手順は棟梁の腕の見せ所。
その手順によっては精度や組みやすさなどに影響します。

建て方工事

組み立てながら建物のゆがみを調整します。
この調整がしっかりしていないと、後の大工工事の際に大変になってしまうので大工さんは真剣です。
ここの作業をしっかり行っている大工さんは少し安心できます。

床板を貼りながら組み上げ、屋根の架構が組みあがったら上棟です。
レッカー車が帰る前に屋根の野地板などを引き上げ掃除や整理を行ったら上棟式を行います。

上棟式

といっても、最近はきちんと上棟式を行う事はほとんどありません。
施主慰労という形で簡易的に行う事が多いです。
神主さんを呼ばずに現場監督さんや棟梁を中心にお酒などで柱などを清め、簡単な食事会を開く形になります。

中間検査(金物検査)について

金物検査

躯体の金物がとり付くと金物検査です。
規模によっては法令検査(中間検査)が行われますが、小規模なら現場と保証会社の検査のみになります。
建物にはご覧の様な金物が必要な強度に応じて様々取りつきます。

金物検査

アンカーボルトや筋交い金物などはほぼ間違いがありませんが、釘が止まっていなかったり、ネジが緩んでいたりすることがまれにあります。

釘抜け

そして、よく間違いがあるのが外周部の合板の釘打ち。
役所の検査の場合はキチンとチェックしていただく検査員さんもいらっしゃいますが、保証会社などのチェックでは検査対象でないのかほとんど指摘を受けたことはありません。

ただし、私が現場で確認する限り、正しい間隔で打ち付けられていなかったり、端に打ち過ぎて強度が期待できなかったり、強く打ち過ぎてめり込み過ぎてしまっていたりと、きちんと施工できている現場の方が少ない気がします。

Check Point

検査が合格したからといって安心できません。
こいうった細部は全く検査されていないことが多く、特に内部耐力壁や特殊な金物を使った部分などは見落とされていることが多いです。

防蟻工事について

防蟻工事
防蟻工事

外壁の合板が張られ、断熱材が充填される前に防蟻処理を行います。
防蟻の方法は様々ですが、最近は人体に害の少ない防蟻方法を選ぶのが主流です。

その為、薬剤も無色透明の物が多く防蟻処理された範囲が解りづらいのが難点です。
着色した防蟻材を使う事もありますが、施工した範囲にこの様にスタンプを押すこともあります。

サッシ工事の注意点

サッシ工事
サッシ廻り防水

上棟が終わると間もなく、サッシが取り付けられます。
それはいち早く雨から建物を防ぎたいからです。
しかし、この工程も実に多くの間違いが発生します。

そのほとんどは知識不足からのミス。
防水の仕組みをきちんと理解していないことから起きます。

サッシ廻りは施工手順が非常に重要になってくる箇所。
防水テープや透湿防水シートを張る順序や種類などそれぞれに意味があり大切なのです。

Check Point

素人でも確認は可能です。
水は上から下に流れるものとして壁の中に入り込んだ水が外に排出されるようになっているかを確認すると良いです。
その時、防水テープが剥がれたりした時にも簡単に入り込まないかが重要なポイントになります。

屋根板金・防水工事の注意点

屋根防水工事

サッシの取り付けと並行して屋根の防水と外壁の透湿防水シートの施工を行います。
こちらも防水紙の重ね代などが正しくとれているか?
また、端部や壁との取り合い部分などのイレギュラー部分は正しく施工できているかを確認します。

先張り防水紙

図面にきちんと記載していてもよく間違えられるのが先張り防水紙。
この様に屋根を組む前に防水紙を部分的に施工しておくことで、漏水のリスクを減らします。

FRP防水工事

バルコニーや陸屋根(屋上)はFRP防水といってガラスの繊維を重ねて防水層を形成します。
紫外線に弱いので塗装でコーティングしますが、定期的にメンテナンスする必要があります。

床暖房工事について

床暖房工事

床暖房を敷設する場合は、床の施工前に行います。
床暖房の方式も様々で工法によって手順や時期が異なりますが、当事務所ではパネルタイプではなく、一本の長いパイプを現場で施工する方式をとることが多いです。
メリットは、パイプの太さが均一で温度ムラが出にくいのと部屋の隅々まで敷設できる事。
また、無垢の床材を利用しても狂いが出にくい低温の床暖房を利用できることです。

床暖房工事

他にも温風を利用したり、蓄熱や太陽光を利用した床暖房など工事が進む前に様々な準備をします。

充填・吹付け断熱工事の注意点

断熱材工事

中間検査に合格すると断熱材を施工し始めます。
注意すべき所は断熱材の切れ目がないかです。
特にサッシ廻りなどの狭い隙間や配管などの貫通部分、筋交いなどの構造躯体が複雑な部分などできちんと施工できているかを確認します。

断熱や気密のグレードが高い家は、気密シートや断熱材に付着したビニールの施工方法が少し特殊で、それらがきちんと施工できているかも確認します。

セルローズファイバー吹込み工事

セルローズファイバーの吹込み工事の場合は専門の業者がキチンと厚みなどを確認しながら施工してくれるので安心です。
しかし、後からコンセントボックスやスイッチの位置などが容易に変更できないので事前に充分な打ち合わせが必要になります。

ウレタン吹き付け工事

ウレタンなどの吹き付け系の断熱材の施工の場合は厚みがきちんと確保できているかを確認します。
通常は厚みの確認できる厚みガイドピン等で確認しますが、ピンがない場合は柱の周辺などで確認すると良いでしょう。
結構な頻度で厚みが足りないことがあります。
人の手で施工しているので厚みにムラが出る事は当然なのですが、状況に応じて補修してもらうと良いと思います。

床の施工の注意点

床の施工

床の施工時の注意点はあまりありませんが、無垢材を利用する場合は木の乾燥収縮を考慮する必要があります。
季節によって自然素材である木は呼吸するように伸び縮みします。
夏場に施工する場合と冬に施工する場合で条件は変わりますが、この写真の様にガイドを当てて隙間を確保しながら施工します。
職人さんの経験と勘が頼りになります。

通気胴縁の注意点

通気胴縁の施工

外壁の施工前に通気胴縁を取り付けます。
これは防水シートに直接外壁を取り付けるのではなく、空気と水の通り道を設ける目的で取り付けます。
空気は太陽で熱せられた空気が上昇して循環することで住宅に入り込む熱量を抑えます。
そして、外壁の間から水が浸入した際に外に排出できる逃げ道を作っているわけです。

ここでのチェックポイントは二つ。
空気の通り道が下から上へときちんとつながっているか?
水が入り込んだ場合の逃げ道がきちんと確保できているかです。

Check Point

防水は2重になっているか?が防水の基本。
また、サッシ廻りは通気のルートが遮られる可能性が高いので確認します。

外壁工事(モルタル外壁の場合)の注意点

モルタル施工

通気胴縁に防水紙付きのリブラス(金網)を取り付けモルタルを施工します。

ファイバーメッシュ施工

モルタルのクラック防止にファイバーメッシュを入れる事があります。
かなり有効な手段ですが、やはりサッシなどの開口部廻りやコーナーなどでは乾燥収縮によるひび割れが起きる事があります。
なるべくそういった事が起きない様にできる限りの補強をします。

設備配管・電気配線工事の注意点

設備配管工事

大工さんの工事と並行して設備配管や電気の配線工事が行われます。
キチンと勾配などが確保できているか確認します。

ユニットバス工事

ユニットバスはこの時期に施工します。
壁が出来てしまうと施工できなくなる鉄骨階段等も設置します。

石膏ボード施工時の注意点

石膏ボードの施工

石膏ボードの施工が始まると大工さんの仕事も終盤に差し掛かります。
ボードが張られてしまうと躯体など見えなくなってしまうので隠れて見えなくなってしまうところを重点的にチェックします。

また、この際にDL等の位置なども決めておく必要があります。
重い器具を取り付けるか所や力の掛かる箇所には石膏ボードの裏に下地を入れておくことを忘れないようにします。(防火の規制がない場合は石膏ボードの代わりに合板を入れます)

Check Point

ひとえに石膏ボードと言っても、強化石膏ボード、耐水石膏ボード等様々な種類の石膏ボードがあります。
色や刻印が違っているので現場で正しく使い分けれれているかチェックします。

大工工事完了

石膏ボード完了

石膏ボードが張られると大工工事完了です。
この時点で中間金の支払いのタイミングになる事が多いです。

造作家具工事の注意点

家具工事

造作家具は大工さんが作る場合と家具屋さんが作る場合があります。
大工さんが作る場合は単純な構造のものが多く、扉は建具屋さんが作るといった分業になる事が多いです。
一方、全て家具屋さんが作る場合は塗装まで一貫して工場で作成し、現場で組み立てます。
家具工事の方が割高になりますが、塗装の質や高い精度を要求する家具の場合は大工工事だと難しい場合があります。

タイル・石工事の注意点

タイル工事

タイルや石工事は割り付けが肝心です。
半端な大きさのタイルが出ない様に予め検討します。
設計段階で壁の位置などを調整して割り付けに合わせた設計をすることもあります。

建具工事の注意点

建具工事

建具の枠は予め大工さんが取り付けます。
既製品の場合はそのまま扉を取り付けて完成ですが、造作の場合は建具屋さんが枠を採寸して加工することからスタートです。
造作家具の扉を建具屋さんが作成する場合はこちらも採寸します。

採寸した開口に合わせて扉を加工し、現場で金物の取り付けや掘り込み加工などを行います。

内装仕上げ工時の注意点

クロス工事

内装仕上げの肝は下地処理。
石膏ボードの継ぎ目や釘の穴を埋めて滑らかにします。
クロス工事の場合はクロスの厚みによって要求される下地処理のレベルが変わってきます。
薄いクロスや塗装仕上げの場合はより念入りな下地処理が必要となります。

塗装工事の注意点

塗装工事

塗装工事の際に気をつけたいのは色見本を作る事です。
塗る素材によっては同じ色でも完成した色は異なるものです。
キチンと塗る素材と同じもので色見本を作ってもらいましょう。

照明工事の注意点

照明工事

スイッチやコンセントプレート、照明器具を取り付けます。
間接照明などはあかりを実際灯して確認します。

設備施工時の注意点

キッチン工事

キッチンや洗面台の施工は竣工直前になります。
ショールームで最終決定を行いますが、先に施工するUBと同時期に決定することが多いです。
年度や季節をまたぐ場合は新商品と入れ替わったりするので注意が必要です。

また、タオルバーやペーパーホルダー等の取り付けも行われます。

竣工

器具などがとり付いて最後の施主検査、完了検査が済めば竣工です。
役所の完了検査は出来栄えではなく法律的に必要なものがついているか?守られているかの確認なので仕上がり状況や、図面通りに出来ているかなどは施主や建築家がチェックすることになります。

引渡し前に壁や床の汚れをチェックし、必要に応じて補修をお願いします。
また、可動部分は不具合や見つかることがあるのでできる限り開けられる部分は開けて確認するのが良いと思います。

外構工事について

外構工事

外構工事は建物が竣工した後にずれ込むことが多いです。
理想は引渡し前にすべて完了することですが植栽は適した施工時期もあるのである程度仕方ない部分があります。

根が安定するまではたっぷりと水やりを行って枯れない様に気をつけます。
また、施主検査の際にチェックした項目の補修などを行いながら残工事を全て終わらせたら引っ越しです。

竣工・引き渡し後について

建物が完成し、引っ越しが終わったからと言って建築家や工務店との関係が終わるわけではありません。
手を入れながらも永く快適に住める家。
そんな家の実現に向けて取り組んでいるわけですので、これからも良い関係が築ければと思っています。

不具合、調整などは急を要すもの以外はまとめて行う事が多いです。
特にクロスなどは下地の乾燥収縮によってコーナー部分が開いたりしてしまう事が多いです。
その為、一定期間様子を見て、収縮が落ち着いてから行う方が具合が良いです。
また、工務店の定めによって1年点検、2年点検等定期的に確認が行われることがあります。

現場監理のチェックポイントまとめ

建築工事の一通りの流れと工事監理のチェックポイントをまとめてみました。
私が現場監理をしていて間違いやミスに直面した場面を思い出しながらチェックポイントを記載しました。
しかし、注意していただきたいのはここで書かれたことが工事現場で行われていなかったからといって、直ちにそれが施工ミスとか、手抜き施工という事にはならない事に注意してください。

様々な工法の選択になる建築工事において答えは一つではありません。
あるものが抜けていたとしてもそれを補う工法を採用してたりするケースもありますし、そもそも求めているグレードが全く違う事もあります。

当事務所に依頼していただいた場合は、現場でのミスなどが起きにくいように現場でのチェックに重点をおいています。
それでもどの現場でも大体何かしらのミスや勘違いが発生してしまいます。。。
その場合ははきちんと説明して改善を行っていますが、やはり人が携わるモノづくりだからこそ100%防ぐ手立てがないのが実情です。

ですので、出来る限り自分の目でも確認する。
疑問はきちんとぶつけてみるのが一番です。
また、設計者や監督に出来る限り現場に出向いて確認してもらう事が重要だと思います。

※建築情報コーナーの関連記事リストです

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~工事監理のチェックポイント
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ひび割れを防ぐモルタル外壁 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/hibiwaretaisaku https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/hibiwaretaisaku#respond Sun, 24 Nov 2019 13:53:38 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3321 工事の進捗が思うように早くならず・・・ 現場をせかしているものの、かといって突貫工事のようにもなってほしくないジレンマと格闘中です。。。 外壁のモルタル施工が少し前に終わりました。 ちょうどこの頃大雨が続き、モルタルの施 […]

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木漏れ日の家モルタル

工事の進捗が思うように早くならず・・・
現場をせかしているものの、かといって突貫工事のようにもなってほしくないジレンマと格闘中です。。。

外壁のモルタル施工が少し前に終わりました。
ちょうどこの頃大雨が続き、モルタルの施工のタイミングが難しかったのですが、そこは現場の判断に任せて着手しました。

暴風対策?でネットが外れていたタイミングだったので一足早く全体が見れるようになりました。
手摺等がまだついていませんが、ほぼイメージ通りで安心です。

木漏れ日の家モルタル

さて、モルタル外壁の施工ですが、今回もノンクラック工法を採用。
写真では見えなくなっていますが、通常の胴縁(金属の網の留め付けの下地となる部材)に加え、プラスチックの胴縁を間に入れて施工しています。
これにより、割れづらい外壁となります。

防水紙付きのラス網(金属の金網)を取り付けモルタルを施工します。

木漏れ日の家モルタル

そして、グラスファイバーネットを伏せ込みさらにひび割れをしにくく強化します。
写真では見えづらいですが、白いネットを抑え込んでいるところです。
このネットは窓廻りなどひび割れの起きやすい箇所にはさらに補強を施し、一旦乾燥させた後、仕上げのモルタルを塗っていきます。

完成すると見えなくなってしまいますが、この補強はとても重要です。
モルタルは乾燥すると縮むので面積が広いと、揺れ等がなくてもひびが入る可能性が有るんですね。
もちろん、このネットだけでは完ぺきではないですが、この措置がされているのとされていないのとでは数年後の仕上がりの差が出てくるものと思っています。

木漏れ日の家モルタル

室内もほぼ完成に近づいています。
借景の緑がまぶしいです。

木漏れ日の家モルタル

収納等の細かい工事もあと少しです!

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長雨で遅れた金物検査~壮大な間違い探し? https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebikanamonocheck https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebikanamonocheck#respond Mon, 12 Aug 2019 14:55:58 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3148 上棟後、長雨に降られ工事が遅れていました。 雨仕舞がきちんと出来上がる前に、いつもより長い梅雨が始まってしまい外回りの工事が中断していたのです。 例年通りなら晴れの日を狙って少しづつ工事を行えたのかもしれないのですが、今 […]

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komorebikanamono

上棟後、長雨に降られ工事が遅れていました。
雨仕舞がきちんと出来上がる前に、いつもより長い梅雨が始まってしまい外回りの工事が中断していたのです。
例年通りなら晴れの日を狙って少しづつ工事を行えたのかもしれないのですが、今年の梅雨はほんと晴れ間がなく異例でした。

そして、同じように屋根の工事を待っている現場が重なりなかなか進まなくなってしまったのです。
そこにきて途中から工事に応援で入る予定だった大工さんが入院してしまって、毎週現場に訪れてもほとんど進展のないまま1か月ほどたってしまいました。

ようやく梅雨が明け急ピッチで工事が進み、先日金物検査を行ってきました。

komorebikanamono

実際には、少しづつ工事の進捗に合わせチェックはしていたのですが、前回チェックしたところがきちんと是正されているかなどを再確認しました。
ちなみにこれらが柱と床材や筋交いなどとをつなぐ金物。
上棟後に、アンカーボルトなどの位置などはチェックしていたので、それ以降に取りつける金物がきちんと使い分けられているかの確認です、

komorebikanamono

金物が取り付いているかの確認はもちろんですが、その金物が正しいかの確認の方が重要です。
このL型の金物は合板の上から使うタイプと違う品番が刻印されていたのですが、取付ビスを替えることで合板の上からでも期待する耐力が確保できることを確認。
そのように、一見金物がきちんと取付いているように見えて、誤った金物が取り付いたり、取り付けのビスが違ったりという細かいミスがよく見受けられます。
その間違いを探すのもなかなか難しいのですが、一か所一か所図面と見比べてチェックします。

komorebikanamono

アンカーボルトもきちんどナットが締まっているかをチェックしながら、再度間違いがないかを確認します。

komorebikanamono

合板の釘が正しいかも確認対象。
釘の種類によって釘頭の色が違うので打った後からでも確認できます。

komorebikanamono

と、釘の色を確認しようとしたところ問題発覚。
施工時に仮止めしていたビスのまま釘が打ち込まれていません。
釘よりビスの方が概して引き抜きに対しての強度は上ですが、ビスの長さなどが不明だったので、釘を増し打ちしてもらう事にしました。

金物検査

柱と梁の間に金物が見つからなかったので、外部に取りついているのだろうと外から確認。
すると、付け忘れだったことが発覚。
まぁまぁよくある事ですが、きちんと設計者が確認しないとこういった箇所が付け忘れのまま進んでしまう事になります。

ウォーリーを探せ!とは違って
”あるかわからない間違い”を探すのって本当に難しいのです。
間違いが全くないかもしれないし、何個も何十個もあるかもしれない・・・
検査が終わって帰宅してから、「あれ?あそこ確認したかな?大丈夫かな?」と不安になることも。

komorebikanamono

サッシ周りの取り付け方については早い段階から注意事項を伝えていました。
現場で間違いが多いのはこの防水テープの張り方。
きちんと打ち合わせ通りに施工されていて一安心です。

komorebikanamono

写真だと違いが判らないと思いますが、外壁の色の確認。
なるべく現地で色見本を確認して決めます。
本当は、外壁面にあてて確認したいのですが、青い色の防護ネットの影が邪魔して正しい色認識が出来ません。
ですが、周辺環境を含め色の検討をしたいのでできる限り現地で色決めをするようにしています。

というわけで、サッシも取り付きようやく雨水が防げるようになりました。
盆明けから急ピッチで工事が進むことに期待です!

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最近の上棟式事情~木漏れ日の家借景チェック https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebijyoutousiki https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebijyoutousiki#respond Sun, 30 Jun 2019 05:42:38 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3106 急な仕事が入ってしまい、少し更新間隔があいてしまいましたが木漏れ日の家の現場レポートを続けます。 上棟の際、大雨に降られ上棟式を延長していたこの現場。 翌週に改めて上棟式を行いました。 ただ、上棟式といっても本当に形だけ […]

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木漏れ日の家上棟式

急な仕事が入ってしまい、少し更新間隔があいてしまいましたが木漏れ日の家の現場レポートを続けます。

上棟の際、大雨に降られ上棟式を延長していたこの現場。
翌週に改めて上棟式を行いました。

ただ、上棟式といっても本当に形だけで
お酒と塩、お米をお施主さんに用意していただき建物の四方を清め上棟を執り行いました。

神主さんなどは呼ばず監督さん中心に行います。

木漏れ日の家上棟式

まず、お施主さんが塩で清めます。
その後、祭壇の清酒を開栓し、四方固めの儀(塩、米、酒で建物四隅を清める)を執り行うのが正式な流れですが、今回は祭壇は準備していないのでそのまま同時に四方固めを行いながら建物の隅を回りました。

また、正式な上棟式となると餅まきや投げ銭を行ったりするわけですが、もちろん今回は省略です。
ちょっと寂しい気がしますが、これが最近の上棟式の主流だと思います。

やはり、プレカット化(工場で予め柱や梁を加工する事)により、上棟のありがたみが少し減ってしまったためだと思います。

木漏れ日の家上棟式

式の省略のお詫び?というわけではないですが、監督さんがお札について説明をしてくださいました。

木漏れ日の家上棟式

そして、棟木にお札を取付完了です。
こちらは一時的で、屋根を造るときに邪魔になるので後日屋根裏へと移動させます。

直会(なおらい・上棟式の後のお食事会)は上棟時に簡易に済ませているので今回はありません。
上棟と別日に行ったため非常に簡素になりましたが大事なのは気持ちです!
工事の安全と無事に完成することを願って上棟式は終了です。

木漏れ日の家上棟式

さて、現場の方は何度か足を運んでいるのですが、劇的に変化があるわけではありません。
次の大事な現場監理は金物チェックなのですが、まだチェックするには中途半端なので後日改めてチェックする予定です。

木漏れ日の家上棟式

屋根部分を造ってしまうと工事が出来なくなってしまう軒レベルの構造補強。
今回はこの小屋裏の部分にも合板の施工が必要となるため、間違いのないように何度も注意していたところ。
キチンと施工されていて一安心。
耐震等級3という高耐久の家を設計しているので普段とは違うところにも確認しなければなりません。

木漏れ日の家上棟式

もう一か所重点的にチェックしていたのがこのバルコニー部分。
床合板の強度を確保するためには受け材を入れる必要があるのと、一部室内の下が屋外となるので湿気対策が必要になる部分。
ここはまだ、指示したとおりになっていなかったので、念には念を入れて再度施工方法を打ち合わせしました。

木漏れ日の家上棟式

その他、お風呂を造る予定の部分の納まりを確認。
きちんと、レベル(高さ)が合っているかなどを確認します。

木漏れ日の家上棟式

それにしてもこの構造材むき出しの屋根って美しいですよね。
耐久性の面、建築基準法の影響から隠さざるを得ませんがもったいないです。

木漏れ日の家上棟式

そして、もう一つ確認したいのは窓からの眺め。
この時点で問題が発覚しても遅いですが、今回はサッシの発注がこれからだったので、ガラスの種類を再度確認しました。
私の設計の場合、高窓にしてカーテンなしで空を見れるようにしたりするので、それを隣家との関係で思ったように見えるかなどをチェックします。

木漏れ日の家上棟式

そして、少し心配だったリビングの窓からの眺め。
こちらは斜めの壁となっていて、イメージするのが難しい部分。
実際想定したような切り取り方になっているかを確認しました。
撮影した写真に少し手を加えてみましたが、おおむね想定通りの借景となります。
もちろん、座る場所などによっても見え方は変わってくるのですが、満足です。

サッシが取り付くともっとイメージがわくんですけどね。
今はこれが精いっぱい。
その他、図面での打ち合わせなどを重ね少しづつ工事は進行しています。

梅雨に負けるな!
です(笑)

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雨の中の建て方工事~雨後の竹の子 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebitatekata https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebitatekata#respond Sun, 16 Jun 2019 03:06:24 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3080 木漏れ日の家の建て方工事の写真です。 建て方工事とは、いわゆる上棟の事。 柱や梁を組み上げる工事の事を言います。 この日はあいにく午後3時から大雨の予報。 2階ぐらいが組みあがるころにと午前10時ぐらいに現場に到着すると […]

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木漏れ日の家建て方

木漏れ日の家の建て方工事の写真です。
建て方工事とは、いわゆる上棟の事。
柱や梁を組み上げる工事の事を言います。

この日はあいにく午後3時から大雨の予報。
2階ぐらいが組みあがるころにと午前10時ぐらいに現場に到着すると・・・

もう小雨がちらほら。
午前中は持ちこたえる予報だったのに~

雨の日の工夫

現場の職人さんは雨に濡れながらも作業を。
というわけで、私も荷物に傘を差しだし濡れながらの確認です。

木漏れ日の家建て方

現場は二階の梁がちょうど完成したころで、雨を見越して急ピッチで作業をしていた模様。
梁を取り付ける所を見たかったんですけどね。

梁が組み終わると、2階に敷く床合板をクレーンで持ち上げていました。
こちらを足場として小梁などの置き場にしたり作業スペースを確保します。

木漏れ日の家建て方

小さな梁はこのように投げ渡しで上階に。

木漏れ日の家建て方

梁の上を器用に歩きながら組み上げています。

木漏れ日の家建て方

プレカット前に、何度も協議を重ねた接合部分。
うん。
しっかりできている!

しかし、私は見つけてしまったのです。
重大な問題を・・・

木漏れ日の家建て方

なんと、梁を横から見ると切断された後のようなものが。
よく見るとボンドで接着されています。


え?

目を疑いました。
梁を下の梁のあごに乗せ、荷重を負担するはずが、これでは接着剤でもっているだけです。。。

確かに集成材も接着されていますが、断面方向が違うんです。
詳しい説明は割愛しますが、この向きで切断したものを接着するなんてありえません・・・

おそらく、プレカット工場で機械加工できなくて、工場内の大工さんが手加工で細工した時に間違って切り落としてしまったのでしょう。
しかし、それで作り直すのでなく接着してよこすとは・・・

とりあえず、今から交換や工事を止めての対応ではよくないので、後日受け材を入れる等で対応することにしますが、こんな施工ミスもあるんですね。
ほんと現場って恐ろしいですね。

木漏れ日の家建て方
他には土台のプレートが足りていなかったり。。。

木漏れ日の家建て方

防蟻断熱材の補修が不完全なので、土台のパッキンを変更するという約束のはずだったのが間に合わなく、ほかの物に代わっていたり・・・

木漏れ日の家建て方

また、そのパッキンも元の設計と違うものだから、ボルトの掛かりが足りないんじゃないか疑惑が発生してイロイロ調べたり(これは結果大丈夫そうでした)、細かい事件は常に介在しています。
とにかく問題が見えなくなる前に確認しないとです。

木漏れ日の家仮筋交い

二階の柱等を組み上げる前に、仮筋交いというものを取り付けます。
まずは、梁部分に留め付けます。
この時はブラブラです。

木漏れ日の家建て方

そして、ここから大工さんの重要な仕事。
建ち倒れを確認します。
建物がゆがまないように柱が垂直になっているかを確認します。

木漏れ日の家建て方

下げ振りという道具を使って垂直を確認しています。
ケースに包まれて風などの影響を受けないようになっているんですね。
暴風下げ振りと呼びます。

木漏れ日の家建て方

それを補正するための工具がこちら。
名前を聞きそびれましたが、突っ張り棒のようなもので垂直を確保します。

普段はチェーンの様な工具で引っ張って調整しているのですが、こういった突っ張って調整する工具もあるんですね。
はじめてみました。

きちんと垂直に柱が建っているのを確認し、先ほどのブラブラの仮筋交いを留め付け固めるのです。
この作業はとても重要で、この作業がいい加減だと大工さんが後に困ることになります。

木漏れ日の家建て方

ここで、一旦現場を離れて再度午後に現場に戻ってきました。
今度は監督さんに進捗を確かめながら小屋組みが出来上がるころに到着しました。

しかし、雨は強まるばかり。
現場の職人さんはずぶ濡れで作業しています。

安全帯(落下しても大事故にならないような命綱)をしていない現場もよく見かけますが、さすがにこの雨の中の作業。
職人さんも慎重にできる限りの安全を確保しながら作業を進めていました。

ちなみにこの状態だとまだ柱はぐらぐらして危険な状態。
ほんと職人さんの度胸には頭が下がります。

木漏れ日の家建て方

梁が取り付く前はこんな姿をしています。
仕口といって梁と梁の接合部には予め加工がされています。
複雑な形状で工場で機械加工しているんです。
昔はこれを大工さんが手加工していたんですから(もちろん形は少し異なります)、ほんと大変な作業ですよね。

木漏れ日の家建て方

大雨に見舞われながらも、予定時間にほぼ上棟しました。
雨が降っていないと、床の合板などを貼ったり、もう少し作業を進めるのですが、もうこれ以上は作業が無理だとの判断です。

しかし、上棟してから雨が止んだではないですか・・・
不思議なことに雨がやんでからぐっと体温が下がりのども痛くなってきました。。。
気化熱?湿度の影響かな。雨が降っていた時の方が辛くないんですね。
逆にもっと早く雨がやんでいたほうが職人さんは大変だったのかもしれません。

本来はここで簡単な上棟式を執り行う予定が、さすがに職人さんの体力も限界なので延期しました。
というわけでこの日の作業はここまで。

昔は、先ほど説明したように現場の大工さんが刻みと言って梁や柱に加工を施し何日もかけて上棟していました。
今では、プレカット化が進み一日で上棟します。
ですから、上棟式の意味合いがだいぶ薄くなってしまったんですよね。
ちょっと寂しいです。。。

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不安の不適中だが・・・~防蟻断熱材の施工 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/bougidannetu https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/bougidannetu#respond Sat, 08 Jun 2019 03:08:56 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3056 昨日、無事上棟しました。 記事が追い付かないので急いで更新です(笑) 基礎の立ち上がり部の型枠が組まれています。 最近はこのメタルフォームという鋼製の型枠を使って使いまわすのが一般的で、なかなか格好いいんですよね。 長さ […]

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昨日、無事上棟しました。
記事が追い付かないので急いで更新です(笑)

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

基礎の立ち上がり部の型枠が組まれています。
最近はこのメタルフォームという鋼製の型枠を使って使いまわすのが一般的で、なかなか格好いいんですよね。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

長さ調整できる部材やコンクリートをせき止める部材が組まれています。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

基礎と土台を止めるアンカーボルトという部材を据え付けるための治具。
柱に取りつく、アンカーボルトの受金物の位置を見越して調整しています。

この日は、そのアンカーボルトの位置などに間違いがないかの確認。
柱の大きさがイレギュラーな個所を少し直してもらい終了。

立ち上がりのコンクリートが打設され数日後の事。

木漏れ日の家防蟻断熱材

基礎工事で一度間違いのあった防蟻断熱材。
その際、取り付けにおいて欠損ができる部分があってきちんと防蟻用のコーキングで保護するように頼んでいた部分がありました。

現場に工事の進捗を確認すると、翌日に埋め戻すとのこと。

写真は撮ってあるか確認すると、「すみません。取り忘れましたとのこと・・・」

嫌な予感がして、翌朝現場に駆けつけてみました。

木漏れ日の家防蟻断熱材

現場に着くともう埋め戻し最中というか、もう終わるところ。。。
しかし、すぐに目に飛び込んだのは防蟻用のコーキングの使った痕跡がみられ、ほっとするのもつかの間・・・

木漏れ日の家防蟻断熱材

まだ、コーキングがされていない箇所が。
ん?
ちゃんと土の中はコーキングされているのだろうか?
と、職人さんに確認し、一か所だけ掘り返してもらい・・・

木漏れ日の家防蟻断熱材

きちんと補修されているのを確認できました。
良かったよかった。

木漏れ日の家防蟻断熱材

断熱材の継ぎ目など隙間が出来てしまっているところは蟻道になってしまうので、きちんと防蟻用のコーキングを施工してもらいました。

しかし、本当はもう一つ問題があって、断熱材の保護用のモルタルを底盤まで塗り込む必要があって、図面にもそう書いてあったのですが、それがされずに埋め戻しされてしまったのです。

ただし、もう埋め戻されてしまい、建て方が迫っている状況で現場の職人さんに言ってもしょうがないので、帰宅後監督さんに告げ、是正方法を打ち合わせしました。

ただ、難しいのがメーカーのHPの施工法があいまいで掲載されている写真があまり良い施工のものではなかったのです。
以前使っていた、防蟻断熱材の施工要領書等では、底盤まで保護して白蟻の侵入経路をきちんと防ぐ形をとっていて、防蟻断熱材という「シロアリに効果がある材料」を使う以上、その施工法が常識だと思っていたのですが、今回使用したメーカーのHPには明記がなく困りました。
(メーカーの図面と写真でも相違があり)

メーカーは材料だけを売ればよいという考え方なのかもしれませんが、せめてHPの写真だけはほかの物に変えていただきたいところです。。。

防蟻用の断熱材を使えば安心というわけではなく、正しく使われなければいけません。
今後採用する際は、もっともっと注意を促さないとだめですね。

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見えなくなる前に・・・運動会と重なる工事 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebikisokon https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebikisokon#respond Wed, 05 Jun 2019 02:46:58 +0000 http://akatukidesign.com/?p=3039 前回の配筋検査で問題が何点か見つかったのですが、その翌日にはコンクリートが打ち込まれるため、どのように確認するかがカギになります。 一般的にはコンクリートの打設まで現場で確認する事は稀です。 大概は写真や、コンクリートの […]

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前回の配筋検査で問題が何点か見つかったのですが、その翌日にはコンクリートが打ち込まれるため、どのように確認するかがカギになります。
一般的にはコンクリートの打設まで現場で確認する事は稀です。
大概は写真や、コンクリートの配合計画書や、スランプ試験などの検査データをもって監理するわけですが・・・
今回のように施工の見落としがあった個所がきちんと施工されているかを確認する術は、直接現場に行くか、後日写真を提出していただくしかありません。

しかし、現場の写真をお願いしても「撮り忘れた」といって写真が手に入らないという歯がゆい経験を何度かしたことがあります。
また、違う現場の写真じゃない?と思われる写真を見せられることも。

ですから、可能な限り現場で自分の目で施工状況を確認したいのですが・・・
なんとこの日は娘の運動会と重なっているではありませんか。

工事の予定を運動会とずらさせるほど権力はないわけで(笑)
現場の進捗にこちらが従うほかありません。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

しかし、コンクリートの打設予定が午後だったので、娘の出演種目が一通り終わったところで現場に確認するとコンクリートの打設が始まったばかりとのこと。
急いで現場に向かい懸念事項を確認しました。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

まずは、間違いの判明した断熱材が正しく施工されているか?
断熱材の印字を確認すると「スタイロフォームAT」の文字が。
きちんと防蟻断熱材が使われていました。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

コンクリートの打設は底盤部分はもう終わっていたので見える範囲だけでも確認をということで、もう一つの重大な施工見落としヶ所である地中梁部を確認。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

きちんと鉄筋が増えているようなので一安心。
理想を言えばもう少し鉄筋の間隔をあけてもらいたかったのですが、ここでコンクリートの打ち込みを止めさせて直させるほどではないと判断しました。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

さて、工事の紹介ですがコンクリートの打設はポンプ車から伸びたノズルから現場へと流し込みます。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

職人さんはこのように腰に付けたリモコンで上手に操り、打ち込みを支援します。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

コンクリートの打ち込みと同時にバイブレーターと呼ばれる振動棒をコンクリートに挿し、余分な空気を抜いていきます。
この作業が不十分だとジャンカと呼ばれる空隙が出来、コンクリートの強度が十分に発揮されず、劣化も早くなります。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

また、打ち込みと同時に天端を均していきます。
自分の足跡を残さないように逃げながら施工します。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

ポンプ車にはタンクローリーからこのように受け渡します。
タンクローリーは現場の接する道路によって大きさが決まり、今回は小さめのタンクローリーが何度も往復してコンクリートを運んできました。

木漏れ日の家基礎コンクリート工事

ついでに荷受け書も確認。
きちんと発注したコンクリートの強度が合っているかなどをチェックします。

というわけで、次の生コン車が到着するまでに間が空くので2台分の打ち込みを見届けたところでこの日の現場監理はここまで。

現場で間違いやちょっとした手抜きが生じるのはやむをえないところもあると思います。
一番大事なのはきちんとその問題をチェックできて、是正する事。
今回はすんなり対応していただき無事工事の進捗にも影響なく進めることが出来ました。

と、そんな時に嫁さんから電話で娘のチームが勝利したとのこと。
う~~~んよかったよかった。

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やはりネックは設備配管~配筋検査の注意点 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebihaikin https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebihaikin#respond Sun, 26 May 2019 02:25:15 +0000 http://akatukidesign.com/?p=2964 一昨日は木漏れ日の家の配筋検査。 指定検査機関の検査員が到着する前に現場につき私の検査を行う予定でした。 現場に着くと、とてもきれいに鉄筋が並びきちんと施工された現場を目にしてとても安心しました。 しかしです・・・ よく […]

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一昨日は木漏れ日の家の配筋検査。
指定検査機関の検査員が到着する前に現場につき私の検査を行う予定でした。

木漏れ日の家配筋検査

現場に着くと、とてもきれいに鉄筋が並びきちんと施工された現場を目にしてとても安心しました。
しかしです・・・

よく見るとコンクリートに打ち込む予定の断熱材が違う!
防蟻用の断熱材を使う予定が普通の断熱材がセットされているではないですか?
監督に確認すると、すぐにはピンとこない様子で、
「すみません。発注したものと違うのが届いてそれを施工してしまったようです。」

なんてことが起こるのが建築現場。
私が指摘しなかったらこのまま工事が行われていたかと思うとほんと怖くてなりません。

木漏れ日の家配筋検査

そんなやりとりをしていると検査員が到着し、検査がスタートしました。
本当は検査員が来る前に、一通りチェックして一緒に回るはずだったんですが、間に合いませんでした><

検査員の方も図面を手にし、現場を確認して回ります。
私も一緒にチェックしていたのですが、何点か図面通りに施工されていないところがあり、構造事務所の方と連絡を取って確認などしている間に、先に検査員の方のチェックが終わり合格となりました。

木漏れ日の家配筋検査

しかし、私のチェックは進みます。
接合部や、イレギュラー部で検査員の見落としやチェック漏れがあるのはもはや様式美?なのですが・・・

木漏れ日の家配筋検査

今回は、この部分に施工しなければならない地中梁が丸々抜けていてちょっと笑えませんでした。
こちらは明らかに施工漏れなので、すぐに非を認めてやり直しを約束してもらったのですが、
ほんと、この第三者機関の検査というのが厄介で・・・

一方ではもう合格もらっているのに文句あるの?
みたいな態度で指摘をなかなか聞き入れてくれないことがあって大変なんですよ。

他の現場では問題になったことがない。
今まで指摘されたことがない。

という事で、なかなか聞き入れてくれないことが多々あるのが基礎の配筋検査。
(この現場ではすぐに対応してくれる約束をしてもらえました)

この第三者機関の合格という太鼓判が余計にネックになるのです。
一部の現場では、この検査によって水準が上がりプラスなのだと思うのですが、きちんと検査を行う側からすると、もう一つの基準で合格印を与えられるとやりづらいんですよね・・・

木漏れ日の家配筋検査

さて、はじめに問題が発覚した断熱材の商品違いですが、何とか再手配の段取りがついて、コンクリート打設までの道筋がつきました。
とりあえず、施工した断熱材を全てはがします。

設備やさんが現場に到着し、施工手順について確認しているとまたひと悶着。
設備やさんが先に施工すると、断熱材を後から入れることができない。
そのため、施工方法をどうするかという協議が必要に。

設備配管

本来であれば、もう断熱材が施工されているのですが、交換が必要になったことで施工手順が変わり新たな問題が出たというわけです。
しかし、いろいろ話をしていると更なる問題が発覚。
なんと、設備やさんは基礎の”主筋”を切断して配管するつもりだったことが発覚。。。

なんとも問題が続きます。
とりあえず、配管方法を見直し、段取りを再確認して問題のないように筋道をつけましたが、本当に困ったものです。
監督さんには過去にこういうことがあったんで注意してくださいねと言ってあったんですが、やはり現場の「大丈夫です」「問題ありません」を全て鵜呑みにする事はリスクが伴いますね。
※上の写真の様な配管を施工するときによく誤った施工がされることがあるんですね

もちろん、監督や職人さんに悪意はないんですが、そこがほんと問題だと思うですよね。
他ではこれがまかり通っているので全く問題意識を感じていないし、意図が伝わらないことが多いんですよね。

一応フォローしておくと、この現場が極端にひどいというわけではなく、これが建築現場のありのままの姿というか、上の水準だったりします。
TV等報道で問題になるようなアパート供給会社や格安のハウスメーカーなどはもっといろいろな問題が現場で発生して、見逃されているのだと思います。

これら、基礎の事は直ちに問題になることはありません。
基礎にひびが入りやすくなったり、地震の時などにうまく力が伝わらなかったり問題が起きても表面に見えづらく、問題を特定しづらく、しかも長期間にわたってゆっくりと不具合が起きるのです。
ひびが入るとそこに水が入り込み鉄筋がさび、それが膨張してさらにコンクリートを痛めるのですが、コンクリートを打たれてしまうと見えなくなり全く問題に気づくことなく住み続けることになるのです。
問題がすぐに起こらないから大丈夫と考えるか?

いえいえ、やはりお施主さんが大きなお金を出して建てる家ですからしっかりと設計者が監理し、目を光らせる必要があるわけです。
しかし、本当にこうも問題続きだと少し心が折れますよね・・・
他では問題がないのに何を言ってるの?みたいな顔をされると自信を無くすこともあるのですが、とにかくそういった雰囲気に負けないように気合を入れてチェックをします。

というわけで、基礎の配筋検査はとても疲れます。
また話は振り出しに戻りますが、第三者機関の検査合格という箔がついた建物に指摘するという事が本当に大変なんですよね。
「第三者機関がしっかり検査しているから安心」という言葉を言って責任を放棄したくなります(笑)

と、一応第三者機関のフォローもしておくと限られた時間で現場をチェックしなければならないので仕方ない部分もあります。
また、工務店がお客さんでお施主さんは二の次なので仕方ない部分もあると思います。
本当は、お施主さんが第三者機関を選んで検査をお願いするという施工と分離する仕組みになればもっともっと良くなるんですけどね。
このことは本当に制度の問題だと思っています。

構造図の注釈を見落としたりや設計者の意図をくみ取らず、保証会社の基準のみで判断するだけなので
第三者機関の合格=問題がない
という認識は間違っていることだけは周知してもらいたいものです。

と、なんだかトホホな記事ですが
それだけ工事の後に見えなくなるところには
イロイロな間違いや、問題、手抜き、認識不足などが潜んでいます。
出来る限り様々な”目”でチェックしたい工事です。

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建ってしまうと見えなくなる地中の事~木漏れ日の家 https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebinegiri https://akatukidesign.com/housetechnique/genbareport/komorebinegiri#respond Fri, 17 May 2019 05:12:17 +0000 http://akatukidesign.com/?p=2936 木漏れ日の家の根切工事を進めていたのですが・・・ GWが明けて工事が再開したところで現場に行ってみるとまた一つ問題が。 現場からは問題がないような話だったのですが・・・ 前回同様、地中からはちょこちょこ昔建っていた家の解 […]

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木漏れ日の家根切工事写真

木漏れ日の家の根切工事を進めていたのですが・・・
GWが明けて工事が再開したところで現場に行ってみるとまた一つ問題が。

現場からは問題がないような話だったのですが・・・
前回同様、地中からはちょこちょこ昔建っていた家の解体物が出てきてはいたのですが、

木漏れ日の家根切工事写真

根切が終わって均してある地面に大きなガラがあったので私が取り除いてみると・・・
なんと、空洞が!
現場にあったスコップで、少し掘ってみるとかなりのガラが積み重なっている様子。

木漏れ日の家根切工事写真

これは大問題。
という事で、急遽現場監督に電話をし、現場の職人さんにその部分をもう少し掘るように指示。
すると、出てくる出てくる。。。

こうなるとどこに何が埋まっているかわかりません。。。

木漏れ日の家根切工事写真

地盤調査をした際に部分的に軟弱な部分がありました。
それがこの玄関部分。
こちらも念入りに掘削してもらうと・・・
やはりガラが出てきました。
しかし、こちらは思ったほど量はなく一安心。

木漏れ日の家根切工事写真

建物の荷重が一番かかるところは重点的にチェック。
幸いなことに、こちらでは赤い土※が出てきて強固な地盤であることが解りました。
※関東ロームと思われ、粘土層で充分な地耐力が期待できる

木漏れ日の家根切工事写真

敷地の基礎周辺部の地層を見てみるとこのように浅い部分ではレンガや瓦などの埋設物がたくさんありました。

木漏れ日の家根切工事写真

そして、根切後の現場にはこれだけの配管などの残骸が残りました。
ほんと、地中には何が埋まっているかわかりません。

現場で埋設物がありそうな怪しい箇所はできる限りチェックして取り除きましたがこの判断が難しいですね。
一応、これ以上は出てこないと思うのですが、もう少し掘ればどんどんガラが出てくるかもしれません。
先ほどのように空洞化しているところに基礎を載せたら後々大変なことになります。

とはいえ、調査のために余分な土を掘り起こすと優良な地盤が柔らかくなってしまい、逆に建物にとっては良くないのです。

もし、私が現場に行っていなければこれらは見つからずそのまま工事が行われていたと思うとぞっとします。
しかし、そのためにもっと埋設物があるかもしれないという不安が付きまとうという事態。
何とも言えませんよね。

知らぬが仏とはよく言ったものです。

しかし、問題を見つけてしまった以上お施主様に報告し、対処案を伝え協議をします。

更地での新築では本当に注意が必要ですね。

木漏れ日の家根切工事写真

一通り根切が終わると、ごらんの様な棒を持って職人さんがチェックしています。

木漏れ日の家根切工事写真

こんな形の蜘蛛みたいな足のレーザーを使って掘った深さが図面通りかチェックしてるんですね。
足りないともちろん問題ですが、掘りすぎても土が柔らかくなってしまうし、コンクリートの量も増えて重くなりいいことがありません。
とても重要な作業です。

しかし、お施主さんに現場レポートの了解を得てから問題続きで申し訳ない気持ちになります。
ただ、こういった問題はきちんと現場に足を運んでチェックしているからこそわかること。
建売住宅などでは、わざわざ買う人に報告はないだろうし、ましてや見ぬふりしてそのまま家を建てているのが実情だと思います。

実は、これから記事にしようとしている次の工程でも少し問題が・・・
これも通常であればたぶん気づかれずに工事が行われていること。

それだけ現場ではいろいろなことが起きます。
その一つ一つの事件?問題をきちんとレポートしているにすぎません。


全て問題なく丸く収まる現場。
それこそが一番問題だったりするかもしれません・・・

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